武田砂鉄 「SNSのアンフェア言論はセクシー、フェアはセクシーじゃない」論に納得
フリーライターの武田砂鉄が生放送でお送りする朝のラジオ番組、『武田砂鉄 ラジオマガジン』。5月25日は、月曜レギュラーでドイツ出身の翻訳家・エッセイストのマライ・メントライン氏とトークを繰り広げた。
マライ「今回のテーマは、アンフェアです。最近、本当に言論空間が汚されている気がしていて、やっぱりポピュリズムが台頭してるんですよね。では、なぜフェアでは勝てないのかっていうのが、今日のすごく嫌なテーマです」
武田「嫌なテーマですね」
マライ「(笑)嫌なテーマになっていますね。例えば、日本政府はイラン戦争の影響でナフサが足りない問題で、カルビーとか売名行為だって攻撃してるわけです。そういう発言は本当にいいのか? 日本政府による発言だと、それ自体もちょっとアンフェアな感じがあって、あっちこっちで報じられるわけなので、「それでいいのかな?」って思うわけなんですよ。なんとなくネットの発展とも関係してると思うんですけど、コミュニケーション作法というか「アンフェアさ」が増してるんじゃないかなっていう気がするんですよ。
最近の言論空間で目立つのが、反対意見ではなくて相手を悪者にするために仮説を先に作って、その仮説を既成事実みたいにして叩くっていうやり方です。まさにカルビー問題はそうなんじゃないかなって。売名行為のためにやったことにして叩いてもらうという流れになるんですよね。それは本当にフェアなのかな?
最近、ネットの言論を見てて歯がゆいなあと思うのが、書かれてることの半分は本当なんですよ。でも、半分は嘘なので、事実になるわけがないんですよね。結局、歪んだ結論にみんなが飛びついてるパターンが非常に多い感じがするんですね。そういうものを見ると、「ここは確かに合ってる、正しい。ファクトだよね。でも、ここの情報って変だよね」、「最終的に、あなた結論をこう書いてるんだけど、違うんだけどなあ」っていうのがあって、すごく説明したくなるんですけど、したところで誰も聞いてくれないし、すごいつまんなくなるわけですよね」
武田「そうですね(笑)」
マライ「そうなんですよ。フェアな説明ってめちゃくちゃ長いんですよ。ドイツ的な言い方をするとセクシーじゃないんですよ」
武田「セクシーじゃない」
マライ「セクシーである必要があるかどうか、あれなんですけど、セクシーじゃないですよね。ここがわかってんだけど、この先まだわからないっていうのが一番つまんないんですよね。わからないことが、一番、みんなが聞きたくない。一方、アンフェアはセクシーなんですよ」
武田「セクシーだ」
マライ「短いんだ。スパッと言える」
武田「私は全部知っているみたいな、そういう言い方する人が多いですからね、今ね」
マライ「なんか、お得感ありますよね。情報がどんどん入ってくるし、「あ、これはこうなんだ。よし、オッケー!」みたいなね。「さあ行こう」っていうね。だから、フェアには最近なかなか戦えないんじゃないかなって気がするんですね。だから、ポピュリズムには勝てない、あるいは、勝ちにくい。ものすごく私は困っているっていう話です」
武田「うーん」
マライ「最近、アンフェアだなと思った主張とかありますかね?」
武田「日々アンフェアだなと思いながらやっておりますけれどもね。SNS空間で乱暴な意見が飛び交うのは今に始まったことではないんですけど。先ほどマライさんが触れた、ナフサ不足でカルビーが売名じゃないかっていうのは官邸幹部のコメントだったりするわけですけれども、むしろ政治中枢側がかなり不安定な意見を活用するっていうんでしょうかね。そこに躊躇がない。とりわけ今の政権になってからって感じることが多いですかね。あと、よく思うのは、ボクはSNSもやるし、こういうラジオでしゃべったり、原稿を書いたり、いろんなところで自分の意見を発するわけですけど、SNSだけを見て「あいつはあれについて書いてない」とか「しゃべってない」とかって決めつけられることがかなり多いですけど」
マライ「ありますよね」
武田「かといって、本買って読んでくださいとか、雑誌買って読んでくださいとか、ラジオを聴いてくださいって、まあ思いながらも別にそこで「ああ、随分と簡単に決め込んじゃうんだなあ」って思うことは日々ございますけどね」
マライ「砂鉄さんは、すべてのニュースを網羅する必要は基本的にないはずなんですけど(笑)」
武田「ないんですけどね(笑)」
この続きが気になる方はradikoのタイムフリー機能でお聴きください。
「武田砂鉄 ラジオマガジン」は月曜~木曜 8:00~11:30、文化放送(FM91.6MHz、AM1134kHz、radiko)で放送中。radikoのタイムフリー機能では、1週間後まで聴取できます。
※タイムフリーは1週間限定コンテンツです。
※他エリアの放送を聴くにはプレミアム会員になる必要があります。
関連記事
この記事の番組情報