鳥海高太朗「痛手の旅行業界のため、GoToトラベル再開を」~10月25日 ニュースワイドSAKIDORI

鳥海高太朗「痛手の旅行業界のため、GoToトラベル再開を」~10月25日 ニュースワイドSAKIDORI

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秋から冬にかけての旅行・観光業界の予約状況やGo To トラベル再開の見通しに
ついて、航空・旅行アナリストで帝京大学非常勤講師の鳥海高太朗氏が「斉藤一美
ニュースワイドSAKIDORI!」で解説。

10月1日に緊急事態宣言が解除され、25日には東京、大阪など5都道府県で
飲食店への時短要請が解除された一方、GO TOトラベルについては再開の
見通しが立たず。現状はどうなのか。

まず、緊急事態解除後の旅行者の増加について鳥海氏は、
「宣言が解除されて最初の1週間~10日間は様子見をしているようで、
それほどの増加は見られなかった。しかし10月に入ってから毎日のように
感染者数が減ってきたのを見て、2週間前の週末くらいから人が多く動き出してきた。
例えば航空会社では、これまで飛行機の運航率が7割くらいで、3割が運休に
なっていた。ところがこのところ、東京から札幌、福岡、大阪といった主要路線での
座席が足りなくなり、急遽臨時便を出すようになっている。
新幹線についても、ある程度戻ってきたという話を聞く。
宿泊については、今年11月の紅葉シーズンの京都のホテルの値段が
ビジネスホテルで平日5000円のところが2万円まで上がっているようだ」と解説した。

一方、去年7月22日に東京都発着以外を対象にスタートさせ、12月28日に
全国で一時停止になったままのGO TOトラベルの再開について、鳥海氏は
見通しは立っていないとした上で、
「一時期大幅に人員を減らしたGO TOトラベルの事務局が、10月に入ってから
元に戻したようで、これで11月下旬には再開できる準備は整ったと言える。
ただ、まだ政治判断が下されていないことに加え、実施のルールが決まっていない
のがネック。前回は旅行代金総額の35%割引と15%分の地域共通クーポンのセット
だったが、今回は平日と休日で内容を変えるとか、上限金額を設けるとか、色々
議論されている最中で、まだ結論が出ていないのが現実。
仮に明日にでも結論が出たとしても、予約システムが出来上がるまで1ヶ月近く
かかるので、運営までに時間がかかる。そこでとりあえず現行ルールで再開させ、
新しいルールで運営できるようになったところで、そちらに移行させるというのが
ベストだが、そこに辿り着くまでの準備さえもできていないのが一番の問題だ」と
指摘した。


続いてGO TOトラベル再開に向けての課題について、鳥海氏は
「再開すると人の動きが活発化して感染者が増加するという懸念が当然出てくる。
その懸念と経済を回すこととのバランスをどう考えるのか? 現在、旅行業界は
飲食業界以上に厳しい状況に置かれている。なぜなら飲食業界には休業に対する
補償金が出ていたが、旅行業界や宿泊施設に対しては、休まざるを得なかった
従業員の賃金を一部補償する雇用調整助成金しか出ていなかった。そのため
旅行業界は厳しい状況に置かれている。早くGO TOトラベルを再開し、休日だけで
なく、平日の旅行者も増えるようにして欲しい」と訴えた。

1週間ほど前にフランスとドイツ旅行から帰国したばかりだという鳥海氏。
フランスの現状について次のように報告。
「フランスでは、衛生パスというQRコード付きのデジタルワクチン接種証明書を
持っているか持っていないかで、天と地ほどの違いがある。衛生パスがあれば
劇場、映画館、博物館、イベント会場、レストランに入ることができるなど、これまで
同様の旅行ができるが、持っていないと72時間ごとに抗原検査を受けなければ
ならない。ただ、日本と違って街のあちこちに2000円くらいで抗原検査のできる
会場が設置されている。ちなみに日本出発前にパスポート、自治体で発行した
ワクチン接種証明書、航空券の控えを揃えてオンラインで申請すると、衛生パスが
1ヶ月くらいで発行される。翻って日本の場合、接種証明をどうするのかという
議論がされていない状況。そこを早く進めて欲しい」と語った。

また、政府のGO TOトラベル再開に先駆けて各自治体が独自で県民割などを
実施していることについて、鳥海氏は
「知事や市長の行動力にかかっている。例えば兵庫県は、『ふるさと応援!
ひょうごを旅しようキャンペーン』の実施を早い段階で決めたが、先日、
城崎温泉に取材すると、『キャンペーンを実施してくれたお陰でお客さんが増えた』と
話していた。頑張っている自治体には良い結果が出ている。それに比べ、東京都は
これだけ感染者数が激減しているのに全く始まる気配がない。
政府のGO TOトラベル開始がこれだけ遅れているとなると、自治体が頑張るしか
ないが、それも限界がある。やはり東京から地方に旅行してもらわないと、お金の
流れは生まれない。そのためには政府の早い対応が不可欠だ」と解説した。

最後に、
「GO TOの割引きもない現在、料金が高いにもかかわらず露天風呂付きの部屋
から予約が埋まっているという話がある。それはテレワークでずっと家にいるので、
とにかく外に出て非日常を味わいたいという気持ちの現れ。これからの旅行は
値段の安さよりも、いかに人との接触を少なくして現実逃避できるかが大事になって
くると思う。そのため旅行業界内では宿泊施設の中だけでじゅうぶん楽しめる
コンテンツを作るのがトレンドとなっている」と、鳥海氏はこれからの旅行のあり方を
語った。

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