「インド太平洋経済枠組み」は国益になり得るか!? 日本政府が参加の方針を発表

「インド太平洋経済枠組み」は国益になり得るか!? 日本政府が参加の方針を発表

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5月19日の「おはよう寺ちゃん」(文化放送)は、日本政府がインド太平洋経済枠組み(IPEF=アイぺフ)構想へ参加する方針を固めたと発表した件について、寺島尚正アナウンサーが木曜コメンテーターで京都大学大学院教授の藤井聡氏に意見を求めた。

アメリカが利益をむしり取る??

「インド太平洋経済枠組み」とは、アメリカが設立を表明する新たな経済圏構想だ。日本政府は5月23日に東京で開催される日米首脳会談で、アメリカ側へ参加の意向を伝える方向としている。

本来であれば、この経済圏には環太平洋パートナーシップ協定(TPP)があるが、トランプ政権時にアメリカが脱退。その後の中国の接近などもあり、アメリカがTPPに復帰するのは当面困難と見て、構想が浮上した。日米はこの新経済圏を通じて地域の経済秩序の更新を目指すとのこと。日本の他に、オーストラリアやニュージーランド、韓国、シンガポール、マレーシアなどが参加する見通しとなっている。

藤井氏は、アメリカ主導であることや過去の歴史を踏まえたうえで、この経済圏への参加が国益に貢献しないリスクがあるとの懸念を示した。

「この経済圏構想で、アメリカは自国の利益になることだけを考えています。自国の利益を生み出すには、限られたパイをむしり取る方法と、パイを皆で大きくしてWin-Winでいく方法の2つがあります。後者であれば喜んで参加すれば良いわけですが、前者の可能性もあるわけです。アメリカがこれまで日本に行ってきたさまざまな交渉はすべて前者です。つまり、むしり取ることを考えて(交渉を)行ってきた歴史があるので警戒しなければならないということです」と指摘した。

さらに、藤井氏はこう続ける。
「しかし日本政府、特に経済産業省、官邸周辺は『パイを増やすということなんだ』と決めてかかっています。プラスマイナスで考えて、マイナスのリスクがあるなら(参加を)やめるという気持ちで交渉に臨まないと、交渉にならないですね」。

インド太平洋経済枠組みの対象分野は、デジタル流通を含む貿易の円滑化、サプライチェーン、インフラ整備・脱炭素、税・反腐敗の4つとされている。藤井氏は、「一つずつ吟味して、『入るかどうかを考えます』と、まず言わなあかんですね」と述べ、国益を念頭に置き交渉に挑むことの必要性を訴えた。

「おはよう寺ちゃん」は平日朝5~8時、文化放送(AM1134kHz、FM91.6MHz、radiko)で放送中。 radikoのタイムフリー機能では、1週間後まで聴取できます。

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