2017/4/24

マクロン、ルペン氏決選投票へ 中道と極右、仏大統領選

【パリ共同】欧州連合(EU)からの離脱やテロ対策を主な争点に主要4候補が大混戦を展開したフランス大統領選の第1回投票が23日、即日開票された。親EUで超党派の市民運動「前進」を率いる中道系のエマニュエル・マクロン前経済相(39)が23・75%を得票し首位、EU離脱を訴える極右政党、国民戦線(FN)のマリーヌ・ルペン党首(48)が21・53%の2位で、5月7日の決選投票進出を決めた。決選投票ではマクロン氏が優勢とみられる。
 FNの決選進出は、現党首の父ジャンマリ・ルペン前党首(88)が第1回投票で2位となり「ルペン・ショック」と呼ばれた2002年以来。

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拓殖大学非常勤講師
塚越健司
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フランス大統領選で気になるのは、米大統領選でも問題となったいわゆる「フェイクニュース」。米大統領選ではヒラリーに関する嘘や対立を煽るフェイクニュースがよく読まれたが、その動機には金銭目的が挙げられる。フェイクニュースが拡散されることで、金銭目的の記事執筆者は、月収100万円をこえることもあったからだ。他方、より重要なのは、政治目的のフェイクニュースの存在だ。アメリカ政府はロシア政府が大統領選当時、政治に介入するためにフェイクニュースを拡散したと考えており、現在もロシアとフェイクニュースの関係を調査している。


このような背景から、フェイクニュースは政治と金をめぐる大きな問題となっている。今回もフランスではフェイクニュースが横行しており、マクロン候補にはサウジアラビアから資金援助を受けたとか、アメリカの金融業界の代理人だとか、同性愛疑惑があるなど、根も葉もないフェイクニュースが拡散される被害を被った。またこうしたフェイクニュースを、対立するルペン氏率いる国民戦線の議員がSNSでシェアしていたが、これもアメリカでヒラリーに関するフェイクニュースをトランプ陣営の人物がシェアしたのと同じ構図だ。


現在、フランスをはじめヨーロッパでは、フェイクニュース対策が進んでいる。「BBC」や「ル・モンド」、「バズフィード」など、イギリスとフランスを中心とした計37社のメディアが協力し、事実確認サイト「クロスチェック」を立ち上げている。様々な対策が進められる背景には、9月にはドイツで連邦議会選挙があったりと、ヨーロッパ全体がフェイクニュースに危機感を覚えているからだ。この問題は今後も注目されなければならない。

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