2018.11.12

ライダーと妊婦が来店!? ワークマンの新業態「ワークマンプラス」はこうして生まれた

nmt事務局
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文化放送・The News Masters TOKYO「マスターズインタビュー」。今回のインタビューのお相手は、株式会社ワークマン・代表取締役社長の栗山清治さん。1954年、千葉県のお生まれで、1985年に株式会社ワークマンに入社、2009年に代表取締役社長に就任されました。

ワークマンといえば、「作業服」というイメージかもしれませんが、今年9月にららぽーと立川立飛に、カジュアルウェアを取り揃える新業態「ワークマンプラス」をオープン。プロゴルファーで、The News Masters TOKYOパーソナリティのタケ小山がオフィスに訪れ、開口一番これに食いつく。

◆ワークマンプラスはいかにして生まれたのか?

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番組スタッフが事前にワークマンプラスのお客様に取材をしたところ「安くてかっこいい。ストレッチ性、機能性も良さそうなので、父の誕生日プレゼントに」という女性から、興味本位で入ったら「パンツが気に入ったので買った。値段も安い」という一般客の男性まで、新たな層に確実にリーチし始めている。

タケ「取材によりこのようなお声をいただきました。感想をお願いします」
栗山「とてもありがたいです。『ワークマンのことは知っているけど、入りづらい』という声が多く、何か変えないといけないというところで、製品が変わって、売り場が変わって、最終形に向けて成長した過程がワークマンプラスなんです」

タケ「ワークマンプラスが生まれたきっかけは何でしょう?」
栗山「ワークマンの製品が洗練されてきたなかで、欲張ってきたんです」

今までは作業場でしか着られない作業着を扱っていたが、カジュアルな着方もできるのではないかということで、思い切って売り場を作ってみたのが、ワークマンプラス誕生の経緯だった。「作業服=ワークマン」というイメージは定着していたものの、SNSやブログなどで、バイクに乗っている方や妊婦さんに「ワークマン」の商品を使ってもらうことが出来て商品の可能性が広がっていったという。

◆ワークマンプラスの商品は?

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カジュアルウェアを取り揃える新業態「ワークマンプラス」をオープンした「ワークマン」。栗山社長は、そこでの製品をこのようにとらえている。

「毎日使うので、それに耐えられる値段でないといけないし、洗濯に耐えられる製品で、いわば下着みたいなものです」むしろ高級品だと困るのである。「低価格で、でも機能は欲しい!」という消費者のワガママを突き詰めているのだ。

ワークマンプラスは今後10店舗出店を目指しており、一つはショッピングセンターで11月22日に「ららぽーと富士見」にオープン。他にも既存の中野島のワークマンの店舗に、ワークマンプラスを追加した新店舗も11日にオープン。

タケ「オープンの際には、バイクでブーンと行きますよ」
栗山「バイクと言えば、実は今ワークマンはライダーにも人気なんです」

寒い時には相応のジャケットをライダーは着ていたが、一般のお客への可能性も感じたワークマンは、ライダーの声も聞いて、例えば正面から雨が入りにくい機能や、フードの形にもこだわったジャケットを開発。こうした声を反映していったことによって、成功している。その秘訣について、栗山社長はこのように分析している。

栗山「リピーターとなる働く人が、使いやすいということをメインに考えて作ったからではないでしょうか」思わぬ方向転換は、当たり前のことを当たり前にやった結果のようだ。

◆リーマンショックからの立て直し

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栗山社長は、リーマンショック後の2009年に社長に就任。世界的に未曾有の不況に陥り、ワークマンもその例外ではなかった。特にワークマンの場合は、フランチャイズ経営なので、社員よりも先にそうしたフランチャイズ(加盟店)の売り上げが減ったのだ。

「これはショックなことだった」と当時を語る栗山社長。さらにこう続ける「会社の売り上げが悪くなると、みんなが勝手なことをし始めるんです」

それぞれの経験値から、色々とやり始めると、検証しようがなくなってしまう。そこで、働く人のために何が大切かを考えるようになった。そこで打ち出したのがEDLP=エブリデイ ロープライス

軍手や作業ズボンだったらどこにも負けない価格という「エブリデイ ロープライス」の商品群を増やし、お客さんにも、それが目立つような売り場づくりを展開していった。

タケ「調子悪い時は、価格を下げるということそのものが違うんじゃないかという意見も出たのではないでしょうか?」
栗山「毎日来てくれる人にそれができないと、毎日来てくれないですよ」

これを目立つところにそういった売り場を設置して、それがきっかけで、翌年くらいから浮上し始めた。ワークマンは、リーマンショックからは、このようにして活路を見出したのだ。

◆このご時世に給与を100万円アップ!?

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2014年に、「社員の給与を5年で100万円アップする」と発表した栗山社長。企業は儲けているけど、社員には還元せず内部留保にまわすというのが、一番よく聞くお金の流れ。しかしそれとは正反対のワークマン。そこには、どんな思いが込められているのだろうか。

タケ「社員の給与を5年で100万円アップすると宣言したそうですね」
栗山「おかげさまで2014年に宣言しまして、業績好調で5年間増収増益達成しました。来年の今期末には達成します」

対象は5年以上前からいた社員だそうだ。若い社員もいて、当時からいた社員と平均すると100万円アップとはならないが、従業員からは嬉しい話しか聞いていないという。

タケ「なせ、このようにしたのでしょう?」
栗山「小売業の給与は低く見られているので、業界の上の方の給与平均値を目指したという経緯があります」

さらに突き詰めると、給与とともに、社員のやる気をどんどん上げて、より良い人にワークマンを選んでもらって、一緒に仕事をしてもらいたいという想いも込められている。

タケ「なぜ社員に還元するのでしょうか?」
栗山「お店はフランチャイズでやっているので、まず先に利益は加盟店(フランチャイズ)にい行きます。社員は、会社の利益とイコールではありません」

しかし、売り上げが上がったら、社員の給与も上がると、社員の気持ちも上がる。業績もよければ...というところで、社員も一緒に頑張ってくれたそうだ。

今年の上半期の数字も好調に推移しており、「社員にも少し上乗せできたら」とうらやましい本音も飛び出した。

◆ワークマンの今後

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「ワークマンプラス」をオープンし、売り上げも好調のワークマン。今後の展開について、「ワークマンプラスをさらに拡張していければ...」と語る栗山社長。

一方CMでは、「あなたの知らないワークマン」と打ち出しているが、県庁所在地などに出店して、まだまだ知らない方に存在を知ってもらいたいと考えている。「海外進出もするのでは?」とよく聞かれるが、「まずは日本で1000店舗、1000億円を」と堅実な構えだ。

タケ「今後の夢は何でしょう?」
栗山「若い人を育てたいですね」

そのためには、色んなことを経験してもらいたいと考えており、今でこそメーカーに近づいた仕事をしているが、経験してもらいたいのはそこではない。

5~6年、ワークマンでの仕事を経験したらアメリカの流通視察に行かせて物流を学ばせる。アメリカに行きなさいと言うと、旅行ではないけどそこで学ばせるのは、流通業(ウォルマートやAmazonの物流倉庫)である。流通の基本はアメリカなので、アメリカの流通視察などに行ってもらい、それを何回か行ってもらいたい。そう考えている。

「ワークマンプラス」が好調のワークマン。その中には、「現場で働く」お客だけでなく、「ワークマンの中で働く」社員やフランチャイズにも気を配る栗山社長の流儀があった。そしてその企業イメージはいま、分岐点に差し掛かっている。このワークマンプラスが、どのように展開し、どのように企業イメージが変わるのか、期待したい。

【番組情報】
文化放送『The News Masters TOKYO』のタケ小山がインタビュアーとなり、社長・経営者・リーダー・マネージャー・監督など、いわゆる「リーダー」や「キーマン」を紹介するマスターズインタビュー。音声で聞くには podcastで。
The News Masters TOKYO Podcast
文化放送「The News Masters TOKYO」http://www.joqr.co.jp/nmt/ (月~金 AM7:00~9:00生放送)
こちらから聴けます!→http://radiko.jp/#QRR
パーソナリティ:タケ小山 アシスタント:西川文野(文化放送アナウンサー)
「マスターズインタビュー」コーナー(月~金 8:40頃~)

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