
【アナコラム】甲斐彩加「思い出を共有できたこと、それ自体が宝物」
文化放送メールマガジン(毎週金曜日配信)にて連載中の「アナウンサーコラム」。週替わりで文化放送アナウンサーがコラムを担当しています。この記事では全文をご紹介!
▼8月22日配信号 担当
甲斐彩加アナウンサー
今年の夏は、とびきり暑く感じますね。
「去年、こんなに暑かったっけ?」「今年は特別だよね!」
――ここ数年、こんな会話を毎年している気がします。
記憶の中の夏は暑くても、ここまで厳しくなかったはずなんですけどね。
さて、そんな暑さの中でできた、忘れられない夏の思い出。
今回は “母との屋外ライブ参戦” を振り返っていきます。
もともと音楽ライブは大好きで、これまでもよく足を運んでいましたが、
母と行くのは初めて。しかも屋外ライブも初体験でした。
私たちが参戦したのは、山下ふ頭で開催された、Mrs. GREEN APPLEのデビュー10周年を記念するライブ、
『MGA MAGICAL 10 YEARS ANNIVERSARY LIVE 〜FJORD〜』。
以前からMrs. GREEN APPLEの曲は好きでよく聴いていたのですが、
何気ない母との電話の中で、「ミセス、いいよね〜」という一言がきっかけに。
「これだ!!」
地元を離れ、自由気ままに暮らしている私ですが、
ずっと心のどこかに“親孝行したい”という気持ちがありました。
母と一緒にミセスのライブへ行く―― それも、小さな親孝行になるかもしれない。
そう思って、ライブ参戦を計画することに。
とはいえ、今をときめくMrs. GREEN APPLE。
しかも、たった2日間限りの10周年記念ライブ。相当な倍率です。
ドキドキしながら当落発表を待ち……結果は、なんと奇跡の当選!!
すぐに母に電話をかけて、一緒に大喜びしたのを覚えています。
それからというもの、私たちはそれぞれの場所で、いつも以上にミセスの曲を聴く毎日が始まりました。
そして迎えたライブ当日。
宮崎からやってきた母と合流し、暑さ対策も万全にして、いざ出陣!
壮大なオープニング演出から始まり、観客が一体となって盛り上がるステージ。
トロッコでの移動、水鉄砲、霧、盛大な花火…。
圧倒的なスケールと演出に、“非現実的な臨場感”を体験。
言葉では表しきれないほど、胸が熱くなる瞬間がいくつもありました。
クライマックスでは、夜空にドローンで「THANK YOU ALL JAM’S」の文字が浮かび、
その光景を見つめながら、じんわりと心が満たされていくのを感じました。
参戦前は「この暑さ、耐えられるかな…」なんて心配もしていましたが、
そんな不安も吹き飛ぶほど、“アツい”夜になりました!
2日間で約10万人のファンが集まったという、まさに“10年の集大成”。
この記念すべきライブに、母と一緒に参加できたことは、本当に幸せな体験でした。
***
そして、母が宮崎に帰る日の朝。
「楽しい時間をありがとう」
そう言って、母から封筒を手渡されました。
「もう私も大人だよ!たまには親孝行させてよ!」と伝えても、
母は頑なに封筒を押し返してきます。
中には、チケット代やグッズ代などのお金が入っていました。
「親孝行だから、私が払いたかったのに……」
――いつまで経っても、両親にとって私は “子供・娘” なんですよね。
「いつか必ず、大きな親孝行をしよう」
そう心に誓いながら、羽田空港で母の背中を見送りました。
思い出を共有できたこと、それ自体が宝物。
「ありがとう」は、まだまだ足りないけれど
これからも、少しずつ伝えていけたらと思っています。
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