
【アナコラム】斉藤一美「夢を叶えても、なお」
文化放送メールマガジン(毎週金曜日配信)にて連載中の「アナウンサーコラム」。週替わりで文化放送アナウンサーがコラムを担当しています。この記事では全文をご紹介!
▼5月9日配信号 担当
斉藤一美アナウンサー
埼玉西武ライオンズが歴史的低迷から這い上がりつつあります。ファンの一人として毎日がとても幸せです。
ILLITの名曲”Almond Chocolate”にある…
推しは癒し
飽きず尊い
…という歌詞は全くその通りですが私の立場は…
遠い存在
見てるだけでいい
…というところからさらに踏み込みます。
グラウンドレベルに下りて選手の話に耳を傾け、彼らの思考をベースにした実況中継を日々、創り上げるのです。
しかも子供の頃から夢に見ていたアナウンサーとして携わっているならこんな幸せなことはないでしょう。
このありがたみは日常の厄介事に埋もれてしまうと残念ながらつい忘れがちです。人との会話でハッ!と思い出すパターンがしょっちゅうあります。
最近ではライオンズのドラフト2位ルーキー・渡部聖弥外野手と話した時に強く感じました。
(自分の顔と名前が出てもビジョンを見ずウォーミングアップにいそしむ背番号8)
3/28の開幕戦で5番レフトのスタメン起用が確定的だった彼は前日に…
今、シンプルにとても楽しみな気持ちでいっぱいです!子供の頃から夢見た場所に立った、という意味ではオープン戦の出場でも嬉しかったけど…やはり公式戦…しかもホームで開幕戦となるとまた違う雰囲気の中でプレーできるはずです。どんな気持ちになるんでしょうね?
…と饒舌に語り、目を輝かせていたのです。
翌日のプロ初打席はさすがに緊張でガチガチの状態でしたが、さっそく2打席目でヒットを打ってからはもう平常心に戻り「いつものように”チャンスで回ってこい!”という気持ちでいられた」そうです。
その後の彼は大舞台で面白いようにヒットを重ねてきました。バットを何本折ろうが打球はほぼ100%内野手の間を抜けていくので、ライオンズ元監督・辻発彦さんを『不思議な打者』と唸らせています。
2月の南郷キャンプからオープン戦を経て開幕後もずっと出ずっぱり。右足首の捻挫で二軍へ行っても短期間で戻り一軍昇格即3番打者としてフル出場。さすがに体が心配になったので”疲れを溜めないよう日頃から気をつけていること”を彼に尋ねると…
入浴して、しっかりと湯船に浸かります。風呂から上がってストレッチをした後は器具を使ったマッサージを欠かしません。
…とほぼ想像通りの答えでしたが”どれぐらいの時間、湯船に浸かるのか”を確認すると…
次の対戦相手の映像を気の済むまで見ているので、特に決まっていないんです。
…とのこと。とにかく真面目!さらに若者に絶大な人気を誇る大手動画投稿サイトやドラマ&映画のサブスクを観ることには…
ほとんど興味がないんですよ笑
…弱冠22歳のプロフェッショナルはまさに野球漬けの日々を過ごしています。頭の下がる思いがしました。しかも…
今のところは3連戦の後に一日休みがあれば体は完全に回復します。そもそも疲れが溜まりにくいタイプなので。
…と語り、6連戦が訪れた際のリカバリー方法をかなり前から模索していることを付け加えていました。
(試合前の円陣で声を出す姿は、何年も前からライオンズにいるかのような堂々とした雰囲気)
プロ野球選手になるための周到な準備を今も地道に継続する渡部聖弥選手から、私は毎試合、学ばせてもらっています。
夢を叶えて職業にした以上はどれだけ努力しても苦にならない、ということを。
【斉藤一美】
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