「無名でも箱根駅伝を走れることを証明する大会に」関東学生連合・新田颯(育英大・4年)が襷に込める想い

「無名でも箱根駅伝を走れることを証明する大会に」関東学生連合・新田颯(育英大・4年)が襷に込める想い

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予選会敗退チームから成績上位者が選ばれ編成される関東学生連合。チームで出場できなかった悔しさ、それでもエントリーされた嬉しさ、チームに持って帰りたいもの――ユニフォームも、バックグラウンドも違う16人が、今回も関東学生連合チームに集まった。

その中で注目してほしいランナーがいる。1区にエントリーされている新田颯(育英大4)だ。

 

入学した時の10000m持ちタイムは32分半――。高校生でもトップランナーなら28分台、有力校からスカウトされるには29分台のタイムが必要と言われる中で、このタイムが傑出したものでないことは言うまでもない。この4年間にどれほどの努力を積み重ねてきたか、これも語るに及ばないだろう。

育英大学での競技生活を振り返り「飛躍の4年間だった」と話す新田だが、一度は悔しい思いもした。

2年前、関東学生連合で箱根駅伝メンバーに選ばれながら、ケガで走ることができなかったのだ。

「12月に入って、半月板にひびが入っていることがわかり箱根は断念せざるを得ませんでした。あの時は落ち込みました。チームのみんなが箱根に向かって頑張っている中で、自分は補強しかできなくて…」

その2年前の箱根駅伝直前。「半月板の故障で膝をロックされた状態」と話す新田に、筆者は電話で話を聞いていた。あの時の悔しさの滲む声が忘れられない。その後は記録会で走っている姿を嬉しく眺めていたものだ。

新田はその故障について、「走れるありがたみに気付かされました。もっと走ることに貪欲にならないと、と思いました」と言う。

走れないもどかしさを経験してからの新田はさらに強くなった。去る11月27日の日体大長距離競技会では28分21秒14とパーソナルベストを大幅に更新。大学4年間で実に4分以上、更新して見せた。

大学で競技引退を決めている新田は「陸上人生最終章。集大成とも言える。そんな大会が箱根駅伝」と感慨深そうに話す。「箱根駅伝を通して、『どんな選手でも努力すれば箱根駅伝は走ることができるよ』ということを、走りを通して伝えたい」と、その身をもって次世代へと襷をつなぐつもりだ。
さらに、育英大のチームに対しては「どうすれば箱根に出られるかを、強い選手を真似することで学んでほしい。僕がチームの代表として走るので、この姿を見て飛躍してほしい」と、強い言葉で鼓舞する。

「無名のランナー」、だが無名のままで終わるつもりはない。競技人生最後の舞台でその名をとどろかせるべく、白い襷を堂々と掛け、1月2日、大手町のスタートに立つ。

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