「13日の衆院通過に向けた予算攻防」
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文化放送報道記者として国会、官邸を担当し、日夜取材活動で活躍する山本香記者が放送でお伝え出来なかった話題を取材後記としてお届けします。

2026年度予算案をめぐる与野党の攻防が激しくなってきた。圧倒的な数の力を持つ与党と少数野党。負け戦の様相が漂う中、野党がどのような戦いを挑むのか、勝負の1週間が始まった。
どうにもとまらない
与党側は2日、野党側に13日に採決の前提となる締めくくり総括質疑を提案。野党側は「質疑終局を提案したのも同じこと。その後、強行採決をかけてくる」と警戒感を強め、この提案を取り下げるよう求めた。これに対し自民党の梶山国会対策委員長は「採決まで提案していない」と述べた上で「撤回はしない」と強調した。
自民党内を取材すると聞こえてくるのは「数で押し倒すのはよくない」、「後で自分たちに跳ね返ってくる」と冷ややかに見る議員も少なくはない。しかし、「天の声には誰も逆らえない」「自民一強ではなく高市一強ということだ」との声ももれてきた。年度内成立にこだわる高市総理の意向を受けてか、予算委員会自民党筆頭理事の齋藤健元経済産業大臣は、中東情勢が緊迫化していることを理由にあげ、「審議日程の予見可能性を高める必要がある」と年度内成立の必要性を訴えた。しかし、自民党が描く予算審議のスケジュールはイラン攻撃が始まる前にはすでに周辺に出回っていた。もう、誰にも止められない、どうにも止まらないということのようだ。
切り札
強引な与党の姿勢をうけ、バラバラ状態の野党がまとまった。
野党5党(中道改革、国民民主、参政、みらい、共産)は連日、会合を開き対応を協議。4日には正副議長に与党が議会政治をないがしろにしているとして与党側に充実審議を図るよう求める提案を行った。
正副議長への提案は、数年に一度しか行なわれてこなかった重要なカードの一つだが、打つ手がない野党側はそのカードを早々と切った。残された抵抗カードは、予算委員会で公聴会の日程を決める議決で強行採決を行った坂本予算委員長に対する解任決議案提出だが、単なる時間引き延ばし作戦は国民に理解を得られないとの声が強く、このカードは使えそうもない。中道改革のある議員は「議席は少数でも1000万を超える票をいただいた。その民意に答える義務がある」と勢いこんだ。
高市総理は、事あるごとに選挙で得た「民意」を持ち出し、民意で示された政策を前に進めていくと強調する。しかし、先の衆院選挙での得票数を見ると、自民党の得票は小選挙区で約2771万票(49.09%)、比例代表では約2102万票(36.72%)。自民単独ではどちらも過半数を得ていない。連立を組む日本維新の会は、小選挙区で約374万票(6.63%)、比例代表は494万票(8.63%)。与党合計で小選挙区は過半数をわずかに上回ったものの、比例代表では5割を割りこんだ。つまり自民党圧勝は小選挙区比例代表並立制という選挙制度がもたらした結果であり、選挙で投票した半分は与党ではなく野党側を選択したという事実は消えない。
たとえ負け戦であろうが、立ち向かう義務が野党には課せられている。その野党に残された切り札は「重たい民意」と言えるのかもしれない。

万能感
「3分の2あれば何でもできる」。最強与党となった衆議院ではおごりのような声も漏れている。そんな中、6日の文部科学委員会の理事会にまさかの斎藤洋明委員長が遅刻という大失態をやらかした。この日は、高校無償化を拡充する法案の趣旨説明が行われる予定だったが斎藤委員長の遅刻で流会となった。中道改革の小川代表は定例会見で「与党側のゆるみ、おごり、万能感は目に余る」「ふざけるな!なめるな!」と語気を強めた。
国民民主党の榛葉幹事長も「衆議院はおごりが出ている。これはいけない」と批判した。
今の自民党は『数があれば何でもできる』が合言葉。緊張感も必死さも伝わってくる気配がほとんどないと心配する自民党議員もいる。
「高市総理の力で勝ったようなもの。自身の能力と過信しているのだろうか」とため息をついた。
このまま万能与党で突き進むのか、それとも野党が小数ながらも存在感を見せつけるのか。野党は「民意」を背に「充実審議」を武器に勝負をかける1週間になるだろう。

