2018/1/08

「自己啓発」市場、9千億円超 平成元年比3倍に拡大

スクール通学や書籍購入など、自身の能力を向上させるための「自己啓発」に関する市場が、2016(平成28)年現在の推計で9049億円となることが7日、共同通信が三菱UFJリサーチ&コンサルティングに依頼した調査で分かった。1989(平成元)年推計と比較すると、約30年間で約3倍に拡大。宝くじの年間売り上げと同程度の市場規模で、国民1人当たりに換算すると、年間約7千円を支出している計算になる。
 終身雇用制の下では企業が従業員の能力開発を担ってきたが、バブル崩壊後の景気低迷などを経て、個人が自発的に自己啓発に取り組む形態へと移行が進んだ。

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拓殖大学非常勤講師
塚越健司
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企業による作業員の能力開発という要素も重要ではあるが、モノが飽和した社会において、フィットネス同様、自己投資にビジネスが集中していったことも考慮するように思われます。そして肩書が通用しなくなった社会において、自己追求によって現状を打破しなければならない社会に、バブル崩壊以降急速に転換した側面もあるでしょう。これに関してはアメリカのジャーナリストであるポール・ロバーツの『「衝動」に支配される社会』が参考になるかと思います。アメリカの消費社会化が、モノから自己の内面を満たすための消費へと転換する有り様が描かれており、現在のSNSにもつらなる問題を論じています。

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