強みから新しい事業を生み出すには#1『浜松町Innovation Culture Cafe』

強みから新しい事業を生み出すには#1『浜松町Innovation Culture Cafe』

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いつまでも若々しく健康でいたい、綺麗で美しくあり続けたい、これは男女問わずいくつになっても誰もが願うことではないでしょうか。医療の発展で私たちの健康や美容に対するアプローチも大きく進歩しています。その中でも今最も注目されているのが再生医療となります。

 

再生医療とは、病気や事故など何らかの理由で失われたからだの組織を、根本的に再生することを目指す医療技術です。この再生医療には欠かせないのが、これからいろいろな組織や臓器になれる未分化な細胞である幹細胞です。幹細胞には次の二つの能力が不可欠です。一つは、わたしたちのからだをつくるさまざまな細胞を作り出す「分化能」、もう一つは自分とまったく同じ能力を持った細胞に分裂する「自己複製能」です。これらの能力を持った幹細胞を投与することで、傷ついた体の部分を修復、低下した機能を改善することができるのです。

 

幹細胞は大きく分けて2種類あります。1つはES細胞やiPS細胞など、どのような細胞でも作り出すことのできる「多能性幹細胞」で、再生医療の中心的な存在です。ただ万能に思えるこれらの細胞も様々な課題があり、現段階では治療に応用することは難しい状況です。ES細胞は、着床前の受精卵の胚盤胞と呼ばれる部分から人工的に作られるため、本来は人として誕生することができた命から採取された細胞であり、倫理的な問題があります。また他者の細胞から作られるため、臓器移植同様拒絶反応のリスクもあります。iPS細胞は、線維芽細胞という誰しもが既に持っている自身の細胞から作ることができるため、ES細胞の持つ課題はクリアされます。しかし、遺伝子操作が必要な点、癌化のリスクなどが残ります。

 

2つ目は、消えゆく細胞のかわりを造り続けている「組織幹細胞」です。これらの細胞は、何にでもなれるのではなく、役目が決まっていると考えられていました。しかし、骨髄の中に存在する間葉系幹細胞は筋肉や軟骨、脂肪、神経などに分化することが明らかになってきました。そして近年、これと似た性質をもつ幹細胞が皮下脂肪内にも多く存在するということがわかってきたのです。これは脂肪由来間葉系幹細胞といわれ組織幹細胞の中でも採取が簡単で、組織量も豊富に存在することから治療細胞として注目されています。この間葉系幹細胞はロート製薬の本間陽一さんが専門とされており、ゲストご出演頂いた下記の番組内でも少し触れられています。

 

様々な社会課題や未来予想に対してイノベーションをキーワードに経営学者・入山章栄さんが様々なジャンルのトップランナーたちとディスカッションする番組・文化放送「浜松町Innovation Culture Cafe」4月12日の放送では、「強みから新しい事業を生み出すには」というテーマでお送りしました。

 

番組内では、‪ 株式会社船橋屋代表取締役社長で8代目当主の渡辺雅司さんと、ロート製薬株式会社再生医療研究企画部部長の本間陽一さんにご参加いただき「現在の取り組み」から「強みをどう守り受け継ぐか」について熱いトークが繰り広げられました。

現在の取り組み

渡辺 船橋屋は1805年創業の老舗くず餅屋で、「くず餅乳酸菌」で若い世代から今とても注目されています。450日かけ天日干しで自然発酵されるくず餅は、13種類の乳酸菌と7種類の酢酸が含まれています。「くず餅乳酸菌」は免疫細胞活性効果が実証され、免疫力向上やアレルギー対策、美肌効果にも効果があるのではと期待されており、今後は機能性食品を取りにいきたいと考えています。新商品の「飲むくず餅」は2ヶ月で2万本売れる大ヒットとなっています。

 

本間 再生医療とは細胞から体の組織を作り出し、それを移植し治療することです。iPS細胞をご存知の方は多いと思いますが、我々は幹細胞を研究しています。健康な人の脂肪の中にある幹細胞を大量に培養し、患者さんに投与します。正確には間葉系幹細胞といい、皮膚や歯茎など体内の色々な組織にいる体のメンテナンスをする細胞なので、ダメージを受けた組織を修復する役割を担います。

強みをどう守り受け継ぐか

渡辺 「動的平衡」という言葉がありますが、壊してから再生されると考えています。船橋屋は200年続く老舗ですが、実際は若い世代が担うベンチャーのような会社です。高速で回るコマが止まって見えるように、老舗ということで一見止まって見えますが、回り続けています。経営理念やビジョン、というコマでいう軸の部分は大切にしつつ、コマを高速で回すために、活気あるフラットな組織づくりは大切にしています。

 

本間 ロート製薬も色々な領域を増やしながら、目薬や化粧品、胃薬といったお互いの領域の技術を掛け合わせることを意識しています。全ての事業に力を注ぎ、横の関係を尊重し合うことで、自社にしかできない新しい価値を創造できると考えています。守るものは守りつつ、人の健康に貢献するために何でもやるチャレンジ精神は社員一貫して持っています。

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