政権に打撃 秘書官のLGBT差別発言~ ニュースパレード  山本香記者取材後記

政権に打撃 秘書官のLGBT差別発言~ ニュースパレード 山本香記者取材後記

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 文化放送をキーステーションに全国33局で放送中「ニュースパレード」(毎週月曜日~金曜日午後5時00分~5時15分)

 その日に起こった最新の話題を中心に、幅広い分野にわたってニュースを紹介しています。昭和34年の放送開始以来、全国のラジオ局の強力なバックアップで、特派記者のレポート、取材現場からの中継など、今日最も重要なニュースを的確に把握し最新情報を伝え続けています。

 文化放送報道記者として国会、官邸を担当し、日夜取材活動で活躍する山本香記者が放送でお伝え出来なかった話題を取材後記としてお届けします。

 



 

 

口の軽さ

 

 2月3日夜、オフレコ取材の場で同性婚について「見るのも嫌だ、隣に住んでいたらやっぱり嫌だ。導入したら国を捨てる人もいると思う」などと発言したのは岸田内閣の荒井勝喜前総理秘書官だ。

その後、発言を撤回したが、事態を重く見た岸田総理は「政権の方針とは全く相容れないもので言語道断だ」と述べ、4日付で更迭。

口の軽さが命取りとなった。

この問題に関し、岸田総理は週が明けた6日朝に「丁寧に内閣の姿勢を説明する」と述べていたが、その日の衆議員予算委員会では政府与党が説明を拒否したことから委員会は冒頭から紛糾した。

 

 

 午前9時半頃から始まった予算委員会は、野党側が冒頭で、荒井前総理秘書官更迭に関して、松野官房長官に政府を代表して謝罪と説明を求めたのに対し、質疑の中で答弁すると主張した与党側が対立。

根本予算委員長が、委員長職権で自民党議員の質問をスタートさせたことに猛反発した野党側が席をたった。抗議の退席をしたのは立憲民主党や共産党だけでなく日本維新の会も行動を共にした。

 

 野党不在で空席が目立つ中、自民党議員2人の質疑を約1時間にわたって行った後、根本委員長はいったん質疑をストップ。

その間に、事態収拾を図るため、自民党の高木国会対策委員長が立憲民主党の部屋を訪れ、松野官房長官がより丁寧に説明をすることを約束し、委員会は再開となった。

 

 

わきの甘さ

 

 

 再開後の予算委員会で松野官房長官は「荒井前総理秘書官の発言は不当な差別と受け撮られても仕方なく言語道断で遺憾だ」と述べた上で「(荒井発言で)傷つかれた方、不快な思いをされた方におわびを申し上げる。内閣の方針に関して誤解を生じさせた」と述べ謝罪した。

岸田総理も、この日の昼に行われた政府与党連絡会議の場で陳謝したが、問題は収まる気配はなく、今後の予算委員会の場で岸田総理に対し、任命責任や性的マイノリティに対する認識などの追及が強まるのは確実で、対応を誤ればさらなる政権への打撃となりかねない。

 

 「問題が起きたらまずは謝罪だ」こう主張したのは自民党のベテラン議員である。

言い訳より、一にも二にも謝罪が危機管理の要諦にもかかわらず、政府は大臣ではなく官僚の発言だということと、いち早く更迭したからそれで幕引きできると軽く考えていたんだろうと指摘し「脇が甘すぎる」と厳しく批判。

下げ止まった支持率もまた下がるのではとため息も漏れた。

 

 

 一方、立憲民主党の安住国会対策委員長は「G7議長国の日本だけがLGBTや同性婚の話で時代遅れしている恥ずかしい状態」と批判。

 共産党の小池書記局長は、荒井前総理秘書官の発言について言語道断というのであれば、性的マイノリティの人たちへの理解増進を図る「LGBT理解増進法案」と同性婚を合わせて今国会で成立させるべきだと強調した。

 

議長国としての覚悟

 

 「LGBT法案」は2021年、自民党を含む超党派の議員連盟で合意したものの、自民党内の法案審査で、党内の反対派に配慮して法案提出を見送ったままだったが、岸田総理は6日、自民党の茂木幹事長に、法案提出に向けた準備を進めるよう指示した。

5月に控える主要7か国首脳会議、G7広島サミットへの影響を懸念したためとみられる。

自民党は、議員立法の形での提出を想定しているが、世界に向けて日本が変わったと発信するには、議員立法ではなく政府が主導して法案を提出すべきという意見も与野党の一部議員から出始めている。

 

 

 2月1日の衆議員予算委員会で同性婚に関して「家族間や価値観、社会が変わってしまう課題」と発言をした岸田総理。自民党内の慎重派への配慮もあるのだろう。ただ、いつまでも先送りできる問題でもない。

G7の中で唯一、同性婚に対する法整備が整っていない日本。

 

サミット前に党内慎重派を説得し、議長国としての威信を示すことができるのか?

岸田総理には覚悟が問われることになる。

<共同通信ニュースより>  岸田文雄首相は8日の衆院予算委員会で、更迭した荒井勝喜元首相秘書官によるLGBTなど性的少数者への差別発言を重ねて謝罪した。「国民に誤解を生じさせ誠に遺憾だ。不快な思いをさせてしまった方々におわび申し上げる」と述べた。同性婚に関し「社会が変わってしまう」とした自身の答弁については「議論まで否定するというネガティブな意味で申し上げたわけではない」として撤回しない考えを示した。  首相は1日の予算委で、同性婚の法制化に慎重な姿勢を示した上で「家族観や価値観、社会が変わってしまう課題だ」と答弁していた。

 

 

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