『大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ』    ハザードマップをどう見るか

『大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ』    ハザードマップをどう見るか

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情報番組「大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ」では、残間里江子さん(フリープロデューサー)と、大垣尚司さん(青山学院大学教授、移住・住みかえ支援機構代表理事)が、お金や住まいの話を中心に、大人世代のあれこれを語ります。

この連載は、番組内の人気コーナー「おとなライフ・アカデミー2023」の内容をもとに大垣さんが執筆した、WEB限定コラム。ラジオと合わせて、読んで得する家とお金の豆知識をお楽しみください。

★メールまとめ
ハザードマップを見たら家を建てられそうな場所がありません。どうすればいいでしょう。

★メール本文

縁あって、県内の幸手市に住宅建設を考えています。
ところが、洪水ハザードマップというのを見たら、
幸手市って、市内全域が利根川の「浸水想定区域図 最大規模」に
含まれているではありませんか。
ハザードマップって、どれくらい気にすればいいものなんでしょう。

(埼玉県 どこに逃げたらいいかわからない さん(40歳))

ハザードマップにも種類がある

難しいところですが、ハザードマップ見るときに気を付けていただきたいのは、浸水を表すものに2種類あるんです(想定最大規模と計画規模)。想定最大規模(1000年に一度の雨が対象)ではかなり広い範囲が危険になりますが、計画規模(10年から200年に一度の雨)だと、意外に大丈夫なところがあるんです。想定最大規模を参考にすると、どこにも家は建てられない、ということになりかねないので計画規模のマップを参考にされれば良いかと思います。

洪水のリスクが高すぎる

ただ、洪水はやっぱり地震と違って、もう毎年のようにやって来ますよね。それで、保険も再保険っていって、国内で洪水の保険をやっている保険会社がそれをまた国際的なマーケットに出して加入するんです。ところが、災害があまりにも多いので、ものすごく値段が高くなっています。前は火災保険を買うと必ず洪水ってついてたんですけど、最近はついてなくて、言わないとつかないことが多いようです。実際、床上にきちゃうとどうしようもないですよね。

災害を前提に家を考える

そこで考えたのですが、以前ミャンマーで働いてたときに、イラワジ川の流域にいくと、家はみな1階は床上げしてあって、…全人口の6割に電気が通ってないような国なんですけど、洪水が起こるって分かってますから、昔から床を上げて家を建てている、知恵を働かせているわけです。
日本って産業化していく中で、災害のリスクをとりあえず考えないで、家を建てればいいじゃん、ってことでここまできました。だけど、もう人も減っていきます。リスクのある場所に住んじゃいけないとは思わないけど、昔だったらやっぱり、そういうところに住むなら危なくない様に作ったと思うんです。

これからは自衛が必要

だからもう、リスクのある場所に住むなら、それに対応できるように自衛していくことが必要なんです。そうじゃないと、もうどこにも住めない時代が来ているように思います。これまでのような、普通の家に住もうと思ったら、どこに建てたらいいのか本当にわからなくなっちゃうかもしれません。でも、これだけ技術も発展しているので、地域のコミュニティの中でていねいに家を建てていく、昔のやり方に戻っていく必要があるのでは、と考えています。

今日は「ハザードマップと家づくり」について考えてみました。
メールをお寄せいただき、ありがとうございます。

大垣尚司 プロフィール
青山学院大学 法学部教授、一般社団法人 移住・住みかえ支援機構代表理事。

第一線で培った金融知識をもとに、住宅資産の有効活用を研究・探究する、家とお金のエキスパート。

東京大学卒業後、日本興業銀行、アクサ生命保険専務執行役員、日本住宅ローン社長、立命館大学大学院教授などを経て、現在、青山学院大学法学部教授。
2006年に「有限責任中間法人移住・住みかえ支援機構」(現、一般社団法人 移住・住みかえ支援機構)の代表理事に就任。
日本モーゲージバンカー協議会代表理事を兼務。著書に『ストラクチャードファイナンス入門』『金融と法』『49歳からのお金ー住宅・保険をキャッシュに換える』『建築女子が聞く 住まいの金融と税制』など。

家とお金に関するご質問、お待ちしてます
番組では、家とお金にまつわるメールやご質問をお待ちしています。
宛先は、otona@joqr.netまで。

※この記事で掲載されている情報は全て、執筆時における情報を元にご紹介しています。必ず最新の情報をご確認ください。

お知らせ
パーソナリティの一人である大垣尚司さんが代表理事を務める一般社団法人「移住・住みかえ支援機構」(JTI)では、賃貸制度「マイホーム借上げ制度」を運用しています。

住まなくなった皆さまの家をJTIが借り上げて、賃貸として運用。
入居者がいない空室時でも、毎月賃料を受け取ることができます。
JTIは非営利の公的機関であり、運営には国の基金が設定されています。

賃料の査定や、ご相談は無料。資格を持ったスタッフが対応いたします。

制度についての詳しい情報は、移住・住みかえ支援機構のサイトをご覧ください。

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楽しいセカンドライフを送るためのご提案などがたっぷり! 金融・住宅のプロフェッショナル大垣尚司と、フリープロデューサー残間里江子が 大人の目線でお届けします。…

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