旧統一教会 解散へ向けた一歩となるのか~10月17日ニュースパレード  山本香記者取材後記

旧統一教会 解散へ向けた一歩となるのか~10月17日ニュースパレード 山本香記者取材後記

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 文化放送をキーステーションに全国33局で放送中「ニュースパレード」(毎週月曜日~金曜日午後5時00分~5時15分)

 その日に起こった最新の話題を中心に、幅広い分野にわたってニュースを紹介しています。昭和34年の放送開始以来、全国のラジオ局の強力なバックアップで、特派記者のレポート、取材現場からの中継など、今日最も重要なニュースを的確に把握し最新情報を伝え続けています。

 文化放送報道記者として国会、官邸を担当し、日夜取材活動で活躍する山本香記者が放送でお伝え出来なかった話題を取材後記としてお届けします。

 



 

 

目次

  1. 初の質問権行使に言及
  2. 形を変えた霊感商法
  3. 被害者救済

初の質問権行使に言及

 

 岸田総理大臣は、衆議院予算委員会で旧統一教会に対する宗教法人法に基づく質問権を行使することを表明した。

 10月11日、全国霊感商法対策弁護士連絡会が「解散請求」を国に要請しても、従来通り「慎重に判断する必要がある」という姿勢を崩そうとはしなかったが、17日朝、しかも予算委員会が始まる直前に、消費者庁の霊感商法などに対応する検討会が、解散命令の請求も視野に入れ、宗教法人法に基づく質問権の行使を提言。これを受けての岸田総理の予算委員会での答弁となった。

 政権支持率が下げ止まらない中、これまで及び腰だった「解散請求」に一歩を踏み出すことで、起死回生につなげたい思惑も透けて見える。だが問題は2歩目を踏み出せるかどうか。岸田総理の本気度はいかほどか・・・

 岸田総理は予算委員会で「政府として旧統一教会に対する宗教法人法に基づく質問権の行使による事実把握、実態解明などを進めていかなければならない」と強調。野党側は「いつまでにやるのか」と繰り返し政府を追及したが、岸田総理から返ってきた答弁は「年内に手続きを開始する」と述べただけで、期限やメドについての言及はなかった。

 予算委員会を傍聴していた旧統一教会信者の元夫、橋田達夫さんは岸田総理の答弁について、問題解決に向けた「エネルギーを感じられない」とし、調査に1年か2年かかるだろうと、憮然としていた。一方、予算委員会で岸田総理を追及した立憲民主党の山井和則氏も、最後までメドを示さなかった岸田総理の姿勢に「引き伸ばしだ。やっているふりを見せただけだ」と怒りを隠せない様子だった。

 

形を変えた霊感商法

 

 その山井氏は、質問に立つに当たって、予算委員会の理事会に、旧統一教会に関する壷や経典などを参考資料として持ち込みたいと要請したが、自民党側から「本物かどうか分からない。係争中の可能性があるから」という理由で拒否され、実現しなかった。理事会では、全会一致が原則のためである。

 山井氏が持ち込もうとしたのは左から
①「天聖經(てんせいきょう)」教祖・文鮮明氏の教えが書かれた経典
②「高麗大理石壷(こうらいだいりせきつぼ)」
③「善霊堂(ぜんれいどう)」

 「天聖經」と「善霊堂」は、約400万円の献金で、「高麗大理石壷」は約100万円の献金でもらえるという。これ以外に、3000万円を献金すると①のものより大きな経典をゲットできるという。

 旧統一教会は、以前、高額の壷や印鑑など関連グッズを売りつける霊感商法を行い社会問題となった経緯があることから、モノを売りつける商法から、献金額に応じて壷などのグッズがもらえるというやり方に変更。こうした手口について「霊感商法隠し」という指摘もある。

 

被害者救済

 

 予算委員会で岸田総理は、旧統一教会の問題について質問権の行使のほか、被害者救済の相談体制の強化、消費者契約法の見直しを進めると表明した。

 

 この答弁からまもなく、立憲民主党と日本維新の会は共同で「悪質献金被害救済法案」を国会に提出した。内容は、マインドコントロールなどによる多額の献金や物品の購入について、本人だけでなく、家族らも被害を取り消せる制度の創設や、損害の認定について年収の4分の1を目安のひとつとすること、それに刑事罰も盛り込まれている。

 このうち、本人以外の家族も献金などを取り消せる「特別補助制度」について、岸田総理は予算委員会で「一度考えてみたい」と前向きな姿勢を示した。法改正の必要性については与野党が一致。岸田総理も「できるだけ早くに結論を出したい」と強調したが、今国会中の成立を目指すという言葉はついぞ聞けなかった。期限やメドを示すのがよほど嫌いなのか、慎重なのか、それとも正直すぎるのか。

 

 臨時国会は12月10日まで。旧統一教会をめぐる解散請求と被害者救済策は年内に何らかの進展や結論を得ることができるのか。30年近くにわたり、この問題を放置していた政治の責任は重く、先送りは許されない。

 

 

 

 

「ニュースパレード」は「西川あやの おいでよ!クリエイティ部」内、平日午後5時~5時15分、文化放送(AM1134kHz、FM91.6MHz、radiko)で放送中。 radikoのタイムフリー機能では、1週間後まで聴取できます。

また「ニュースパレード」はPodcastでも配信しています。

ニュースパレードPodcast

 

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