2017/9/29

「君の名は。」米で実写化へ 昨年大ヒットのアニメ映画

 東宝は28日、昨年大ヒットしたアニメ映画「君の名は。」の実写映画化に米ハリウッドで着手したと発表した。パラマウント・ピクチャーズとバッド・ロボットと共に開発を進めるという。プロデュースは映画「スター・ウォーズ フォースの覚醒」などを監督したJ・J・エイブラムス氏らが担当する。
 東宝によると、公開時期は未定。脚本はSF映画「メッセージ」の脚色を担当したエリック・ハイセラー氏が執筆する。
 アニメ映画を手掛けた新海誠監督は「ハリウッドと交わることで、新しい可能性のようなものを見せてもらえるのかも、と楽しみに待っています」などとするコメントを発表した。

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博士(経済学)・帝京大学経済学部教授・慶大経済学部非勤
宿輪純一
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実は、筆者は経済学博士だけではなく、プロの映画評論家でもある。米国映画では、シナリオ(ネタ)が不足している。そこで海外でヒットした作品をリメイクすることが良く行われている。パラマウントピクチャーズ、『スターウォーズ』『スタートレック』などのJ・J・エイブラムスの製作会社(バッド・ロボット)が実写映画化の権利を獲得した段階で、現在は東宝と検討している段階である。キャスティング、ロケーション、そして政策日程などほとんど決まっていない。
ハリウッドの日本のアニメ映画化はなんとなくパッとしなかった印象が多いので期待したい。
さて、2016年8月に公開されたオリジナルの「君の名は。」は日本の映画史に残る大ヒットを続けた。時間を超えて、お互いに知らない、岐阜の田舎町で生活している少女と東京に住む少年が、不思議に関係が奇妙な夢を通じて、導かれていく。場面は1,000年に1度のすい星来訪が、1カ月後に迫る現代の日本。
山々に囲まれた田舎町に住む女子高生の"三葉(みつは)"は、町長である父の選挙運動や、家系の神社の風習などで気持ちは重かった。東京在住の男子高校生"瀧(たき)"は自分が田舎町に生活する少女になった夢を見る。やがて、その高校生の男女が入れ替わってしまう設定となっている。お約束であるが、最終的に災害に巻き込まれていく・・・。
経済・金融が専門と思われているが、実際は東京大学大学院で企業戦略を教えたのが最初の教鞭である。実は経営系も専門なのである。前職のメガバンクでも経営企画関係の部署にも長く勤務した。そういった企業戦略の観点から考えると、この映画の"新しさ"が良くわかる。
映画もそうであるが、マーケティング(モノを売る仕組み)で一番大事なのは「分かりやすいシンプルなコンセプト」であると教えてきた。お客様が分からないものは、買う気にならない。そのため、コンセプトはシンプルなものに向かっていく傾向がある。映画もそうであった。しかし、本作は違う。「コンセプトが多すぎる」のである。しかも、それを"魅力"としている点である。
 非常に高度なアニメ(技術)、かわいい女子高生の生活、若者の正義への行動、親との反目、田舎とメガ都会の比較、時空を超えた関係、日本の伝統と考え方、日本の一般生活を超えた神秘、自然の大災害(とくに隕石は映画のテーマでは多い)など、コンセプトが非常に多い。結果的に1回見ただけでは、十分に理解できないかもしれない。だから、何回も足を運ぶのであろう。
 しかし、もっとも言いたかったことは「さまざまなものは"一瞬"で終わるもの」であるということではないか。そうであるならば、日々時間を無駄に過ごしていられない。日々、後悔のないよう、精一杯努力して生きることが大事だと思う。そして、結果というものよりも、努力するその過程こそ大事であり、そこに本当の幸せがあると思う。

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