
「原発脱炭素へ不可欠」と、関西電力が美浜原発に新設する原発の調査を開始
7月23日(水)の「おはよう寺ちゃん」(文化放送)では、水曜コメンテーター・経済アナリストの森永康平氏と番組パーソナリティの寺島尚正アナウンサーが、関西電力が福井県の美浜原発に新たな原子力発電所を新設するための調査を開始したというニュースについて意見を交わした。
AIの普及により、今までになかった電力需要が生まれ、発電事業者に新たな参入者が生まれる可能性も。
寺島尚正アナ「日本のエネルギー政策をめぐり、新たな転換点が訪れようとしています。関西電力の森社長は美浜原発において原発の建て替えに向けた地質などの調査を始めると発表しました。新たな建設の具体的な動きは、2011年の東京電力福島第一原発事故後初めてとなります。美浜原発建て替えに向けて新たな動きということなんですが、まず森永さん、どうお感じですか?」
森永康平「やっぱりこの電力需要っていうのが、少し前にはなかった新しい需要が出始めていると。それは何かというとAI、これを回していかなきゃいけないってなると新たな電力需要が必要ですよね。あとは半導体産業ですよね、これが急激に成長しているということなので、このAIデータセンター半導体っていうところの電力需要がまずありますね。一方で世界的な潮流として脱炭素っていう話があると。また別の観点から言うと電力代が上がって家計が厳しいと。これらを同時に解決しましょうってなると脱炭素でかつ電力供給を増やせば電力代は下がるわけですから、『どうするんだ』ってなった時に『原発なんじゃないの?』という話になってきた。ただそういう考え方っていうのは前からあったんだけれども、それにブレーキをかけていたのは日本の場合は特殊事情があって、やはり『311』の原発事故の記憶がありますから、もともと原発に対しては危ないって思っている人も一定数いた中で、あの事故が起きてしまったことによって、そこまで思ってなかった人たちもアレルギー反応が出始めたと。それが目先の電気代の高騰だったりとか新たな電力需要の誕生ということで綱引きをした結果、新たに原発を建てるというような話に舵が切られていったんじゃないかなという風に見てます」
寺島「関西電力の森社長は会見で『電力需要はデータセンターや半導体産業の急激な成長を背景に伸びていく。脱炭素を進めるためにも原子力は必要不可欠だ』と強調しました。未曾有の被害をもたらした福島第一原発事故から14年、安全性を高めた新しい規制基準の下で電力会社は既存の原発の再稼働を進めています。一方で電力需要の増大、温暖化ガス削減に向けた脱炭素の電源として原発に対する視線が変わりつつあると。AIの普及で電力需要が高まるという指摘、先ほど森永さんもそう指摘されておりましたが、このデータセンターですけれども、関東と関西でも90%なんだそうですからこのあたりも影響しています。原発に対する見方に変化が訪れているということなんですね。一方アメリカでは巨大IT事業者が自社のデータセンター用に原発から直接電力を買ったり、原発に隣接してデータセンターを置いたりする動きが広がりつつあるとも言いますが、このような取り組みは日本では難しいと言います。発電事業者は電力を消費者や業者に平等に売らなければならないルールがあって、原発立地地域や特定の顧客だけに電気を安く売ることは原則できないと言います。アメリカと日本では、事情が違うということのようですね」
森永「そうなってくるとどうなんですかね? もしかしたらデータセンターとかを開けるような事業者っていうのが、今後原発の新たな新設だったりとか運営っていうところに参入してくる可能性っていうのはありますよね。だからこの辺りが結局今までなかった電力需要、まさにこのAI半導体の部分、ここが新たな業界再編というか……再編っていうよりは、新たな参入者っていうものを生む可能性は出てきますね」
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