2017/5/08

仏大統領に中道マクロン氏 39歳、史上最年少

 【パリ共同】欧州連合(EU)からの離脱やテロ対策が主な争点となったフランス大統領選の決選投票は7日、即日開票され、親EUで超党派の市民運動「前進」を率いる中道系候補エマニュエル・マクロン前経済相(39)が当選を確実にした。EU離脱を訴えた極右、国民戦線(FN)のマリーヌ・ルペン候補(48)は敗北した。39歳のフランス大統領は19世紀のルイ・ナポレオン(後の皇帝ナポレオン3世)より1歳若く、同国史上最年少。
 国営テレビが伝えた予測得票率はマクロン氏65・1%、ルペン氏34・9%。

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みずほ証券チーフクレジットストラテジスト
大橋英敏
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4月23日の第一回投票後の世論調査で既に雌雄決していた感があり、特段サプライズではありませんが、本格的な政治リスクの払しょくと見て、概ね金融市場は好感すると思います。
さて、移民問題や経済の低成長化など、フランス国民に既存政治に対する不満があるのですが(故に既存二大政党の候補者が決選投票に残れなかった)、米国大統領選同様に、究極の選択(本当はどちらも嫌だが選択肢が2つしかないのでどちらかを選ばざるを得ない)を強いられたため、投票率は約75%程度と低迷(1969年大統領選以来の低水準)した模様です。世界のメディアが大々的に報道するほどにはフランス国民は熱狂していない(むしろ冷めている)とも言えます。


今後、マクロン氏は二大政党を軸とした連立政権樹立を余儀なくされると思われるため、政策遂行には大きな不透明性が残ります。フランスのEU離脱やユーロ離脱という最悪のシナリオは遠のきましたが、政策的な前進には程遠い状態にあるため、フランス経済に対して必ずしもポジティブな見方をすることも出来ないと思います。
そして、欧州の次の焦点は、イタリア(反EU勢力が仏よりも多いと言われている)の政治情勢にシフトすると思われます。依然として目が離せないです。

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