2017/9/20

首相、財政規律目標先送り 25日に解散と同時表明へ

安倍晋三首相は、2020年度に基礎的財政収支(プライマリーバランス)を黒字化する財政健全化目標を先送りする方針を固めた。25日に記者会見を開き、28日召集の臨時国会冒頭に衆院を解散する意向を示すのに合わせて表明する方向だ。全世代型の社会保障制度改革に伴う措置と位置付ける。看板政策「人づくり革命」推進へ17年度補正予算編成も検討する。政府関係者が19日、明らかにした。財政規律が緩む恐れがあり、野党が反発するのは必至で、衆院選で大きな争点となりそうだ。
 首相は国連総会出席のため米国を訪問中で、22日夜に帰国する。

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博士(経済学)・帝京大学経済学部教授・慶大経済学部非勤
宿輪純一
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最近、特にそうであるが、政治の世界では、どうしても短期的な甘い政策を好む性質(ポピュリズム)がある。これを「政治的配慮」と筆者は呼んでいる。これは、特に選挙になると如実に表れる。今回の財政規律目標とは
基礎的収支(現在は40兆円程度の赤字)を2020年に黒字にする、いわば、借金をしないようにしようとするものであった。この先送りの結果としては財政赤字の縮小がお座成りになり、将来の借金が増えていくことになる。この方針で短期的には景気が良くなるであろうが、中長期的には悪くなる可能性が高い。ザックリいうと、年金は政府が支払ってくれるため、このままだと年金の政府負担分が減額になるという不安が高まるのである。この将来不安のため、国民は消費の拡大には踏み切れなくなっている。
制度もあるが、これは国民の側にも問題があるとも思える。長期的に考えることは、賢さの問題である。特に中長期的な問題は、考え方、すなわち生き方の問題と考えている。世の中には、借金が多額でも気にしない人もいるのである。

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