
ふだん着のオーケストラ!管弦楽団の夏のキャンプ合宿【アーカイブの森 探訪記#59】 | 文化放送
今回発見したのは1966年(昭和41年)8月26日に放送された『東急ゴールデンコンサート』の企画「管弦楽団の夏合宿での現地録音」だ。
1956年に文化放送専属オーケストラとして「日本フィルハーモニー交響楽団」が発足し、
1959年からは文化放送で毎週『東急ゴールデンコンサート』という1時間番組が放送されていた。
その日本フィルハーモニー交響楽団は、例年、アンサンブルの研修と楽団員たちの親睦のために福島県の磐梯山 (ばんだいさん)で夏の合宿をしており、この催しは「日本フィル・サマー・ミュージック・フェスティバル」と呼ばれていた。
※50人から100人程度で構成される合奏が「オーケストラ」、少人数で演奏する室内楽を「アンサンブル」と呼ぶそうです。
8月の夏休みの8日間、指揮者、コンサートマスター、楽団員50人が参加するこの合宿では、オーケストラの合奏、いろいろな楽器の組み合わせによる室内楽のアンサンブル研修など、毎朝7時起床で練習が続けられていたそうだ。
正直、自分はオーケストラに関しては詳しくないので素人意見だが、50人で音を合わせることはとんでもなく難しそうだし、おそらくはその前にパートごとに合わせる作業があるだろうし、そもそも個人として曲の理解や演奏技術の向上などをしなくてはいけないのだろう。
しかも、1つの曲の完成度を高めながら、いろいろな楽器の組み合わせのアンサンブルもこなしていくのは、ある意味、本番での演奏以上にハードな作業のようにも感じるが、もしかしたら、その作業にこそオーケストラのやりがいや楽しみがあったりするのかもしれない。
普段はピシッとした正装で演奏している楽団員たちが、ふだん着や練習着で演奏や練習をしている様子を現地録音で紹介するというこの企画、オーケストラの調和のとれた演奏がどのように仕上げられていくのか、音楽ファンにとってはかなり興味深い内容だったはずだ。
少し話が変わるが、アニラジ(アニメ関連のラジオ)が大好きな自分は、アニメスタッフからの制作裏話や声優による演技に関する話題が大好物だ。
裏側の努力やこだわりは純粋に作品だけの印象を楽しむのであればあまり見せない方がスマートなのかもしれないが、その過程を知ることでより作品やキャラクターへの解像度が深まるからだ。
この企画はそんな感覚に近いものを感じるし、オーケストラなど音楽においては完成していない状態を見せることはなかなか無いと思っていたので、この企画は面白い試みだと感じた。もし可能ならば、今の時代でいえば人気バンドやアーティストのライブツアーの現地音声なんかもラジオで聞いてみたいものである。
執筆:アーカイブ探訪隊員 原田