
アメリカに続き日本でも広がりつつある。「ウソを使えば選挙に勝てる」という風潮
大竹まことがパーソナリティを務める「大竹まことゴールデンラジオ」(文化放送・月曜日~金曜日13時~15時30分)、9月10日の放送に戦史・紛争史研究家の山崎雅弘が出演。今月発売した新刊『ウソが勝者となる時代』に関連し、アメリカで起き、日本でも広がりつつあるという「ウソ」を使った選挙戦略について語った。
大竹まこと「今回の御本(『ウソが勝者となる時代』)と政治界の動きは関係ありますか?」
山崎雅弘「大いにあると思っています。最近はウソをうまく使ったほうが選挙に勝てる、という風潮がアメリカでも日本でも広まっている気がするんですね。この本の第1章ではアメリカのドナルド・トランプ大統領が第1期と第2期の始まりで、どういうウソを選挙や政治の中でついたのか、ということを具体的に、アメリカのメディアの情報などを調べて。ウソをついた数もカウントしています」
大竹「数もカウントをしている!」
山崎「第1期のトランプ政権下でどれだけついたのか、と。ウソとは明らかな虚偽と、もう1つ。根拠のない話、なんの裏付けもない決めつけをカウントしています。ワシントンポストが統計をとったら、4年間で3万件あったらしいんですね。1期目は1日6件、4年目になると1日20件以上ウソをつくと。毎日、毎日、繰り返して。いったんそれでバイデンに敗れ、下野したんです」
大竹「はい」
山崎「でも去年11月の大統領選挙でも、同じように選挙キャンペーンでいろんなウソをついた、と。日本でも報道されたのでご存じの方も多いでしょうけど、ハイチからの移民はペットの動物を食べている、とか。ウソなんですよ。話の出どころになった町に当局者に聞いても、そんな事実はありませんと。そもそもハイチの人の文化にイヌやネコを食べるという文化はありません、と」
大竹「うん」
山崎「にもかかわらずトランプ氏本人、ヴァンス副大統領、あるいはトランプを強烈に応援していたイーロン・マスクらがウソをどんどんネットで拡散して、ものすごく閲覧数が増えて。アメリカの有権者に、何(なに)で大統領を選びますか、というところに、移民問題が突然、大きくなって出てきたんですね」
大竹「はい」
山崎「そういうウソ、実際にはないものを皆が信じて、トランプはそういうものをやっつけてくれる、と。ペットを食べるような状況を変えてくれる、という幻想を信じて、それが投票行動にも結びついてしまった、と」
大竹「その裏にはアメリカの社会で、移民たちがずいぶん地位を占め始めた。どうして自分たちが稼げないんだ、という境遇も重なっていますか?」
山崎「そういうストーリーを信じさせることに成功したんですね。実際のアメリカの問題は移民ではなく富の不均衡。つまりごく一部、ひと握りの特権階級のような大金持ちがものすごい富を持っている。でもほかの一般市民にはきちんと配分されていない、と」
大竹「うん」
山崎「それは日本でも同じですけど。そういう状況にある中で人々の不満をどこに向けるか、というとき、移民が悪い、外国人が悪い、という言いがかりをつけて、信じさせることに成功した。アメリカで実際に起きたことで、なおかつ日本でそれが起きつつあると思うんですね。移民、外国人が諸悪の根源である、みたいな。実際にそんなものは存在しない。小さい部分ではあったとしても。針小棒大に膨らませて、大きな問題の根源であるかのように言う。そういうキャンペーンが日本でも広がっているのが、危ないな、と思います」
「大竹まこと ゴールデンラジオ」は午後1時~3時30分、文化放送(FM91.6MHz、AM1134kHz、radiko)で放送中。 radikoのタイムフリー機能では、1週間後まで聴取できます。
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