『大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ』    いま、個人向け国債が面白い

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情報番組「大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ」では、残間里江子さん(フリープロデューサー)と、大垣尚司さん(青山学院大学教授、移住・住みかえ支援機構代表理事)が、お金や住まいの話を中心に、大人世代のあれこれを語ります。

この連載は、番組内の人気コーナー「おとなライフ・アカデミー2023」の内容をもとに大垣さんが執筆した、WEB限定コラム。ラジオと合わせて、読んで得する家とお金の豆知識をお楽しみください。

★メールまとめ
個人向け国債の購入を考えていますが、アドバイスをお願いします。

★メール本文
好きな女性タレントが、個人向け国債のPRをやっていて、興味を持ちました。
いろいろ調べてみると、変動10年ものの場合、
去年の今頃と比べて、利率が3倍近くになっているようです。
といっても、たいした金額ではありませんが、
リスクが低いのは魅力的な気がします。
「安心度が高い」というのが宣伝文句で、
「絶対安全」とは言わないのが気にかかるところではあります。
大垣さんは、国債、どう思いますか?

(葛飾国債さん 葛飾区 48歳 男性)

個人向け国債のメリットは

48歳というお年だと、国債でもいいですが、まだ投信とか新しいNISAとかIDECOの制度も出てきているので、少し長期的に考えられてもいいと思います。でも、国債自体はいま、おもしろい時期になっているのは確かです。
実は、個人向け国債は、普通の国債と違う特徴があります。最大のポイントは、変動10年ものの場合、国債の金利が上下するのに合わせて、金利が変わっていくことです。そして、購入から1年が経過すれば、いつでも換金できる商品なんです。

債券は、決められた期間が来れば、利子をつけてお返しします、というものですが、売ったり買ったりできます。普通の場合は、途中で売る場合、市場の取引価格によって、戻ってくる金額が変わってきてしまいます。
ところが、変動10年ものの個人向け国債は、100万円出して買ったものであれば、途中換金する場合でも、その100万円をちゃんと返してくれる。これは他の債券にはない、最大のポイントです。金利そのものも、0.05%が最低保証されています。これは定期預金なんかよりはずっと高い。

日銀総裁の交代で起こること

それで何よりも日銀の総裁がかわって、ここから何をやらなきゃいけないかと言うと、10年ものの長い金利を少しずつ上げていく。
短いところ、数か月とか1週間とかは上げられないのでそこは抑えたままになります。通常の場合、金利は短期的なものは低くて、長期になればなるほど高くなる線を描きます。これをイールド・カーブと呼びます(利回りカーブの意味)。
ところが、前任者の黒田総裁は「イールド・カーブ・コントロール」といって、本当なら右肩上がりになるところを、平らなままに抑え込んできました。これはもう無理なので、長期の金利を自然の状態に戻していく必要があるわけです。でも急にやると大変なので、ちょっとずつちょっとずつやっていく。これが今やれることなんです。
金利を上げると言ってますが、短いところは上がりません。都銀から借りる住宅ローンなども、短いところに連動しているので、案外上がらないんです。でも債券は、長いところなので、少しずつ上がっていきます。
個人向け国債でも、短期の金利が固定されているものは、低いままなので値段が下がりますが、変動10年ものは金利上昇と共に上がっていきます。おそらく、今から買っておけば、下がるよりは上がる可能性の方が高いでしょう。

今回は、個人向け国債の購入について考えてみました。
メールをお寄せいただき、ありがとうございます。

大垣尚司 プロフィール
青山学院大学 法学部教授、一般社団法人 移住・住みかえ支援機構代表理事。

第一線で培った金融知識をもとに、住宅資産の有効活用を研究・探究する、家とお金のエキスパート。

東京大学卒業後、日本興業銀行、アクサ生命保険専務執行役員、日本住宅ローン社長、立命館大学大学院教授などを経て、現在、青山学院大学法学部教授。
2006年に「有限責任中間法人移住・住みかえ支援機構」(現、一般社団法人 移住・住みかえ支援機構)の代表理事に就任。
日本モーゲージバンカー協議会代表理事を兼務。著書に『ストラクチャードファイナンス入門』『金融と法』『49歳からのお金ー住宅・保険をキャッシュに換える』『建築女子が聞く 住まいの金融と税制』など。

家とお金に関するご質問、お待ちしてます
番組では、家とお金にまつわるメールやご質問をお待ちしています。
宛先は、otona@joqr.netまで。

※この記事で掲載されている情報は全て、執筆時における情報を元にご紹介しています。必ず最新の情報をご確認ください。

お知らせ
パーソナリティの一人である大垣尚司さんが代表理事を務める一般社団法人「移住・住みかえ支援機構」(JTI)では、賃貸制度「マイホーム借上げ制度」を運用しています。

住まなくなった皆さまの家をJTIが借り上げて、賃貸として運用。
入居者がいない空室時でも、毎月賃料を受け取ることができます。
JTIは非営利の公的機関であり、運営には国の基金が設定されています。

賃料の査定や、ご相談は無料。資格を持ったスタッフが対応いたします。

制度についての詳しい情報は、移住・住みかえ支援機構のサイトをご覧ください。

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楽しいセカンドライフを送るためのご提案などがたっぷり! 金融・住宅のプロフェッショナル大垣尚司と、フリープロデューサー残間里江子が 大人の目線でお届けします。…

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