2017/6/20

NY株続伸、また最高値 SPも更新、ITが主導

【ニューヨーク共同】週明け19日のニューヨーク株式市場のダウ工業株30種平均は大幅続伸し、前週末比144・71ドル高の2万1528・99ドルと終値の過去最高値を2営業日連続で更新した。前週末まで下落基調で推移していたアップルなどのIT株が買い戻され、相場を押し上げた。上げ幅は4月下旬以来、約2カ月ぶりの大きさ。
 幅広い銘柄で構成するSP500種株価指数も20・31ポイント高の2453・46と4営業日ぶりに最高値を更新。ハイテク株主体のナスダック総合指数は87・25ポイント高の6239・01で、上げ幅は昨年11月上旬以来、約7カ月半ぶりの大きさだった。

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拓殖大学非常勤講師
塚越健司
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今回のハイテク株の買い戻しの背景には様々な事情がありますが、私が注目したのは、先週末にアマゾンが高級スーパーの「ホールフーズ」を137億ドル(約1.5兆円)もの額で買収したと発表したことです。これを契機に市場はIT業界が新たな段階に入ったと感じたことが、今回の買い戻しの原因のひとつにあると思われます。

ホールフーズの買収の何がすごいのか。まずアマゾンは生鮮食品を配達する「アマゾンフレッシュ」を展開する一方、実店舗を設置し本などを売りはじめています。生鮮食品はやはり実店舗で見て触って選びたい消費者にとって、スーパーのような実店舗は都合がいい。さらにアマゾンは自宅に設置されたボタンを押すだけで指定した日用品が配達される「アマゾンダッシュボタン」というサービスもはじめているので、配達拠点が各地に展開されれば倉庫代わりにもなり、即座に商品配達が可能になります。

加えてアマゾンは無人店舗「アマゾンゴー」も展開しはじめています。これは商品をカメラやセンサーに通すだけで人工知能が認識して決済可能という画期的なものです。実店舗を買収し、これを無人で運営するとなれば、当初はシステム維持に費用がかかるとはいえ、長期的には人件費の大幅な削減になります。さらにアマゾン会員の囲い込みにも成功し、より多くのアマゾン会員を獲得し、データ分析など他のビジネス領域にも展開可能です。IoT(モノのインターネット)時代はすべての商品がネットと繋がる時代です。生鮮食品でさえ、IT企業のビジネス対象なのです。

すでにIT業界は実店舗の運営にも多くの利益を見込んでいます。AppleやGoogleも様々な展開を考えていると思われますが、これらを察知した市場がIT業界に期待を寄せたのではないでしょうか。

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