【ワシントン共同】トランプ米大統領は6日、エルサレムをイスラエルの首都と認定し、テルアビブにある米大使館の移転準備を始めるよう国務省に指示したとホワイトハウスで正式発表した。歴代米政権が中東混乱への懸念から避けてきた措置に踏み切り、政策転換した。「過去の失敗した戦略を繰り返しても問題は解決できない」と強調、パレスチナ和平実現に向け「新たなアプローチ」を始めると表明した。
イスラム諸国が猛反発しており、トランプ氏の決定への懸念が国際社会で広がっている。
エルサレムの首都認定と大使館移転を求める法律は議会が1995年に可決した。
2017/12/07
米、「エルサレムは首都」宣言 イスラム諸国、猛反発
博士(経済学)・帝京大学経済学部教授・慶大経済学部非勤
宿輪純一
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中東アラブ諸国とイスラエルとの対立は否めない大きな問題である。いうまでもなく、イスラエルはユダヤ人の国家である。トランプ政権は親イスラエル(ユダヤ)政策を展開しており、その一環ともいえる。前のオバマ大統領は民主党ということもあるが、反イスラエルの政策を展開していただけに、その差異が鮮明である。エルサレムを首都として認める法案自体は95年に成立しており、歴代の政権が中東の混乱を避けて、放置していた案件であった。
この度、トランプ政権がこの宣言を出したことにより、中東は緊迫した状況になっている。現在、スンニ派のサウジアラビア勢力とシーア派のイラン勢力との対立が激化していただけに、さらに中央情勢が不安定化する。
このようなリスクの高まりの為、金融市場では、世界的に株式は下落し、為替市場においては、低リスク通貨である日本円が買われるという動きがでた。
今年は米国と中国が新興国を始めとした世界経済を引っ張る形であった。中国が共産党大会の後、無理な景気刺激策をやめてきていることからも、上海株は下落している。先進国は共同歩調をとって金利を上げてきており、新興国から資金の逆流による経済(通貨)危機もが懸念されている。
このような不安定化している経済状況の中、さらに世界的に様々な国で地政学的リスクが高まっており、実際にリアルな戦争になった場合などには、それがきっかけとなって、経済危機が起きることを懸念している。
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