お祭りをもっと活性化するには？#2『浜松町Innovation Culture Cafe』

番組レポ 10/18, 2021

お祭りと聞いて、何を思い浮かべますか？思い出す風景はそれぞれでしょう。日本だけでなく、世界には数えきれないほどのお祭りが存在します。世界三大祭りといえば、イタリア・ヴェネチアのカーニバル、ブラジル・リオのカーニバル、スペイン・バーゼルのカーニバルがあります。コロナ以前は、いずれも海外各国から盛大なパレードを目的に多くの観光客が訪れていました。カーニバルとはもともとキリスト教のお祭りで、肉断ちなどをする節制期間に先立つ謝肉祭と呼ばれるお祭りです。節制期間とは、飲食に限らず生活全般にわたって慎んだ行動をして心身を清め、キリストの復活祭であるイースターを迎える準備をする期間です。この節制期間の前に楽しく食べて楽しく過ごそうという趣旨のお祭りが、カーニバルなのです。現在では、仮装やパレードで盛大にお祝いし、子どもたちがとても楽しみにしているお祭りとなっていますが、元々は肉断ちに備える宗教色の強いものでした。このように、現代のお祭りは楽しく盛り上がるものというイメージが強いですが、その誕生には深い歴史があり、時代とともに変化をしているものが多いのです。

コロナ禍でお祭りの姿も大きく変化してきました。あるインターネット調査によりますと、「コロナ禍で失われる恐れが高いと思う日本の伝統文化」にお祭りを挙げる人が最多となり、お祭りを取り巻く深刻な状況が浮かび上がりました。オンライン盆祭りなどの開催もありますが、外へ出て実際に体感してこそ伝わるお祭りの魅力に、オンライン代替は難しいと感じる人が多いようで、オンライン開催が難しいと答える人は85%にもなりました。一方で、日本の伝統文化であるお祭りを無くしてはいけないと感じる人は多く、お祭りを存続させ伝統文化を継承していこうという動きも多くあります。特に若い世代でのお祭りに対する意欲も伺えており、この危機的な状況になったことで、日本人にとってのお祭りの価値が改めて見直されているのです。今まで時代とともに変化し、継承されてきたお祭りの魅力を伝え続け、コロナに打ち勝つ力に期待したいです。

様々な社会課題や未来予想に対してイノベーションをキーワードに経営学者・入山章栄さんが様々なジャンルのトップランナーたちとディスカッションする番組・文化放送「浜松町Innovation Culture Cafe」10月11日の放送では、歌人の田中章義さんと、祭り専門家でオマツリジャパン代表の加藤優子さんにご参加いただき、「お祭りをもっと活性化するには？」というテーマで熱いトークが繰り広げられました。

ゲスト紹介

田中章義さんは、大学1年生の時に「キャラメル」50首で第36回角川短歌賞を受賞されました。また在学中から数々の雑誌で執筆。その後「地球版・奥の細道」作りを目指し、世界を旅しながらルポルタージュ、紀行文、絵本なども執筆されています。世界各地で詠んだ短歌が英訳され、2001年に、当時世界で8人の国連WAFUNIF親善大使にアジアでただ1人選出、就任されました。「WAFUNIF」とは、国連組織の世界148カ国に及ぶ、インターンや研修生を務めた人々による組織で、優れた人材を広く民間から採用し、主に発展途上国支援を中心に活動しています。この他、田中さんは国際的な平和活動や環境活動に積極的に参加されています。

加藤優子さんは、武蔵野美術大学油絵科を卒業後、漬物メーカーであるピックルスコーポレーションに入社。商品開発やデザインを担当されました。東日本大震災直後の青森ねぶた祭りにて、観光客がほとんどいないにも関わらず、地元の人々が祭りを生き甲斐にして盛り上がる姿に感銘を受けます。祭りの火を絶やすことは、人々の元気の源が失われることであり、地域コミュニティ形成の場や経済循環を促す場をなくすことを意味することに気がつき、オマツリジャパンの活動を開始しました。2014年に一念発起して退職後、オマツリジャパンを任意団体として創業、2015年に法人化。現在は「祭りの企画アイディアと運営の人手がほしい」という地域のニーズに応えるべく、全国の祭りを多面的にサポートされています。