ブラインドマラソン和田伸也選手「2年後のパリに向けてスタートラインに立った」ニュースワイドSAKIDORI

ブラインドマラソン和田伸也選手「2年後のパリに向けてスタートラインに立った」ニュースワイドSAKIDORI

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6日の別府大分毎日マラソンで世界新記録を樹立した和田伸也選手(T-11:全盲のクラス)が、15日、文化放送「斉藤一美ニュースワイドSAKIDORI!」内『応援!ユニバーサルスポーツ』に電話出演。2年後のパリ・パラリンピックに向けて、挑戦者としての思いを語った。

和田は6日の別府大分毎日マラソンの視覚障害の部で、従来の全盲のクラス(T-11)の世界記録(2時間31分59秒)を5分42秒も縮める、2時間26分17秒でゴールした。北京オリンピックの話題が増える中、どうしても伝えたいユニバーサルスポーツのニュースだ。まず、手ごたえはどうだったのだろうか。斉藤キャスターが訊くと、和田は「トレーニングも順調に進めてきたので、記録を狙って、2時間25,26分で行こうと思っていた」と話した。和田は、イタリアのアンドレア・シオナ選手が2007年に打ち立てた記録を15年ぶりに塗り替えた。しかも6分近くも。これについては、「ずっと目標にしていたタイムだ」と、更新できた嬉しさを伝えていた。

和田は、1977年生まれの44歳。大阪府の出身。高校生の時、視力が次第に落ちていく難病「網膜色素変性症」を発症し、大学在学中に視力を失った。その後、京都のランニングチームの練習会に参加したことがきっかけで、28歳から本格的に陸上競技を始めた。ロンドンパラリンピックでは、5000mで銅メダル。リオデジャネイロパラリンピックでは、3種目で入賞。東京パラリンピックでは、1500mで銀メダル、5000mで銅メダルを獲得している。

ご存じの通り、視覚障害のランナーは伴走者というガイドがつき、一緒に走る。和田のようなパラリンピックに出る選手は、普段の練習と試合で走るガイドが異なるほど、一緒に走りたいと言うガイドが殺到する。今回、前半は和田と同じ長瀬産業に所属する矢嶋謙悟氏、後半は高校から陸上競技を始めたという市民ランナーの長谷部匠氏、この2人が和田の世界新記録樹立を支えた。和田は、「当日は寒く決していいコンディションではなかったが、2人のガイドとともに、ペースを設定し、工夫しながらうまくレースを展開できた」と振り返った。松井アナが「レースの前の晩や当日は何を食べたのか」を訊くと、和田は「炭水化物中心で、大分名物の団子汁を食べて挑んだ」と声を弾ませた。

和田は普段どれくらいの距離を走っているのだろうか。斉藤が尋ねると「ほぼ毎日、トレーニングして、朝と午後とか、基本的に2部の練習で、時間で言うと朝と午後を合わせて3時間や4時間くらい。25キロ、30キロ。合宿に入ると50キロくらい走る」と、和田は教えてくれた。こうしたトレーニングを一緒に行うのが、ガイド(伴走者)だ。まさしく一心同体。ガイドのケガは和田のケガでもあるのだ。そこを斉藤が心配していた。ガイドは、和田のようなブラインドのランナーに加え、自分自身が出たいマラソン大会も走る。ガイド自身のコンディション作りの大変さも、和田が伝えた。

改めて和田がレースを振り返った。「4年前の別府大分では、2時間35分台だったが、冬のマラソンは久しぶりだった。これを大幅に上回ろうと。設定通り、狙い通りの2時間25分,26分くらいのタイムを出すことが出来た」と力強かった。斉藤が「練習メニューも体調も、ピタリとピーキングできたということか?」と驚嘆しながら問うと、和田は「そうだ。東京パラリンピック後も休まず継続してトレーニングしてきたことが間違いではなかった。成果として発揮できた」と充実感を伝えていた。

最後に斉藤が「世界記録保持者として、世界中のランナーから追われる立場になった」と振ると、和田は「全盲クラスの世界新記録を出したが、一方でパラリンピックは弱視クラスとの合同種目で、弱視のクラスの世界記録は2時間19分台。東京パラリンピック(の男子マラソン)では弱視の選手が2時間21分台で優勝した。こうしたレベルにたどりつかないと(再来年)のパリ・パラリンピックでは世界一になれない。今、パリに向けてスタートラインに立ったばかり。私も追う立場としてパリまで追いかけていきたい」と意気込んだ。和田はパリで頂点に立つ日を目指し、今日も走っている。

(構成・後藤)

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