
過半数割れの参院選 石破首相「辞めない」姿勢に疑問
7月22日の「おはよう寺ちゃん」(文化放送)では、火曜コメンテーターで上武大学教授の田中秀臣氏と番組パーソナリティーの寺島尚正アナウンサーが、参議院選を終えた石破首相の続投表明について意見を交わした。
少なくとも石破さんの続投っていうのは国民的にはあり得ない話ですよ!
石破首相は参議院選挙の結果を受けた7月21日の会見で、自身の進退について続投する考えを正式に表明した。「政治には一刻の停滞も許されない。選挙結果に対する重大な責任を痛感しながらも比較第1党として責任を果たしていかなければならない」と述べた。
今回の参議院選では自民公明両党で47議席となり、非改選と合わせて参議院でも過半数割れとなった。
(寺島アナ)「石破首相の続投表明、改めて田中さん、これはどう受け止めていますか?」
(田中氏)「選挙前には“与党で半数が絶対目標”と言っていて、それをクリアできなかったんで、政治的な責任をとって総裁を辞めて総理をやめるのが国民の多くが期待していたところでしょう。『おはよう寺ちゃん』で私、一か月以上前から“負けても辞めないんじゃないか”と言っていましたけど、やっぱその通りになりましたよね」
田中氏は石破首相が総理を辞めないと予想していた根拠を述べる。
(田中氏)「各マスコミの世論調査を見ると、負けることはほぼ確定でした。今回、過半数のためには50議席が必要だったんですが、石破さんが“改選議席45くらいかな”とどこかで漏らしたらしいです。その読みは47で上回っているんです。だから本人としては織り込み済みで、さらにおまけをもらったと変な意味での安堵感があるのでは?何度も言うように、彼は自分の周りの村社会で生きていて、その村社会のルールと世間のルールが違うんですよ。世間は“今回負けたから退陣は当たり前”と思っていても、本人は飽くまでも派閥闘争の次元で考えているところがある。自民党の保守派がかなり落ちたので、党内で彼に歯向かう人がいなくなったんですよ」
(寺島アナ)「あ、今回の落選でね」
(田中氏)「さらに石破さんの次が誰なのか?石破さんを弁護する人だとか、あるいは自民党の保守派の台頭を嫌うような一部の変な世論の人たち、自称リベラルや左派の人たちも、意外と石破さんを推すんですよ。ただ、自民党は比較第1党ですよね?当然自分たちの党内のなかで総理大臣になりたい人はいっぱいいるわけですよ。石破さんが辞めたら誰もいない、なんて話には絶対ならないわけです。高市さんかもしれないし、小泉進次郎さんかもしれないし、河野さんとか茂木さんとか、あと小林さんとか。いっぱいいるわけですよ。それを国民がどう評価するかはまた別途ですけど、石破さんが辞めてもやりたい人はいるわけです。少なくとも石破さんの続投っていうのは国民的にはあり得ない話ですよ」
(寺島アナ)「今回の参議院選の野党の結果は、立憲民主党は野党第一党を維持したものの22議席横ばい。一方、国民民主党は17議席、参政党は14議席と躍進。日本維新の会は1議席積み増し7議席、衆参両院で与党が過半数割れしたことによって、物価高対策として公約した全国民への一人2~4万円の現金給付の実現。これも遠のいていくのか?というのもあります。」
(田中氏)「現金給付自体の政策を維持することは難しくて、軸は完全に減税。給付金政策の裏側っていうのは、財務省主導の緊縮政策なんですよ。減税政策の方もバリエーションがあって、国民民主や参政党やれいわ は、どちらかというと積極財政派なんですよ。反緊縮派です。ただ立憲民主や維新はどちらかというと緊縮財政ですよね?一旦は減税するけどその後に増税とか、維新の場合は小さな政府を見据えているわけです。そう考えると“緊縮か?反緊縮か?”という軸で、国民が反緊縮の方に多くの票を入れたということです。それを石破さんが野党との協議のなかでどう反映するか、と考えたら混乱必死でしょう。話がまとまりそうもないじゃないですか」
石破首相、「アメリカとの関税交渉について、8月1日の新たな節目も念頭に、関税でなく投資という考え方を基盤に、日米双方にとって利益となる合意を実現する」と述べた。
(寺島アナ)「“できる限りトランプ大統領と直接話をして、目に見える成果を出していきたい”と話したわけですが、日米の関税交渉への影響はどうでしょうか?」
(田中氏)「アメリカのベッセント財務長官が言ったように、“日本の国政なんか正直関係ない。アメリカはアメリカの主張を言うだけ”と。それは当たり前ですよね?日本もそうですから。そうであるならば別に石破さんじゃなくていいわけです。赤沢さんを支えているのは日本の外務省とか経産省とか官僚です。赤沢さん自身に交渉を引っ張るだけのカリスマ性は残念ながらありません。専門外ですから。たまたま石破さんと友達だからやらされているだけなので、石破さんを自民党のなかで変えて新しい総裁を決めて、それが総理になるかはやってみないと分からないですよ。野党側がまとまる可能性だってあるわけですから」
(寺島アナ)「その可能性もありますよね」
(田中氏)「日本側が石破さんでなければいけない、というのはアメリカ側から見てもあり得ないし、国民が見ても“石破じゃなくてもいい”という判断で、選挙で過半数取れなかったんだから。その結果を重く受け止めるべきですよ。あなたじゃなくていいんだよ?って突きつけているわけです」
(寺島アナ)「昨日の会見では、なんとか自分じゃなきゃと引っ張り寄せようとする感じでしたね」
(田中氏)「自然災害まで、首都直下型とか南海トラフとか、まだ起こってもいないことを持ち出してきて。なに言ってるんだ?」
〈出典〉
石破首相、続投を正式表明…いばらの道を「赤心報国の思いで国政にあたる」 | 読売新聞(https://www.yomiuri.co.jp/election/sangiin/20250721-OYT1T50126/)
「おはよう寺ちゃん」は平日朝5~8時、文化放送(FM91.6MHz、AM1134kHz、radiko)で放送中。 radikoのタイムフリー機能では、1週間後まで聴取できます。
※タイムフリーは1週間限定コンテンツです。
※他エリアの放送を聴くにはプレミアム会員になる必要があります。