「文春砲」流行から10年。『週刊文春』が強さを保っている理由
ニュースキャスターの長野智子がパーソナリティを務める「長野智子アップデート」(文化放送・月曜日15時~17時、火~金曜日15時~17時35分)、6月11日の放送にノンフィクション作家の常井健一が出演。『週刊文春』がスクープを発信し続けることの裏側には何があるのか、同誌での執筆経験も踏まえて語った。
長野智子「『文春砲』って(流行してから)10年なんですね」
常井健一「そうなんですよ。流行語大賞にノミネートされたのが2016年で。それから編集長も3回、変わりました。週刊誌の発行部数では21年連続で業界トップ。発行部数がいま38万部です。東京新聞に匹敵する規模なんですね。ただコロナ直前は58万部でしたから、大きく減りました。今回の(高市早苗首相陣営が関与したと疑われる)中傷動画問題でこれだけインパクトがあっても、さほど実売部数は動きません」
長野「そうなんですか」
常井「インターネットの登場以降、読者がニュースにお金を払わなくなったんですね。紙の週刊誌は文春に限らず、6割が返品という状況です。かなりシビアなビジネスで。でも文春が強いのは、有料のデジタル版があるからです。高市さんの報道で話題になった電子版、有料会員は2万人ほどいます。競合誌は新潮、ゲンダイ、ポストとあるけど、ネットの課金モデルをなかなか確立できていない。そこで差がついている、ということです」
長野「私も2万分の1だ。文春の編集部というのは、どういう組織なんですか?」
常井「版元は文藝春秋という出版社です。部員はだいたい70人。編集部は3つの班に分かれていて。グラビア班、小説やコラムを扱うセクション班、そして特集班というのがスクープ合戦の最前線にいる部隊で、35人。うち25人前後が競合誌や新聞社から移ってきた、専属の凄腕記者です」
長野「そういうことなんですね。1週間はどういうサイクルで?」
常井「水曜に電子版が出て、木曜に紙の雑誌が売り出されます。火曜までに記事は仕上がっていないといけないんですね。本日、木曜日に次の号の準備がスタートします。記者は1人5本の企画を朝11時までにデスクに提出するんです。午後にデスク会議が開かれて採用企画が決まる。だいたい150本ぐらい企画が集まる。採用されるのは10本です。逆に言えば140本、捨てられる。採用される企画は誰も知らない話、聞いてビックリする話」
長野「うん」
常井「逆に、ネットに出ているような話はボツです。企画が決まって金、土、日で現場取材を行うと。週明け月曜には政治家事務所、芸能人の事務所などに質問状を送る。場合によっては直撃して、返答を踏まえて月曜夜に徹夜で記事を書いて火曜の夕方までに校了する。そういうサイクルを毎週、年間50回繰り返しているんですね。月曜に直撃されて対応を始めるので、月曜の夜や火曜に記者会見が開かれる、というのはそのせいです」
長野「なんで文春だけ、これだけスクープを出して勝てるんですか?」
常井「シンプルに言うと、ほかの雑誌がスクープ競争から撤退したからです。スクープするにはお金がかかります。旅費、交通費、飲食代。いちばん大きいのが訴訟対策の費用です。大物の政治家、芸能人、会社の社長のスキャンダルを書く。当然、名誉棄損で訴えられるリスクがありますね。記事を出す前に文春は顧問弁護士のリーガルチェックを受けていて。法に抵触しないように表現を詰めるんです」
長野「はい」
常井「でも訴訟で負けた場合も想定しておく。賠償金にかける費用を積んでおく。こういった莫大なコストを背負える媒体って、ほかにもうないんですね」
このあとも『週刊文春』の強さについての解説が続いた。詳しくはradikoのタイムフリー機能で確認してほしい。
「長野智子アップデート」は毎週月曜~金曜午後3時~5時、文化放送(FM91.6MH
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