企業倒産 増える勢いが強まる 嶋津氏「予想された事態が起こった」

企業倒産 増える勢いが強まる 嶋津氏「予想された事態が起こった」

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2月9日の「おはよう寺ちゃん」(文化放送)では、ストラテジストの嶋津洋樹氏と寺島尚正アナウンサーが、企業倒産の増える勢いが強まっているというニュースについて意見を交わした。

嶋津氏「コロナ禍前の倒産件数に戻っていく」

東京商工リサーチが昨日発表した1月の全国企業倒産件数は、前年の同じ月に比べ、26%増の570件で、増加率は2ヶ月連続で20%を超えた。

新型コロナウイルス禍を受けた実質無利子・無担保の「ゼロゼロ融資」の返済が本格化し、中小企業を中心に経営に行き詰まる事例が増えているという。

寺島アナ「嶋津さん、この数字はどうご覧になりますか?」

嶋津氏「まぁ、予想されていたことだと思うんですよね。コロナ禍でゼロゼロ融資が緊急対策として行われたわけですけども、当然、融資はタダではありませんから、返さなきゃいけないということになるわけで。インバウンドなんかを見れば明らかですけども、必ずしも日本経済が復活していない、まだ完全に国内に需要が戻ってきていない段階で返済が始まれば、当然行き詰まる企業が出てきてもおかしくないということで、予想された事態が起こったと。
ただ、コロナ禍で実は倒産件数って急激に減ったわけですね。コロナ禍の直前で、月間で700件ぐらいが平均的な倒産件数だったので、増えているとは言っても水準ベースで言うと、コロナ禍前の水準から比べるとまだ少なくて、個別の企業の話だと深刻な話ですし、先ほど申し上げた通り、まだ日本経済が完全に回復していない中で返済をスタートさせることの問題っていうのはあると思っているんですけど、件数そのものが非常に厳しい状況かっていうと、マクロ経済全体としては、まだちょっとそこまでは至っていないっていうのが実際のところだと思いますね」

倒産件数の増加率は2021年5月の50%以来の水準で、この時は前年が歴史的低水準に留まった反動が大きかったという。
2020年5月、緊急事態宣言の影響で、企業倒産に関わる業務が滞っていたともいわれている。
倒産は中小企業が中心で、1月に発生した倒産の負債総額16%減少の565億円と、2ヶ月連続で前年の同じ月を下回った。

寺島アナ「企業倒産の動きは、今後どうなっていくんですかね?」

嶋津氏「先ほどご紹介した通り、コロナ前が大体700件ぐらいですので、少なくともそれくらいまでは戻っていくのだろうというのはわかるわけですね。そこから先どれくらいまでいくかっていうのは、本当に景気状態次第というところで、まぁ景気が悪くなればさらに倒産件数は増えるでしょうし、景気がもし改善するのであれば、まぁその程度ぐらいで収まるだろうというところで、次の日銀総裁の元でどういう政策をとるのか、今の状況だと『金利を引き上げるべきだ』という議論のほうが多いわけですし、『円安のほうが厳しくて、円高のほうがいいんだ』って言っている人も多くて、そういう政策をとろうとしているわけですし、同時に法人増税を含めてやるっていう方向が見えているわけですが、そういう状況が本当に企業倒産のことを考えた時に良い政策なのかどうか。
もっと言うと、金融機関の方を中心によく言う『ゾンビ企業だから問題だ』って言うんであれば、まぁ『倒産がもっと増えろ』っていうのが彼らのゾンビ企業論の基本的な考え方ですから、そういう人たちが主導権を握って行う政策の元でどうなるか、っていうことだと思いますね」

寺島アナ「そうなっちゃったら、どうなるんですか? 日本の経済は」

嶋津氏「やっぱり、そういうことがおかしいんだって思わなきゃいけないわけですね。『ゾンビ企業だから潰れろ』っていう議論って、私は非常に傲慢というか、当事者意識を欠いたような議論だとは常に思っているんですけども。そういう人たちが多かれ少なかれいるっていうことを考えながら、選挙も含めて選択していかなきゃいけないなと思いますけどね」

「おはよう寺ちゃん」は平日朝5~8時、文化放送(AM1134kHz、FM91.6MHz、radiko)で放送中。 radikoのタイムフリー機能では、1週間後まで聴取できます。

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