『プーチン大統領がパーキンソン病の可能性があるとの報道』を吉田たかよし医師が検証

『プーチン大統領がパーキンソン病の可能性があるとの報道』を吉田たかよし医師が検証

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ウクライナ危機は深刻さを増すばかりだが、この戦争を止められるのはプーチン大統領ただ1人だとも言える。しかしそのプーチン大統領に関して、この1年余り、健康問題が取り沙汰されている。中でも、パーキンソン病なのでは無いかとの報道が絶えない。吉田たかよし医師は、推測の域を出ない中で、当然ながら正確な評価はできないとしながらも、「パーキンソン病とはどのような病気なのか」という一般知識について、「ニュースワイドSAKIDORI」で解説してくれた。

パーキンソン病は多くの方がかかる病気。モハメド・アリ、永六輔さん、岡本太郎さんらが、この難病と勇気を持って闘ったことが知られている。患者の数は日本人だけでも16万人以上。特に50歳以上で発症しやすく、年齢が上がるにつれて増加する。高齢化に伴い、患者数も増え、誰もかかりうる病気であるため、理解を深めておくことが重要だ。

パーキンソン病にかかると、脳内でドーパミンが減少し、脳内の情報処理がうまく出来なくなる。その結果、脳が体をコントロール出来なくなっていく。また全身の自律神経が上手く機能せず、立ち眩みや尿漏れなどが起きる。進行すると寝たきりになり、肺炎で死につながることが多い。

プーチン大統領がパーキンソン病にかかっている可能性に触れた報道は、一昨年11月のイギリス大衆紙「サン」が最初だった。脚が絶え間なく動き、ペンを持つ指も痙攣しているように見えたことを根拠にしている。確かにパーキンソン病の兆候として手足が震えはよく起こる。この兆候は、早期に気
づくので、覚えておくべきだが、パーキンソン病の場合、座って何にもしていない時や寝ている時に手足が小刻みに震える。一方、動いたり、自分の意思で何かしようとする時はピタリと止まることが多い。

人間はみな筋肉を動かす末梢神経を放っておくと手足が自動的に震えるように出来ている。しかし健康な脳であれば、中枢神経が末梢神経に震えないよう自動的に命令を出し続けているため震えない。パーキンソン病になると無意識のうちに震えなくなる命令を出せなくなる。何かやろうとして震えが止まるのは、中枢神経が別のルートを使って末梢神経に命令を出しているからだ。

特に手の親指と人差し指。パーキンソン病になると、勝手に指先がお札を数えるような動きで震えてしまう。プーチン大統領は2月18日にベラルーシのルカシェンコ大統領と会談した際、ひじかけを強く握りしめていた。確かに指先の震えを抑えるため体に力を入れているようにも見える。

このほか、筋固縮と言って体がこわばる症状もパーキンソン病には多い。プーチン大統領に、右脚が少し不自由な様子や顔がむくんでいるといったパーキンソン病の症状に見られる兆候があるのも事実。
一方、仮面用顔貌と言い、仮面のように表情が変化しないのもパーキンソン病の兆候だが、プーチンは若い頃から表情が無表情なので根拠にはならない。
吉田たかよし医師の、個人的な見立てとしては、可能性はあるが、パーキンソン病と決めつけられるほどの兆候とは言えないとのこと。

ただし、もし身近に、このような症状がある人がいれば、すぐに病院に連れて行って欲しい。

同様の症状が出る場合、ルビー小体型認知症の可能性もある。
脳内にルビー小体というゴミのようなものがたまり、パーキンソン病に似た症状が出るとともに認知症にもなる。特徴としては幻覚が出やすい。認知症全体の半分がアルツハイマー、20%がルビー小体型で、ルビー小体型も実は多いのだ。幻覚が見えたら精神科を受診して欲しいと吉田たかよし医師は強調した。

いずれしても、為政者の健康問題は、古今東西、常に議論されてきた。体調が、プーチン大統領の判断能力に影響を与えているのではないかとの世界中の懸念はしばらく消えないだろう。

『斉藤一美ニュースワイドSAKIDORI!』は平日午後3時30分~5時50分、文化放送(AM1134KHz、FM91.6MHz、radiko)で放送中。
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