日本人の「娘」を兵隊相手の「接待」に提供した…満州で起きた衝撃の事実とは? 作家・平井美帆さんに聞く

日本人の「娘」を兵隊相手の「接待」に提供した…満州で起きた衝撃の事実とは? 作家・平井美帆さんに聞く

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今年1月に出版された「ソ連兵に差し出された娘たち」で、第19回 開高健ノンフィクション賞を受賞された、ノンフィクション作家の平井美帆さんを、7月1日の「大竹まことゴールデンラジオ」(文化放送)にお招きし、歴史に埋もれていた悲劇についてお話を伺った。



大竹まこと「平井さんは、第二次世界対戦下の『満州』で起きた出来事を取材していらっしゃいます。満州が存在したのは1932年~1945年で、当時は160万人が夢を懐いて彼の地に渡りました。そもそもこの本をなぜお書きになろうと思ったんですか?」

平井美帆「私は、前に書いた本で残留孤児を取材しました。彼らは日本人でありながら帰国という形で移民にならざるを得ないところがあり、自分もアメリカに長く住んでたので、彼らと接するうちに、日本人でありながらちょっと違う視点で日本社会に暮らす大変さなど共感するところがありました。その残留孤児の上の世代に『残留婦人』という人たちがいて、そのおばあちゃんに会ってみると、ソ連兵から性暴力を受けたとか、開拓団の人に頼まれてソ連兵のところに行かされたとか、そういう話を聞いたことがきっかけになりました」

大竹「本のタイトルは『ソ連兵へ差し出された娘たち』。『娘』という言葉を使ったことに意味があるそうですね」

平井「この本に書いたのは当時17歳ぐらいだった人たちの話なんですが、今より身長も低いし自由恋愛の時代でもなく、本当にまだ子どもだったので、本のタイトルはよく使われる『女たち』より『娘たち』にしてくださいと、お願いしました。彼女たちは、親が決めた海外移住に従った普通の子だったんですね。そんな普通の子が、ある日、日本が戦争に負けて、上の人から頼まれて、言葉も通じない外国人兵のところに行ってこいと言われた、そんな状況と繋がるように感じてほしいと考えました」

大竹「その女性たちは、満州国が崩壊した時、600人余りの黒川開拓団という共同体の安全と引き換えに、ソ連兵への『接待』に出された。というんですが、この『接待』という言い方が妙に心に引っかかりました」

平井「そうですね。『接待』という言葉には、日本の文化がすごく凝縮されていると思います。フワッとしていて『おもてなし』というイメージもありますが、実態とはだいぶかけ離れています。はっきり言ってしまえばレイプされたわけです。実際『それ』に行かされたおばあちゃんは、『接待に行きました』なんて絶対に言いません。でも周りは言いにくいから意外と気軽に『接待』って言うんです。聞くたびに微妙な気持ちがしたので、本の中では全部の『接待』に鉤括弧をつけています」

大竹「黒川開拓団の責任者は『それ』をしないと、自分たちが危ういと思ったんですか? それともソ連に強要されたんですか?」

平井「ソ連から求められたとか、団が応じたとか、それは本当に分かりません。ただ状況としては、戦争に負けて自分のいたところが外国になってしまった。そして毎日下っ端のソ連兵が女あさりに来るようになって、いつ日本に帰れるかもわからない中で、みんなを守るための発想だったわけです。でも当事者のおばあちゃんは、自分を『楽に犠牲にした』とおっしゃってました」

阿佐ヶ谷姉妹 江里子「略奪とか強奪とかの代わりに、自分達がそういう形で身代わりになったということですね」

平井「行かされた本人にとっては生きるか死ぬかの出来事だったんです。団には外部からもいろんな引揚者の男性が入ってきていたんですが、彼らが感じる『接待』に行かせることの重みと、娘たちが感じた切実さや被害は乖離があると思います」

平井美帆さんがどうやって取材を進め、話を聞き出したのか気になる方はradikoのタイムフリー機能でご確認いただきたい。

「大竹まこと ゴールデンラジオ」は午後1時~3時30分、文化放送(AM1134kHz、FM91.6MHz、radiko)で放送中。 radikoのタイムフリー機能では、1週間後まで聴取できます。

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