
「前代未聞の多数派工作 したたかな維新」
文化放送をキーステーションに全国33局で放送中「ニュースパレード」(毎週月曜日~金曜日午後5時00分~5時15分)
その日に起こった最新の話題を中心に、幅広い分野にわたってニュースを紹介しています。昭和34年の放送開始以来、全国のラジオ局の強力なバックアップで、特派記者のレポート、取材現場からの中継など、今日最も重要なニュースを的確に把握し最新情報を伝え続けています。
文化放送報道記者として国会、官邸を担当し、日夜取材活動で活躍する山本香記者が放送でお伝え出来なかった話題を取材後記としてお届けします。
国会内の土産物売り場では「誕生!さなえちゃん~女性初の新総裁誕生‼~」のせんべいが売り出され、連日完売状態が続いている。「女性初の総理誕生」となれば、新たな商品が並ぶことになるのだろうが、21日の臨時国会召集を控え、未だに誰が総理の椅子取り合戦を制するのか見通せず、業者もやきもきしていることだろう。
首班指名選挙をめぐり永田町では与野党入り乱れ、前代未聞の多数派工作が激化している。
自民党で高市総裁が選出されてからわずか10日余り、この間、公明党の連立離脱劇、野党連立による政権交代を仕掛ける動きなど、永田町では想定を超えた動きが相次いで起きている。
立憲民主党は公明党の連立離脱を千載一遇ととらえ、国民民主の玉木代表を首班指名で担ぐ案を掲げて日本維新の会を含めた野党連立政権構想を打ち出し、協議を呼びかけた。そんな中、維新の会が自民党との連立を含む政策協議を開始したことで、多数派工作の行方がさらに混迷を深めていった。
総理の椅子は、自民党が維持するのか、野党が奪い取るのか・・・
自民党が維新の会と合意すれば高市総理の誕生。自民維新の協議が決裂すれば野党3党の協議再開。まとまれば政権交代の可能性もまだ残している。
現状では高市総理誕生の可能性が高い。
高市総裁は16日、参政党の神谷代表に首班指名で協力を要請。その前日にはNHKから国民を守る党の斉藤健一郎参議院議員と統一会派を組むなどなりふり構わない動きを見せている。国民民主党の榛葉幹事長は16日、「自民党は数合わせに必死だね、びっくりした」。またある野党議員からは「権力維持のためには何でもやるのが自民党。社会党の村山氏を総理に担ぐくらいだもの、何があっても不思議じゃない」と呆れてみせた。
当初、国民民主党に接近していた高市総裁だが、日本維新の会が急浮上した背景には維新の会の遠藤国対委員長の暗躍があるのではという見方が強い。
自民党と強いパイプを持つ遠藤委員長は、公明党が連立離脱をほのめかした途端、腕まくり。自民党と水面下の交渉を加速させていった。
自民維新党首会談で連立含む政策協議入りを合意したのが15日。翌16日の両院議員総会はすでに14日にセットされていた。自民党と維新の会の交渉はある程度、事前に筋書きができていたのではないかという見方もある。維新の会はしたたかだ。
その日本維新の会の両院議員総会では予想に反して自民党との連立に否定的な意見は少なかった。一部議員からは「自民、維新の連立に国民民主を加えて令和の保守合同だ」という勇ましい声も聞こえた。
政権交代のチャンスはまだ完全に消えていないが、維新と自民党の急接近で梯子を外された感のある立憲民主党のある議員は「令和の政界再編」の可能性を強調。
石破総理と関係良好の野田代表。その野田代表は公明党の斉藤代表とも親和性が高い。3人が組めば大きなうねりが起きる可能性があるというのだ。この案について石破総理にやる気があるかどうかは不明だし、そもそも無理筋という見方が多い。
ただ、首班指名をめぐる多数派工作、数合わせがどのような結果になっても、政治の安定は望めず、長続きするとは思えない。不安定な政治状況が続くとこの先、何が起きても不思議ではない。