憲法改正に意欲。高市早苗首相の「時は来た」発言の真意を探る
ニュースキャスターの長野智子がパーソナリティを務める「長野智子アップデート」(文化放送・月曜日15時~17時、火~金曜日15時~17時35分)、4月30日のノンフィクション作家の常井健一が出演。なぜ現在、高市早苗首相が憲法改正に強い意欲を示しているのか、解説を展開した。4月12日の自民党大会における「時は来た」発言にはどのような意図があったのだろうか。
長野智子「今年の憲法記念日(5月3日)、また違った環境になりますかね」
常井健一「そうですね。いまの憲法は来年で80歳です。その節目を前に様子が変わりつつあるのでは、ということで論点整理したいなと。毎年、この時期になると護憲派、改憲派、それぞれの集会が各地で開かれます。今年に入って憲法改正の反対デモが目立つようになっています。やはりホルムズ海峡への自衛隊派遣をめぐっては、改めて9条の意義を考えたリスナーの方も少なくないでしょう」
長野「はい」
常井「一方、永田町では4月から毎週のように憲法審査会が開かれていて。改憲に前向きな勢力が多数を占めています。高市さんが(4月の党大会で)『時は来た』と。憲法改正の必要性を強調した。発言のポイントは、総理が具体的な政治日程に踏み込んで明示したことです。どう言ったかといえば、来年の党大会は国会発議のめどが立った状態で迎えたい、と。早ければ来年の春に発議して、その夏には国民投票があるかもしれない、というわけです」
長野「日程を明示する。これまであまりなかったことです」
常井「ええ。自民党は憲法改正が党是です。歴代の総理総裁も意欲は示した。ただし皆、時期を示すことには慎重でした。憲法改正を国民に提案するのは国会であって、内閣や総理大臣が発議できる、とは憲法のどこにも書いていないんです」
長野「うん」
常井「基本的なことで、憲法は国民が国家権力を縛るために存在しますから。権力者がいつまでに変える、ということは御法度だとの認識が共有されていたんです。でも安倍晋三という前例があった。安倍さんは9年前の憲法記念日に、3年後までに発議します、と示したんですね。ただ3年後に安倍さんは退陣してしまいました。だからこそ高市さんは改憲を強く意識しているんです」
長野「やはり高市政権にとって改憲は大きな位置づけですか?」
常井「はい。高市さんの周辺では、安倍さんがやり残した仕事は3つある、といわれていて。1つはアベノミクスの第3の矢に当たる成長戦略。2つ目は安定的な皇位継承策、3つ目が憲法改正です。この中で最もハードルが高いのは改憲です。普通の法律なら衆参で過半数をとれば成立する。憲法改正の場合は衆参両院で3分の2以上の賛成が必要です。そのうえで国民投票にかけられる、という2段階、ダブルチェックになっている」
長野「最後は国民が是非を決める、という仕組みになっているんですよね」
常井「ただし高市さんがここまでやる気になっているのは、自民党が単独で衆議院の3分の2を確保したからで。2月の選挙結果を見ると小選挙区での自民党候補の得票率は49%だった。過半数に迫っていますし、内閣支持率も高い水準を維持している。高市さんのあらゆる政治判断が常に世論の過半数(と合っている)。自民党支持層以外の顔色も窺いつつ、Xデーの来年春以降から逆算して、出方を見極めているようにも思えるんですね」
長野「それでも参議院があります」
常井「参議院では自民党と維新だけで3分の2に届きません。今後、焦点になるのは国民民主党と公明党の存在です。参議院の国民民主党は25議席ある。それが加わると、3分の2まであと20議席。そこに公明党がやってくれば参議院もクリア、となります。改憲論議というのは単なる理念の話ではなく、政界再編の引き金にもなり得ることなんです」
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