2018/7/06

中国、米発動後に追加関税 日本時間6日午後に同時

【北京共同】中国税関総署は5日に声明を出し、6日に発動する米国製品に対する追加関税措置について「米国の追加関税の効力が発生した後に(中国は)実施する」と明らかにした。中国の追加課税は、米国が課税する現地の6日午前0時1分(日本時間同午後1時1分)以降に始まるとみられる。米中の制裁関税は同時に発動される。
 米国が仕掛けてきた高関税措置に対抗するとの立場を明確にすることで、国際世論を味方につけたい思惑があるとみられる。
 中国財政省は3日、共同通信の取材に対して「日付の変わる6日午前0時(日本時間同午前1時)をもって実施する」と説明していた。

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国際ジャーナリスト
高橋浩祐
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米中両国が相互に高関税措置に入る6日がとうとう来た。トランプ大統領は11月の中間選挙前に、アメリカ国民に分かりやすく訴えやすい「貿易赤字」という数字を減らす努力を見せつけている。しかし、市場原則に反する高関税措置は、アメリカの製造業者にはコスト高、消費者には物価高をそれぞれじわじわともたらす。例えば、5日付のニューヨークタイムズの記事によれば、カリフォルニア州オークデールの精密工場の製造現場では、さっそくコスト高に対処するため、消灯しながら工場を稼働するという。


こうしたことが起きる大きな時代背景としては、やはりアメリカが「自由貿易の盟主」「世界の警察官」を務められるだけの余裕がなくなってきていることがある。戦後の国際秩序を維持してきたアメリカの覇権力が低下してきている。例えば、アメリカは第2次世界大戦終了後、圧倒的な海軍力で太平洋など世界の7つの海を守り、航行の自由を保障してきた。しかし、かつて約6700隻もあった米軍の艦船は今や、その5%にも満たない戦後最少の280隻余りにまで減っている。このため、アメリカは、マラッカ海峡やソマリア沖での海賊の出現といった事態を引き起こしてきたほか、南シナ海の南沙諸島や西沙諸島では、野心あふれる中国の実効支配の動きを容認せざるを得なくなってきている。


核保有国で世界第2位の経済大国の中国なら、アメリカに真っ向から報復関税措置で対抗できる。しかし、日本や韓国といったアメリカに安全保障を大いに依存している国々は、トランプ大統領の安全保障と通商をリンクさせた「重商主義」になかなか真っ正面から立ち向かうことができない葛藤がある。今後の日本の国益を考えるならば、アメリカに自らの安全保障を依存し過ぎて、もろもろの通商問題や外交問題で泡を食わないよう、憲法9条の改正を含め、徐々に自主防衛を強化していくことが望ましい。

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