ショパンが所有したピアノでショパンの曲を弾くフォルテピアノ奏者

ショパンが所有したピアノでショパンの曲を弾くフォルテピアノ奏者

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「おとなりさん」(文化放送)のゲストコーナー「10時のおとなりさん」の2月21日のゲストに、フォルテピアノ奏者・川口成彦さんが登場! フォルテピアノ奏者が考える古楽器の魅力とは?

鈴木おさむ「まず、フォルテピアノって何かご説明いただけますか?」

川口成彦「ピアノって1700年頃にイタリアのフィレンツェでうまれて、鍵盤を押すとハンマーが弦を叩くマシーンな楽器で、時代ごとに新しいアイデアが導入されて変わっていったので、現代のピアノと18世紀、19世紀のピアノって全然違うんです。僕はモーツァルトを弾くときはモーツァルトの時代のピアノで、ショパンを弾くときはショパンの時代のピアノで弾きます。どの時代でも“ピアノ”なんですけどあまりにも違うので、便宜的に18世紀、19世紀の歴史的なピアノを“フォルテピアノ”と呼んでいます」

鈴木「あまりにも違う、って何が違うんですか?」

川口「現代のピアノは中に金属のフレームがあったりしてすごく大きいんですけど、元々ピアノって弱音を出すための楽器でもあって、発明当初はシンプルな構造だったんです。専門的な部分での違いもあるんですけど、一番は音がぜんぜん違いますね。ピアノって木のフレームに弦を張ってる楽器なので、古いほど“ピアノって弦楽器なんだ!”っていう感じです。フォルテピアノは弦楽器を弾いてる感覚がすごくあります」

川口成彦さんは二十歳の頃に初めてフォルテピアノに触れた。

鈴木「これは日本で触れたんですか?」

川口「日本です! 日本って昔から“古楽器”の先駆者がたくさんいて、この分野はアジアの中でも先進的なんです」

鈴木「日本に保存されてるんですか? 日本は戦争があったじゃないですか? 太平洋戦争で色んな文化財が無くなったと思うんですけど、どうやって保存されていたんでしょう?」

川口「日本にある古楽器は主に戦後に来たものだと思います」

鈴木「戦後から来たから、“そういうものを大事にしよう!”と考えて、保存されたものが多いんだ!」

川口「戦前からあるものもあって、日本に初めてピアノが来たのは1810年代だったと思うんですけど、そのピアノが山口県にあるんですよ」

鈴木「あるんですか! ちなみに、そういうのって触っちゃいけないですよね?」

川口「普段は展示物なんですけど、僕の先生の小倉貴久子先生はそのピアノを演奏したこともあって、普段は博物館に保存されている歴史的なピアノですけど、楽器って音を出さないと楽器じゃないので」

そんな川口さんは、2022年にワルシャワでショパンが最後に所有した1848年のプレイエルのピアノに触れた。

川口「古いピアノって年数経つと演奏不能になるくらいフレームがゆがんだりするんですけど、ショパンが最後に所有したピアノが2年前に修復が完了して、僕が触れる機会をいただきました」

鈴木「とは言っても正直そんなに変わんないでしょ? って思うんですけど、違うんですか?」

川口「ぜんぜん違います! プレイエルってメーカーは現代もいっぱい保存されてるんですけど、修復家の美学が入ったり現代の材料で修復することもあって、けっこう音色が変わることがあるんです。でもショパンが所有したピアノは、大切に保管されていたので状態が良かったんです! 触れたときに、今まで自分が触れたプレイエルの音色とは違いました。“ショパンが弾いてた音だ!”ってなりました」

鈴木「ショパンが弾いてたピアノ以外にも、世界にはそういうのって残ってるんですか?」

川口「あります! モーツァルトが所有したピアノとか、ベートーヴェンが所有したピアノとか、全部国の文化財ですよね」

鈴木「それは違うんですか?」

川口「ぜんぜん違います!」

鈴木「えー、本当にー!?」

川口「現代の演奏会に行くと、20世紀、21世紀のピアノでベートーヴェンとかショパンとかクラシックの音楽を弾くじゃないですか? それは作曲者本人が聴いてた音色とぜんぜん違うんですよね。例えば昔の白黒映画を現代にリメイクして3Dにしても、白黒映画にしか出せない色合いとかあるじゃないですか? だから音の情緒が時代ごとに違うんですよ! 時代ごとに魅力があるので、現代のわれわれがフォルテピアノに触れたときに感動することがたくさんありますね」


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