2017/7/05

北朝鮮ICBM発射成功と米高官 アラスカ到達能力、分析継続

【ワシントン共同】北朝鮮が4日行った弾道ミサイル発射実験について、米政府はこれまでの分析で、北朝鮮の主張通り大陸間弾道ミサイル(ICBM)で、成功だったとの見方を強めた。複数の米メディアが米政府高官の話として4日報じた。NBCテレビによると、射程約5600キロ以上で、米アラスカに到達する能力があるとみられている。
 まだ最終結論ではなく、米軍はさらに詳細な分析を進めている。
 初期分析では、北朝鮮が5月14日に発射した一段式の新型中距離弾道ミサイルとみていた。しかしその後の分析で、2段目のロケットエンジンが噴射し、30秒間さらに飛行したことが分かったという。

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国際ジャーナリスト
高橋浩祐
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北朝鮮がこのタイミングでICBM(大陸間弾道ミサイル)を発射したのは、国際社会が北朝鮮の核ミサイル問題でぐっと圧力を高めていることに対する反発があるとみられる。


 先週の米韓首脳会談やドイツで今週末に開催される20カ国・地域(G20)首脳会議において、国際社会が北朝鮮の核ミサイル開発に対する圧力を強めていく流れの中、北朝鮮初のICBM発射実験がこの時期にあるのではないかと軍事専門家の間では予想されていた。筆者も産経新聞のJapan Forward ( http://bit.ly/2uFtEhZ ) で先日、書かせていただいたように十分予想していた。北朝鮮の朝鮮中央通信は5日、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長が「われわれの戦略的選択を目の当たりにした米国の奴らはとても不愉快だろう。独立記念日のわれわれからの贈り物が気にくわないだろうが、これからも大小の贈り物を頻繁に送ってやろう」と述べたと報じている。


 いずれにせよ、北朝鮮の金正恩氏は国際社会から圧力を受ければ受けるほど、倍返しで反発する気性の荒いリーダーであることが改めてわかる。


 ミサイル発射の一報を聞き、40分という飛行時間に率直に驚いた。冷戦時代の米ソのICBMは約30分で約8000キロ飛んでいる。それを上回る飛行時間だ。

 アメリカのトランプ大統領は金委員長の度重なる挑発に、先制攻撃の本気度をずっと試され続けているが、韓国や日本の多大な被害リスクをマティス国防長官ら側近たちがしばしば指摘するなか、今もそれができずにいる。このため、トランプ政権は中国を通じて間接的に、あるいは、直接的に北朝鮮に対し、軍事的圧力を含め、さらなる強硬姿勢に打って出てくることが予想される。


 北朝鮮に対し、手詰まり感のあるトランプ政権は今後どのような策にでるのか。筆者は北朝鮮にとって致命的で生命線となっている中国からの石油供給停止を、習近平政権に対して強く求めていくのではないかとみている。


 詳しくは、拙稿「北朝鮮「ICBM発射成功」は巨大災厄をもたらす」( http://toyokeizai.net/articles/-/179247 )をお読みください。

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