鎌田大地選手 モドリッチ選手へのリスペクト ~了戒美子 現地カタールからクロアチア戦直前レポート

鎌田大地選手 モドリッチ選手へのリスペクト ~了戒美子 現地カタールからクロアチア戦直前レポート

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FIFAワールドカップカタール大会。

日本はスペインに2対1で逆転勝ちし、グループEを1位通過。

 

 

決勝トーナメント1回戦はグループFを2位通過したクロアチアと現地12月5日夜6時、日本時間12月6日深夜0時から対戦。過去3度の決勝トーナメント進出はベスト16止まり。4度目の挑戦で「新しい景色」ベスト8進出を目指します。

文化放送では大会期間中、現地カタールで取材するドイツ在住のサッカージャーナリスト了戒美子さんが随時レポート。

今回はクロアチア戦直前の日本代表の様子をレポートしてます。

 



 

 

カタールW杯も決勝トーナメントが始まってしまいました。現地3日時点で、オランダとアルゼンチンが準々決勝進出を決めています。

日本の決勝トーナメント1回戦は5日、前回大会ファイナリストのクロアチアと対戦します。

 

 

勝ったら準々決勝ではブラジル対韓国の勝者と対戦します。準々決勝で日韓戦が実現したら熱い試合になりそうですが、でも今はW杯です。せっかくならブラジルと対戦する姿を見てみたいものですが、まずは目の前のクロアチア戦に我々も集中しなくてはなりません。

 

 

さて、今だから言えることですがスペイン戦前の日本代表には相当な緊張感が見られました。

試合前日、前々日は練習も冒頭15分間しか公開されないため、ほぼウォーミングアップしか我々報道陣も見ることができません。

 

 

ですが、ミックスゾーンと言われるエリアでの取材は通常通り。その際、例えば久保建英選手は「口だけの選手になりたくない」と試合について話すことを拒否し、数問で取材を切り上げました。

守田英正選手や冨安健洋選手は戦術に対する質問を受けると「それは言えない」「あれは言えない」などと、回答を拒否。拒否と言ってもはねつけるわけではなく「申し訳ないのだけど……」というニュアンス。かなりデリケートな時期であることは明らかに伺えました。

また、普段明るい板倉滉選手も表情に笑顔はなし。スペイン戦の結果次第で敗退もあり得るという状況だったため「この試合が最後の試合になる可能性があるが……」という質問が出ましたが、「次の試合を最後にできないですよ」と強めの口調で質問を否定していました。

 

しかし、スペイン戦後は一転。選手たちは試合後のコメントにちょっとした冗談を入れてくるのです。

三苫薫選手がライン側でギリギリボールに追いつき「脚が長くてよかった」ですとか、田中碧選手が「僕は持ってる選手だともうけど律(堂安選手)はもっと持っていた」とか。

 

 

遠藤航選手は試合中刻々と戦況が変わるため、状況をスペインベンチにも伝えようかと思ったと言い「もちろんそんなこと必要なかったですけど」と思いとどまったと明かしています。

わずか2日前にはカチカチの表情だった選手たちがこんなに滑らかに喋るなんて。人間らしさを感じて余計に応援したくなりました。

さて、クロアチア戦2日前の3日はどうだったかといえば、だいぶニュートラル、普通でした。大会前の高揚感もなければ、スペイン戦前の緊張感もなし。かといって、コスタリカ戦前の気を引き締めなくてはいけないけれどどうもドイツ戦を引きずってしまうという難しい時期でもない。リラックスした良い状態に見えました。

 

印象に残ったのは鎌田大地選手で、クロアチアの10番モドリッチ選手が理想形だということでした。「本当に僕は彼のプレーを見るのが本当に大好きだし、将来モドリッチになりたいってわけじゃないですけど、目指す上ではああいう、本当に何でもトップオブトップでできる選手っていうのを目指さないと駄目だと思うし。彼はだから僕にとっては良い参考の選手。すごいリスペクトしてます」

 

 

鎌田選手はここまでの3試合全てに先発。攻撃に絡んだり自分が得点したりというよりも守備面での貢献が光っています。特にこの3試合は前半は0-0でやりすごし、後半に選手交代とともに勝負に出るということがパターン化していますから、先発の鎌田選手は黒子に回ってしまっています。

 

 

ですが「割り切っています。自分が得点できなくてもチームが勝てればそれでいい」と話します。ここまで2得点の堂安律選手も「3点目を取るよりもチームの勝利」と話しています。

 

 

攻撃の選手は、どちらかといえばエゴイスティックな気質の選手が多いものです。自分一人ででも決めてやる!と思っていないと、得点など出来ないのでしょう。ですが今回の日本代表は、そんな気質を持ちつつも、チームのために徹することのできる選手の集まり。自身の思いを秘めつつも勝利を目指す選手ばかりなのです。彼らのエゴとチームプレーの良いバランスが取れた時、攻撃は充実し得点につながるのだと思います。

 

日本はスペイン、ドイツに勝利したからといってコスタリカに負けたチームですから、クロアチアを侮ることはできません。

決して簡単なことではないでしょうが、ここを勝利すれば新たな景色が見られるのです。

その扉を開こうとする選手たちに全力で声援を送りたいものですね。

 

 

 

Text&Photo

了戒美子 Yoshiko Ryokai

映像制作会社勤務からサッカー取材を開始。五輪は2008年北京五輪、W杯は2010南ア大会から現地で取材。2011年からドイツに拠点を移し、ブンデスリーグ、ヨーロッパで活躍する日本人選手を精力的に取材し、雑誌、新聞、WEB、ラジオなど媒体を問わず活躍中。

 

 

 

 

「ニュースパレード」では大会期間中、了戒美子さんから現地レポートを交えながら大会結果をお伝えしていきます。「西川あやの おいでよ!クリエイティ部」内、平日午後5時~5時15分、文化放送(AM1134kHz、FM91.6MHz、radiko)で放送中。 radikoのタイムフリー機能では、1週間後まで聴取できます。

また「ニュースパレード」はPodcastでも配信しています。

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