中田総合法律事務所

第20回 2010.03.04 ON AIR

2010/03/04

『センパツ!』毎週木曜日の『情報満載スタジアム』は
「弁護士中田のタイムリートーク」
 
毎週、その時々の“タイムリーなニュース”を
中田総合弁護士事務所の中田[なかだ]光一知[こういち]先生が
“法律”の観点から解説します。
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 ○注目のニュース
  
  夫婦別姓

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  選択的夫婦別姓の、今国会での成立を目指す
  千葉景子法務大臣は、先月15日の衆議院予算委員会で
  実現に向けた民法改正の方向性について説明。

  夫婦別姓を行った際の子供の姓は
  父母のどちらか一方の側に統一する意向を示しました。

  従来の民主党の案では、
  子供それぞれの判断で、
  父親か母親のどちらかの姓を選択することが可能とされ
  兄弟姉妹で姓が異なるケースが起きうることを認めていました。

  千葉法務大臣は、方針変更の理由について
  「姓は父母どちらかの側に統一すべきだとする法制審議会の意向を尊重したい」
  と答弁しました。

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  ◆ポイント1 法律で定められている夫婦同姓
 
   1970年ころから議論がなされている『夫婦別姓』問題――。
   (法律用語では『夫婦別[]と表現)

   日本の民法では、婚姻前の夫婦の一方の姓を名乗ることが定められています。
   
  中田 「いうならば『夫婦同姓強制主義』という考え方で
       “法律婚”をする約98%の夫婦が『夫』の姓を名乗っている――
       といわれていることを考えると
       (事実上)“夫の姓を強制していることにならないか”
       という議論が前提にあるんです」

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  ◆ポイント2 夫婦同姓に従いたくない場合
 
   ◆ケース1:旧姓を“通称”として使用する。

   ◆ケース2:法律婚をせず、事実婚を選択(籍を入れない)。

  中田 「今は、こうした選択の方法しかない、
       ということになるわけです」

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  ◆ポイント3 夫婦別姓を認める方法
 
   ◆ケース1:選択的夫婦別姓 A案

    子供の姓は、夫婦どちらか姓に統一する。

   ◆ケース2:選択的夫婦別姓 B案

    子供の姓についても「選択を認める。

   ◆ケース3:例外的夫婦別姓

    夫婦同姓を原則としながらも、 例外的に夫婦別姓を認める。
    (実質的には、ケース1、2と変わらない――といわれている)

   ◆ケース4:家裁の許可を得て、夫婦別姓を認める

    (例)お墓を守る――など、文化、習俗の観点から、
       必要性がある場合に限定して許可をする考え方。
    (例)職業上の理由で、一定の場合に許可をする考え方。

   ◆ケース5:通称使用を法律的に認める

    戸籍上は「夫婦同姓」としながらも
    法律的に「通称の使用」を一般的に認める――考え方。

  吉田 「“夫婦別姓”って、ひと言でいっても
       本当にいろんな種類があるんですね!?」

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  ◆ポイント4 『姓』と『氏』の違い

  中国や韓国などでは、
  女性が結婚後も出身一族の姓を担う考えから、夫婦は別々の姓を名乗ります。
  (父系氏族文化)

  【姓】・・・男系の先祖を表す

  【氏】・・・家の名前と考えられ、先祖が誰であるかは考慮しない。

  戦前の日本では、姓と氏は厳密に区別され、姓は生涯変わらず、
  氏は結婚・縁組で変わるもの――と考えられていました。


  中田 「中国で考えるのは『姓』、日本で考えるのは『氏』
       日本で考えるのは夫婦別氏の議論なんです」

 
  “中国、韓国と同じように”『夫婦別姓』でもいいのでは?――と
  考える場合もあるかもしれませんが、
  文化的背景の違いから、
  日本の“夫婦別氏”とは、議論の根本の考えが異なるのです。
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  ◆ポイント5 夫婦同姓が一般的なアメリカ

  『夫婦別姓』が最も進んでいそうな国は・・・?

  吉田 「アメリカですか?」

  中田 「法律の規定はないんだけど、アメリカは
       夫婦同姓が一般的なんです」

  ◆旧姓をミドルネームにするケースがあります
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  ◆ポイント6 結婚したら家族一体/夫婦同姓のイギリス
 
  イギリスでは、結婚した場合「家族は一体」である――という考えが強いため
  アメリカ以上に、夫婦同姓の考えが一般的といわれています。

  ◆英語圏の国では、夫婦で統一するケースが一般的。
  ◆ただし、統一しなければいけないわけではありません。
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  ◆ポイント7 スペイン語圏の国のケース
 
  スペイン語圏、ポルトガル語圏の国では
  父方、母方の祖父 両方の姓を名乗る習慣があります。

  中田 「法律の強制はないんですけど、
       みなさん、そうしてるんです」

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  ◆ポイント8 『姓』がないアイスランド
 
  アイスランドでは『姓』がなく、名前に“父”の名前をつけます。

  吉田 「中田先生が私のお父さんだったら
       光一知[こういち] 涙子』ですか?」

  中田 「“光一知さんの娘”ということなんですね」

  吉田 「面白~~い!(笑)」

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(中田)
イギリスの例のように“家族が一体となる感覚・観念”は大切にすべき――
という考え方もありますが、
いろんな考え方がありますから
“夫婦同姓を強制する”ことは必要なのか――?という議論はあってしかるべき。

“強制すべきではない”――という意味で“選択的”にする方法もあるのでは。

この問題は、十分な議論を尽くさなずに決めると
容易には元には、後に戻らなくなりますよ――ということだと思います。

 
次回もお楽しみに!

投稿者 senpatsu : 2010年03月04日 21:00

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