『大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ』 過渡期にある大学の社会人教育。坂東眞理子さんの考える、大人世代が「社会的教養」を磨く方法は(おとなライフ・アカデミーWEB)

『大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ』 過渡期にある大学の社会人教育。坂東眞理子さんの考える、大人世代が「社会的教養」を磨く方法は(おとなライフ・アカデミーWEB)

Share

今を楽しく生きるオトナ世代のための情報番組「大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ」。
残間里江子さん(フリープロデューサー)と、大垣尚司さん(青山学院大学教授、移住・住みかえ支援機構代表理事)が、お金や住まいの話を中心に、暮らしにまつわる様々な事柄を語り合います。

この連載では、人気コーナー「おとなライフ・アカデミー2021」で話した内容をもとに大垣さんが執筆した、ここだけのエッセイを掲載中。
ラジオと合わせてもっと楽しい、読んで得する「家とお金」の豆知識です。

2021年10月2日の放送は、ゲストに坂東眞理子さんをお招きしました。放送の様子を、前・後編でお届けしています。
後編となる今回は、大人世代の気になる「学び」について。教養には2種類ある、と坂東さん。これから身につけるべき教養には、どんなものがあるのでしょうか。

前編はこちら:大人世代に必要なのは、私らしからぬ機嫌よさ?! 『女性の品格』著者・坂東眞理子さんと現代社会を語る(おとなライフ・アカデミーWEB)

坂東眞理子さん プロフィール
1946年生まれ。東京大学卒業後、総理府に入府。その後、埼玉県副知事、ブリスベン総領事、初代内閣府男女共同参画局長などを歴任。2007年にベストセラーとなった『女性の品格』(2006年発行)の著者でもあります。現在は昭和女子大学理事長・総長。
------

先進国で最も勉強をしない、日本の大人たち

大垣 大人世代の学びについてはどうですか。

坂東 実は先進国の中で、日本の大人は一番勉強していないんですよね。
日本で大学生というと、ほとんどの方が「18歳〜22、23歳の若者」を想像されると思います。
一方で、欧米では、30代や40代、場合によっては60代でも大学で勉強することが珍しくない。ヨーロッパの場合は授業料が安いからですが、アメリカは非常に高額です。それでも学ぶ方は多いんです。日本はアメリカほど高額な授業料ではないんですが・・・。

世の中は今、どんどん変化してきているわけですから。新しいことをどんどん学ばないと、ついていけません。「私らしく」じゃダメなんです。

社会人向けの講座を、大学側が進めたがらない理由

残間 最近、大学院では社会人入学を推し進めていますよね。この少子化で、経営上の問題もあるんでしょうが。

坂東 日本の大学院は、過去は「研究者を育てる」ことが目的の機関だったんです。それが今は、社会人としての見識や、新しいスキルを持つための場所に変わってきている感じがしますね。
大人の学びの目的が変わってきている今、大学院側も変わっていく必要が出てきているんですね。

大垣 うちの大学も、いわゆるリカレント教育や社会人入学には積極的なんですが、うまくいっているとは言い難いですね。
色々理由はあるんですが、そもそも社会人に教えるのは、教師側のレベルがかなり問われるんです。少しでも間違えたことを言うと確実にバレてしまいますから。

坂東 「教え方が下手」とかね。

大垣 はい。それから、先生方の中には、20代前後の子供に教えるノウハウしかない方も多くて。でも、だからといって、外部講師を呼ぶのも変じゃないですか。それなら、わざわざうちの大学で授業を開く意味はどこにあるのかと。

あとは、大学の正規の授業としてはカウントされないので、先生的には「サービス残業」みたいになってしまう面もあって。
根本的に、大学の仕組みが大きく変わらないといけないんだと思いますが・・・。

ケアの専門家たちに、マネジメントの知識を身につけてほしい

坂東 まさにそこを変えていこうと、昭和女子大では今年の4月から、大学院に、「福祉共創マネジメントコース」「消費者志向経営コース」という社会人向けキャリア教育の専攻を新設しました。ひらたく言うと、福祉施設などの経営やマネジメントを勉強したり、新しい消費社会を変革し切り拓くリーダーを養成したりするための場所です。

ケアの分野には女性ワーカーがとても多いんですよね。介護職員もそうですし、保育士に至っては98パーセントが女性です。でも、彼女らは基本的に「専門職」なんです。ケアの技術は高くても、組織をマネジメントする方法はよく知らない。

たとえば保育士の離職率は非常に多いんですが、離職理由で一番多いのは、職場の人間関係です。仕事の厳しさや、給料の低さではないんですよ。

大垣 非常に重要な取り組みだと思います。

以前私は、介護業界で独立を考えている方の相談に乗ったことがあるんです。
長く業界に勤めていらしたので、介護についての知識は豊富なんですが、経営についての知識は少なくて。聞いてこられることも「領収書を貯めると税金が安くなると聞きましたが本当ですか」とか、そのレベルなんですね。
経営について、幅広い知識を身につけられる場所があれば・・・と考えていました。

ケアの専門家たちに、マネジメントの知識を身につけてほしい

残間 大学の社会人向け講座を見ていると、「源氏物語講座」みたいなものが多いですよね。

坂東 教養には2種類あるんですよね。源氏物語のような「文化的教養」と、それから「社会的教養」と言うのかしら。個人情報の取扱い方や、税金や社会保険料についての知識なんかですね。

残間 現代社会を生きる上で必要な教養です。

坂東 世の中がどんどん変化していますからね。たとえば、スマホをきちんと扱えるかどうかで、社会生活の質が変わってくるというような時代ですから。

片道2キロを毎日歩く。坂東さんの「今を生きる心がけ」とは

残間 坂東さん自身は、時代の流れを捉えるために心がけていることはありますか。

坂東 そうですね・・・。心がけかは分からないんですが、知らないことをそのままにしないことでしょうか。年齢を重ねるにつれて、知らないことが増えてきたように思いますから。

それから、運動ですね。私は食べるのが好きで、特にコロナ禍では、そのままだと太ってしまうんですよ。
たとえば、自宅から職場は2キロちょっとなんですけど、できるだけ毎日歩いています。

残間 すごい。坂東さん、克己心がおありになるから、決めるとおやりになりますよね。

坂東 でも、雨が降ったらやーめた、なんて言ってますよ(笑)。

残間 そこは、臨機応変に………。

鈴木 まだまだお話をうかがいたいのですが、お時間になってしまいました・・・。
きょうは、坂東眞理子さんをお招きしてお話をうかがいました。ありがとうございました。

一同 ありがとうございました。
——

前編はこちら:大人世代に必要なのは、私らしからぬ機嫌よさ?! 『女性の品格』著者・坂東眞理子さんと現代社会を語る(おとなライフ・アカデミーWEB)

お知らせ

パーソナリティの一人である大垣尚司さんが代表理事を務める「移住・住みかえ支援機構」(JTI)では、賃貸制度「マイホーム借上げ制度」を運用しています。

住まなくなった皆さまの家をJTIが借り上げて、賃貸として運用。
入居者がいない空室時でも、毎月賃料を受け取ることができます。
また、皆さまの大切な我が家をケアするパートナーとして、入居者トラブルにも責任を持って対応しています。

JTIは非営利の公的機関であり、運営には国の基金が設定されています。

カウンセリングやご相談は無料。資格を持ったスタッフが、皆さまの家についてしっかりとお話をうかがいます。

制度についての詳しい情報は、移住・住みかえ支援機構のサイトをご覧ください。

Share

関連記事

この記事の番組情報


大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ

大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ

土 6:25~6:50

楽しいセカンドライフを送るためのご提案などがたっぷり! 金融・住宅のプロフェッショナル大垣尚司と、フリープロデューサー残間里江子が 大人の目線でお届けします。…

NOW ON AIR
ページTOPへ