JVCケンウッドの「センサーフュージョンカメラ」とは?防災・減災に貢献が期待!
毎週日曜朝5時5分からお送りしている「防災アワー」
防災をもっと身近にもっと分かりやすく生活目線でお届けしている番組です。
今週も先週に続いて、トンネルや下水道といったインフラの異常をいち早くかつ正確に見つけ出すことが期待される最先端技術についてお伝えしました。
先週お送りした京都大学大学院・西野先生のお話にもありましたが、この新しいシステムの開発プロジェクトに株式会社 JVCケンウッドの特殊なカメラが使われています。
JVCケンウッド・イノベーションデザインセンターの綿貫克己さんに伺いました。

伊藤:JVCケンウッドのカメラ「センサーフュージョンカメラ」とは?
綿貫:まず「センサーフュージョン」とは、例えると人間が五感を使って周囲の状況を感じ取るように、複数のセンサーを使って、これまで単独のセンサーでは取得できなかった情報を得る技術の総称です。弊社のセンサーフュージョンカメラでは、「映像を見るセンサー」と「距離を測定するセンサー」を1つにまとめています。これにより、映像に映っている対象物一つ一つの距離が把握できるようになります。
伊藤: 「映像を見る」「距離を測定」するセンサーが1つのカメラにまとまるから、1回カメラで撮ると映像も分かるし距離も分かるということですか?
綿貫: はい、同時に分かるようになります。このセンサーフュージョンカメラの最大の特徴は「単眼」、すなわちレンズが1つになっている点です。通常この種のカメラは、センサーが2つあるのでレンズも2つあるのが一般的ですが、弊社の技術によりレンズを1つにし、そこから光を2つのセンサーに分ける構成となっています。そのため、2つのセンサーの間に見え方のずれがありません。人間が左右の目で見るときのような「視差」が発生しない点が、最大の特徴です。

伊藤: 右の目と左の目でちょっと差がありますよね。その差がないということですか。
綿貫: その通りです。見え方が違うと、映像データと距離データの情報が一致せず、複雑な処理を行って位置合わせをする必要があります。しかし、弊社のカメラだとそのような処理は不要である点が、大きな強みです。
伊藤: このセンサーフュージョンカメラを使って、トンネル内でどんなことができるようになったのでしょうか。
綿貫:センサーフュージョンカメラは映像と距離を同時に取得できるので、トンネル内で「どこの位置にいるか」という情報を把握する技術の開発に取り組んでいます。トンネル検査には現在、「MIMM(ミーム)」と呼ばれるトンネル検査車両が運用されています。通常、屋外ではGPSといった衛星データを用いて正確な位置情報を取得できますが、トンネルに入ってしまうとそうしたデータが使えません。そこで、弊社のカメラを活用し、トンネル内の画像・映像と距離情報を手がかりに「自分たちが今どこを走行しているのか」を連続的に割り出していく実験をしています。従来の位置情報を検出する方式では、例えばトンネルがカーブしているとずれてしまう、といった数々の課題があります。そうした課題を解決すべく、弊社のセンサーフュージョンカメラで研究開発を進めています。

(検査車両に取り付けられたセンサーフュージョンカメラ 写真はJVCケンウッドご提供)
伊藤: センサーフュージョンカメラを搭載した車両が通ることによって、距離やカメラでとったものが全部分かるからそこから3Dに起こすことができるのですか?
綿貫: そうですね。MIMMに搭載されているトンネル壁面の状態取得用のカメラ、それからトンネル内の3Dデータを取得するセンサーが得た情報に対して、「そのデータはトンネル内のどこで取得したか?」という情報を与えるのが、弊社のセンサーフュージョンカメラの役割になります。
伊藤: 苦労されたことも多かったのでは?
綿貫: はい。この距離を測るシステムは、カメラにある発光部から赤外線を発光して、対象物に当たって戻ってくるまでの時間を測定することで距離を割り出しています。赤外線は光ですので、1秒間に地球を7周半するほど非常に速い。そのため、光で㎝単位の精度を出そうとすると、何千億分の数秒という極めて短い時間を検出しなければなりません。赤外線を発光する部分、赤外線を受光するセンサーなどの電気的特性を厳密に管理しないと精度の高い距離測定ができない点が、非常に苦労したポイントです。
伊藤: つくばで実際のトンネルを使った実験も行われたそうですね。
綿貫: MIMMに弊社のセンサーフュージョンカメラを搭載して、初めてつくば市のトンネルで実証実験を行いました。その結果、衛星データが利用できない環境でも、弊社のカメラでトンネル内の画像を安定的に取得できることが確認できました。今後の位置情報取得に向けて、とても大きな手応えを得られました。
(トンネル内での検証の様子 写真はJVCケンウッドご提供)
伊藤: 今後については?
綿貫: JVCケンウッドはこれまで電機メーカーとして色々なオーディオ機器やカメラを手がけてきましたが、その技術を応用して「安心・安全のために私たちに何ができるのか」を模索しているところです。培ってきたカメラ技術から安心・安全に貢献できる方向性に広げていくチャレンジですので、ぜひ実現させたいと考えています。今後、人手が減っていく中、より簡単に、効率よく検査ができる仕組みを作っていければ、社会に貢献できるのではないかと思っています。

伊藤: ありがとうございました。
JVCケンウッドの特殊なカメラを使い、トンネルや下水道といったインフラの点検を自動化する最新プロジェクト、安全性の向上やコスト・時間の削減につながる技術です。早い実用化が期待されますね。
今日の放送を聞き逃した方はradikoでぜひお聞きください。
さて、昨日4月11日は静岡市で30.3度の真夏日に、都心も27.3度と今年初めての夏日となりました。まだ体が暑さに慣れていません。早くも熱中症に要注意です。今月~6月にかけて全国的に気温が高くなると予想されていますが、季節の進み方が早いです。
エアコンの試運転や暑熱順化も心がけていきましょう。

(3ヵ月予報会見で解説する 気象庁 異常気象情報センター 経田正幸所長)
気象予報士 防災士 都庁・気象庁担当記者 伊藤佳子
