なかじましんや 土曜の穴

毎週 土曜日 11:00〜13:00
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ゲスト・田中康夫さん

 「しんやの部屋」のゲストは作家の田中康夫さん。

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 1981年にベストセラーとなり(発表は1980年)
 社会現象にもなった『なんとなく、クリスタル』
 その33年後の世界を描いた
 『33年後のなんとなく、クリスタル』
 (河出書房新社/1,600円+税)
 去年11月に発表され話題になっています。
 また、
 日本文学研究者・ロバート キャンベルさんによって
 『なんとなく、クリスタル』は"もとクリ"
 『33年後のなんとなく、クリスタル』は
 "いまクリ"と呼ばれるようになりました。

(中島)「僕は田中さんの
     本音が出ちゃってるなと思う部分が
     いくつかあって
     これを"もとクリ"の方でも
     すでにそういう感覚だったのかな、と」


 日本は1970年頃から高度経済成長へ、
 そして田中康夫さんが
 『なんとなく、クリスタル』を書いた
 80年頃からは高度消費社会に突入。

(田中)「同時に経済もグローバル化して・・・、
     私たちは皆、社会においては
     "歯車"なんだけど、
     非常にもっと、そうなっていっちゃう」


 その中で、物質的だけでなく、
 精神的にも"豊か"というのは・・・

   たとえば、好きな人といる瞬間。
   たとえば、美味しいものを食べた瞬間。

(田中)「B級グルメであろうと
     好きなものを食べた瞬間って
     数字に換算できない得も言われぬ
     "確かさ"や"喜び"じゃないですか。
     そういう"ささやかだけど確かなこと"
     それを得ていくのが人間かな、って」


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(中島)「広告の世界が近年、
     変わり始めているんです」


 ここで、CMディレクター・中島信也さんは
 クリエイティブ / 広告の世界が
 変わり始めている――という話を切り出しました。
 CMはかつて
 "企業の儲けを上げるため"の存在でしたが、
 クリエイティブの世界に生きる
 今の30代の人たちの中では
 『クリエイティブの力でみんなを幸せに』
 "ソーシャルハッピー"はできないか
――
 という考えの
 "新しい波"がやってきているそうです。

 「それは、よりリッチかというとそうでもなくて、
  もうちょっと質素だったりするんですけども、
  そこの"つながり"の中にもっと喜びがあるよね
  ――と探ろうとしている動きと
  『33年後』の中で語られていることが
  ピッタリ符合することがいっぱいあって・・・」(中島)


 しかしながら、今の時代、今の日本、
 "みんなが幸せな社会"を作ることは
 容易ではありません。
 そんな時代で・・・
 『33年後のなんとなく、クリスタル』の
 由利は何かを求めている・・・
 『33年後』の由利のセリフ――
 (引用)
 "ヤスオも知ってるでしょ。
  『微力だけど無力じゃない』って言葉。
  私、そう信じたい。"

  (引用終わり)

(中島)「『微力だけど無力じゃない』
     というあたりがググっときます」


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 放送では、田中康夫さんが
 細野晴臣さん、春風亭小朝さんとともに
 出演された
 キリンビヤ樽のCM(1993年)の話題にも。

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 中島さんのCM制作の仕事について
 「人に潤滑油を与えるっていうこと」
 とおっしゃる田中康夫さん。

(田中)「このラジオを作っている方も
     残業があるかもしれないけど
     一人のリスナーから
     『よかったよ』ときたら
     その背後に
     どのくらいの人がいるのかな、
     と思って、それが喜びでしょ」


(中島)「まさにそうです!」

(田中)「私にとっては恋愛も、行政や政治、
     ボランティア、仕事も
     みんなに喜んでもらってナンボだから。
     お金の話じゃなくてね」


(中島)「僕の提唱している
     "喜んでもらイズム"と近いですね」


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 『33年後のなんとなく、クリスタル』
について
 詳しくは河出書房新社のウェブサイトをご覧ください。
 田中康夫さんのオフィシャルウェブサイトは こちら

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