勅使川原真衣が警告。「6月病」が隠す「本当の病」

勅使川原真衣が警告。「6月病」が隠す「本当の病」

Share

フリーライターの武田砂鉄が生放送でお送りする朝の生ワイド「武田砂鉄ラジオマガジン」(文化放送)。6月3日(水)8時台のコーナー「ラジマガコラム」では、水曜前半レギュラーの組織開発コンサルタント・勅使川原真衣が、今何かと話題の「6月病」への疑問や、「6月病」を生み出した社会に対し、気になることを話した。

勅使川原真衣「今日は『6月病』という話から入りたいと思います。
きっかけがありまして、先日マイナビという会社が発表したある調査結果に『6月病』という言葉が出てきていたんです。
どういう話だったかというと、『職場で6月病を感じたことのある正社員の方』 というのは、調査全体の19.8%、つまりおよそ5人に1人だったということだったんですよね。特に20代では27.6%と4人に1人を超えていたと。
で、この『6月病』、お気づきの通り医学的な診断名ではありません。
新年度の業務や環境に一定程度慣れた後、6月前後になると仕事とか私生活のモチベーションが一旦下がることあるよね、疲労感を感じやすくなるよね、という状態を指すそうです。
で、背景として調査結果でも上がっていましたけども、新年度の緊張が薄れる頃であるとか、今、時期的に賞与とか評価が出てくる、出始める時期なので、そのあたり『こんなにやったのにこんなもんかよ』みたいな不満も出たり。
あとは6月、物理的に祝日がない月でもありますし、そして今日のような気圧の影響みたいなことも大きいですよね。梅雨もありますので。
そのあたりが影響しているんじゃないかってことだったんですが」

武田砂鉄「はい」

勅使川原「これ、調査結果自体は興味深いなと思いつつも、ちょっと私は引っかかるなと思ってしまいました。何が引っかかるかっていうと、『5月病』ってずっと言ってきたわけですよね。4月のあと5月ちょっと落ち込むよね、みたいなことを言ってきたわけですけど、『今度は6月病ですか?』と。『次は7月病ですか?』と。『なんかまた病の話ですか?』っていう感じがちょっとするんですよ。
あの、『不調に名前がついていると救われる』っていう方もいらっしゃるかもしれない。
『私だけじゃなかったんだ』って思えることも大事かもしれないんですけども、他方でやっぱり『6月病』と、困った事象を名付けた瞬間に、社会の制度疲労であるとか構造の問題、これがやっぱり個人の問題にすり替わる可能性っていうのは見逃せないなと思うんです。
『6月病』と言った瞬間に、『あなたの適応に問題が』とか『ストレスの問題』とか『ストレス耐性に問題が』『じゃあ休みましょうか』とか、『睡眠をもっととったほうがいいですよ、相談窓口こちらですよ』っていう話になるわけですけども。
いや、なかなかそうもいかないから困ってるわけで。『6月病が』『6月病が』と言っていて事態は本当に好転するのかなというのは疑わしく思っています」

武田「なんか、こう自分の中で『今、体調崩している人とかモチベーション上がらない人もいるんだな』っていう風に把握したり、人と共有したりするのはあれですけど、『6月病じゃない?』みたいなことを周囲に言われるとね、これはまた腹立ちますよね」

勅使川原「企業の中とかでね、確かに。そういうレッテルも怖いなと思います。
私、このコラムだけでなく、なにかと自己責任が叫ばれる世の中で、『問題は本当に個人の弱さにあるのか?』ってことを考えてきたんですよ。
それを教育社会学的に言うと『能力主義』っていう観点から紐解いて、組織開発っていう実践で検証を続けてきた立場です。
その経験で言いますと、新年度から数ヶ月でこんなに人がしんどくなるっていうんであれば、これ問うべきは『なんで人って弱いんですかね』ってことよりも、『なぜこの環境って人をそこまで疲れさせるんでしたっけ?』という方が先決なんじゃないかと思うわけです。
人が消耗するとか、すり減るたびに病名のようなものを増やして、キャッチーに取り沙汰して、肝心の働き方であるとか労働の仕組みを変えない。『これでいいんですか?』と。『健全ですか?』と思うわけです。
個人の不調、特に働いている方の個人の不調っていうのは、働き方、労働時間であるとか、組織設計とか評価の仕組み、それからその周りに起きている社会保障であるとか医療制度、このあたりまで影響を多分に受けているわけですよね」

武田「うん」

勅使川原「ですけども散見されるのは問題の個人化の動向ばかり。
組織や社会構造から変えていく気配はあまりないし、なんなら変えていくとすると『改悪』っていう形ですよね。なんか悪くなってるような気がしてしまうんです。
『これ誰得なのかな?』と思います。
例えば働き方でいっても裁量労働制の件、ありますよね。
高市政権、本当に発足して2日程度で、裁量労働制の対象拡大と労働時間の規制緩和を検討し始めました。これ、ただでさえ裁量労働制って言ったって『みなし労働時間』の話なわけですよね。みなしなので個人の限界見えにくくなるよっていうのは前から言われていることなんです。
だけど免罪符にされてるのはこの『裁量』って言葉ですよね。あたかも自由を保証するかの物言いで、働いた時間を見えなくして、しかも形ばかりの成果を個人に問うていきますから。これとっても危険なんですよ」

この後も勅使川原真衣さんの「6月病」という言葉に対する疑問や、この言葉を産んだ社会への問題点を語っています。気になる方は、radikoのタイムフリーでご確認ください。

「武田砂鉄 ラジオマガジン」は月曜~木曜 8:00~11:30、文化放送(FM91.6MHz、AM1134kHz、radiko)で放送中。radikoのタイムフリー機能では、1週間後まで聴取できます。

で開く

※タイムフリーは1週間限定コンテンツです。
※他エリアの放送を聴くにはプレミアム会員になる必要があります。

Share

関連記事

この記事の番組情報


武田砂鉄 ラジオマガジン

武田砂鉄 ラジオマガジン

月~木 8:00~11:30

その他の主な出演者

政治、経済、芸能、カルチャー… 大事なことから大事じゃなさそうなことまで・・・ライター武田砂鉄が”あなたの耳の渇きを潤す”3時間半の生…

NOW ON AIR
ページTOPへ