ウィシュマさんは特別ではない…代理人弁護士が明かす“入管”で起きた異様な光景とは？室井「ホラーみたいに恐ろしい」

大竹まこと「ウィシュマさんについての概要をお話しいただけますか。」

駒井知会「彼女はスリランカで英語の先生をやっていまして、インターナショナルスクールとかでも教えていました。昔から日本が好きで、最終的には日本で英語の先生やりたいと思っていました。英語が上手なスリランカの方が日本で英語の先生をすることは結構あるので、彼女もその夢を叶えるため日本にいらしたんです。まずは日本語ができないと、英語を教えられないものですから、日本の語学校に2017年から通い始めまして、最初は留学生としての在留資格をきちんと持っていました。そのあと、私たちも詳しくは知らないのですけれど、何かの事情があって学校になかなか通えなくなり、在留資格を失った後も日本におられたんですね。同じスリランカの男性と同居しておられた時DVにあったということで、交番に助けを求めたところ「あなた在留資格を持っていないね」ということでその場で逮捕され、2020年の8月に名古屋入管に送り込まれました。それから6ヶ月半の間に体重が20kg減って昨年の3月6日に亡くなってしまいます。」

室井佑月「これ痛ましくてさ。ニュースとか短編映画を見てると「凡庸な悪（思考停止して規範に盲従する人による悪）」って感じなの。ウィシュマさんがどんどん弱っていくんだけど、看守の人とかは「頑張れ～」って感じなんだよね。」

駒井「とても信じられないような出来事が収容施設の中で起こったことがはっきりしています。去年の2月15日に尿検査が行われ、ケトン体が「3+」という飢餓状態を示す数値が出てるんですね。3月6日に亡くなってるまでの間、彼女に職員の方がいろんな声をかけるんです。例えば亡くなる1日前の3月5日には「何か食べたいものがある？」と聞いています。でももうその頃、ウィシュマさんは言葉もうまく話せなくなってますので「あー」か「あろ」って言いましたら、職員が「アロンアルファ？」って聞き返すんです。この世界に飢餓状態で死にかけている人が、最後に食べたいものを聞かれて接着剤を言いますか？彼女はこういう孤独な空気の中で死んでいったんです。」

室井「これがホラーっぽいというか、意地悪でやってるわけじゃなさそうなんだよね。すごく恐ろしいことだと気付いてないような感じなの。」

駒井「亡くなる5日前の3月1日には、彼女は最後まで生きようとしてカフェオレを口にするんですが、飲み込めず鼻から出しちゃうんですよね。そしたら「鼻から牛乳や」って職員の方がおっしゃった。この様子は妹さん達がビデオ見たんですが、笑うように言われたというんです。飢餓状態になってる方には入院・点滴が原則だと思いますがそれは最後までせず、3月4日に精神科のお医者さんに連れて行って、そのまま入管に戻しています。ちょっと理解できないです。」

大竹「今の話を聞くと、想像だけど入管の中ではこういうことが繰り返されてたんじゃないかと考えちゃいますね。」

駒井「私はこの10年、入管の収容施設に通っていて、これまでにも点滴が本当に必要なのに、なかなかしてもらえないことは他にもありました。別の施設ですが、怒鳴り込むように職員に求めてやっと点滴を打たせたこともありました。ですからウィシュマさんは例外的なことではないんです。」

室井「あと、逃げる可能性がないのに外に出れないとか超おかしいよ。」

駒井「おっしゃるとおりです。国際法的には必要性・合理性のない身体拘束は許されないということになっています。これは基本の「き」ですが、それすら守られていません。ウィシュマさんは支援者の方が家も用意して、そこに受け入れますということを入管にも伝えていました。その支援者の方は他にも仮放免者を受け入れています。逃げないって分かっているんです。ちゃんと居場所もあるんです。それでも出さなかったんです。」

「大竹まこと ゴールデンラジオ」は午後1時～3時30分、文化放送（AM1134kHz、FM91.6MHz、radiko）で放送中。 radikoのタイムフリー機能では、1週間後まで聴取できます。