2017/11/03

フェイスブック最高益更新 広告監視要員、2万人に倍増へ

【ニューヨーク共同】交流サイト大手の米フェイスブックが1日発表した2017年7~9月期決算は、売上高が前年同期比47%増の103億2800万ドル(約1兆1800億円)、純利益が79%増の47億700万ドルだった。主力の広告収入の拡大により2四半期連続で売上高、純利益とも四半期の過去最高を更新した。
 ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)は1日の電話会見で、昨年の米大統領選干渉疑惑に絡み、広告内容などを監視する人員を現行の約1万人から来年には2万人に倍増する計画を明らかにした。不適切な投稿を検出する新しい人工知能(AI)の開発も進めているという。

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拓殖大学非常勤講師
塚越健司
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不適切な広告や、ピュリッツァー賞を受賞したヴェトナム戦争の悲劇「ナパーム弾の少女」写真をポルノ認定して削除したりと、フェイスブックには多くの問題が指摘されています。加えてフェイスブック広告にどれだけ費用対効果があるかや、特に海外ではパブリッシャー(記事発信元となるメディア)がフェイスブック内で読める記事を提供することでフェイスブックにある種の編集権を握られてしまうことへの懸念など、プラットフォームとしてのフェイスブックに対してはもう何年も批判や疑問の声がきかれています。

それでもフェイスブックがこれだけ利益を得られるのは、世界20億ユーザーという驚愕の数字と、未だ増加するユーザー数に関連します。フェイスブック傘下のインスタグラムのユーザーも8億人なのに対して、日本人の好きなTwitterのユーザー数は3億3000万程度。どれだけフェイスブックの力が巨大かは一目瞭然です。

昨年の米大統領選からメディアとしての責任を批判されたフェイスブックがやっと対策に本腰を入れた結果が、広告監視要員の増加だと思われます。これ自体は素晴らしいことですが、「フェイクニュース」や「ポストトゥルース」的世界観の発信源であるインターネットが世界の知の基盤を揺るがす今、さらなる対応を願いたいところです。

最後に1点気になるのは、フェイスブックのユーザー数増加はいずれ頭打ちになると思いますが、その時にでもこうした対応を続けられるかどうかです。いずれ限界は来るので、その点にも注目したいと思います。

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