「ロシアに勝ち目はありません」政治学者が読み解くウクライナ侵攻の今後とは?戦闘激化の先に見える世界戦争の危険性

「ロシアに勝ち目はありません」政治学者が読み解くウクライナ侵攻の今後とは?戦闘激化の先に見える世界戦争の危険性

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6月10日の「大竹まことゴールデンラジオ」(文化放送)は、講談社+α新書から著書「正しい戦争は本当にあるのか」が発売中の、東京大学未来ビジョン研究センター客員教授・藤原帰一さんを招き、ウクライナ情勢のこれからを聞いた。

大竹まこと「藤原さんは、今回ロシアがウクライナを攻撃したのは、個別的自衛権の行使として認める余地の存在しない明確な侵略で、対するウクライナ側の抵抗はまさに正しい戦争そのものであるとおっしゃっています。」

藤原「アフガニスタンへのアメリカ介入でも、アメリカは自衛を拡大解釈して正当化しました。今回はそのような余地がまったくない。ということは、侵略はいけませんから、抵抗する側が正しいことになるわけです。「侵略に対する抵抗は正当」という考え方と「全ての戦争が間違っている」という考え方には大変な隔たりがあります。武力を使って抵抗すること自体が犠牲者を出すんだからいけないという議論は論理的にありえます。ただ実質的には、武力で攻め込まれた場合の自衛は当然起こるし正当だと言っていい。その先に戦争がエスカレートして別の災害をもたらす可能性があるわけです。」

大竹「今回のウクライナとロシアの戦いは両国だけにとどまらず、隣国のフィンランドなどがNATOに加盟しようとして、それに対してロシアが自分たちの権利を主張して緊張が高まり、アメリカが大きな力を振るおうとする。ウクライナが抵抗している時点では正しかったけど、その後NATOやアメリカや日本や中国がどんどん巻き込まれていきました。」

藤原「NATOはすでに非常に高性能な武器をウクライナに送り込んでいますし、アメリカは第二次世界対戦中にイギリスなどに武器を供給した武器貸与法をまた定めて、武器の供給が行えるようになりました。だからウクライナがロシアと戦ってるんだけれども、その兵器は西側に大きく頼っている状態です。それでも今の戦場はロシアが攻め込んだウクライナですから自衛の範囲なんですが、この先には色々なシナリオがあります。例えば今、ロシアは東部戦線で少し巻き返していますが長期的には勝ち目がありません。占領してもそこに住む人達の支持を得ることはまず不可能ですし、NATOから供給される高性能の武器に対してロシアはおそらく兵器の生産が追いつきません。そうなると緩やかにウクライナ側に有利なっていきます。ここで、ウクライナからすれば攻め込んできたロシアを弱体化させるのは当然で、「もう一回攻撃されないようにロシア領内に攻め込んだっていいじゃないか」という理屈がでても当然に思えます。ただ、こうなった場合には、ロシア本土に対する攻撃になるわけです。先程、現在は正当だと言いましたけど、それはウクライナ側がウクライナの領内で抵抗してる範囲でとどまっているからです。これがロシア領内に攻撃するということになると、忘れていけないのはロシアは核保有国ですから、常に核を使う可能性はあるかという問題が出てきます。今、ウクライナの戦場に核兵器を利用する可能性は比較的低いと私思いますけれども、ロシア本土の防衛ということになったら全く違います。そしてこの戦争はこれからエスカレートしていきます。ポーランドやエストニアなどの国がウクライナを積極的に支援しているのは、ここで防衛できなかったら自分たちの国がロシアの犠牲になると考えているからです。抵抗が正当であるとしても、世界戦争にエスカレートすることを避けながら、ウクライナを支援するのはとても難しいことです。」

大竹・室井佑月「難しい…」

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