2017/5/15

パチンコ入場禁止を制度化へ 依存症対策、家族ら申告で

政府、与党は、パチンコや公営ギャンブルの競馬などで深刻な依存症に陥った顧客に対し、事業者が入場禁止措置を取れる制度を導入する方針を固めた。国内のカジノ解禁を踏まえた依存症対策強化の一環。本人や家族の申告を基に適用する仕組みを想定している。関連法改正も視野に入れ、今夏までに制度の骨格を固めたい考えだ。政府関係者が13日明らかにした。
 政府が3月に発表した面接調査結果によると、生涯で依存症の時期があったと疑われる人は2・7%。調査対象が大都市に偏っているとの指摘があるが、国勢調査のデータに基づく単純計算で約280万人となる。

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みずほ証券チーフクレジットストラテジスト
大橋英敏
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第一印象としては、本末転倒な政策と思います。ギャンブル依存が社会問題というのなら、公営を含むギャンブル経営を禁止すれば良いわけです。ギャンブル経営が止められないからギャンブル依存症を排除するというのは、ギャンブル経営の立場からは、最も儲かる顧客を排除して経営することに等しいです。


一方、ここまで書きながらも、ギャンブル依存症への対応策は必要と考えます。しかし大きな壁もあります。そもそもギャンブル依存症をどのように定義するのか。年収1億円の人が年間8000万円ギャンブルにつぎ込むのは十分にギャンブル依存症と言えそうですが、この人が普通に働き、家族を困らせるような生活費の使い込みをしていなければ、おそらく社会的な制裁を与える必要もないでしょう。


政府は、結局何をやりたいのかを明確にし、ターゲットとなる人(ターゲット層)の特定と共に、ターゲット層にギャンブルにつぎ込む資金が行き届かないようにするような政策を実施する方が、正確にターゲット層をギャンブルから排除できると思うのですが。

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