介護現場はテクノロジーで変えられるのか#2『浜松町Innovation Culture Cafe』

介護現場はテクノロジーで変えられるのか#2『浜松町Innovation Culture Cafe』

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日本は世界一の長寿国と言われています。厚生労働省から発表された2020年の100歳以上の高齢者人口は、2019年より9,176人増加の80,450人だそうです。この数字を聞いて、予想以上に多いと感じた人も多いのではないでしょうか。人生100年時代を考える『LIFE SHIFT』という書籍がベストセラーになったように、今後は人生100年と考えて人生設計をして行く必要がありそうです。

 

総務省統計局から発表される日本の高齢者人口によると、2020年9月現在、日本の全人口の28.7%が65歳以上の高齢者という割合です。また日本の平均寿命は1990年から2019年の期間で5年以上伸びており、今後20年間でも約2年伸びると推計されています。少子化も重なり、今後ますます高齢者の割合が増えていくでしょう。

 

そこで問題になってくることの一つに認知症があります。認知症は記憶障害のほかに、失語、失行、失認、実行機能の障害が1つ以上加わり、その結果、社会生活あるいは職業上に明らかに支障をきたし、かつての能力レベルの明らかな低下が見られる状態と定義されています。認知症は老化によるもの忘れとは違い、何かの病気によって脳の神経細胞が壊れるために起こる症状や状態をいいます。そして認知症が進行すると、だんだんと理解する力や判断する力がなくなって、社会生活や日常生活に支障が出てくるようになります。

 

認知症と一言に言っても様々なタイプがあり、脳の変化や特徴的な症状も違います。認知症の約半数はアルツハイマー型認知症で、聞いたことがある方も多いと思います。次に多いのがレビー小体型認知症、そして血管性認知症と続きます。これらは「三大認知症」といわれ、全体の約85%を占めています。2025年には高齢者の5人に1人、つまり20%の割合で認知症になるという推計もあります。つまり身近な人に起こり得る可能性がとても高いのです。

 

認知症の介護は、自分の自由時間が取れないだけでなく、休む時間そのものがほとんどなくなってしまうこともあります。深夜頻繁に起きなければならない日々や、日中全く目が離せず介護につきっきりの日々が続き、介護疲れにつながります。長期化する場合、介護者の精神面や身体面に異常をきたすケースや、要介護者との関係性が悪化する場合もあります。そうなってしまっては誰も幸せにはなれません。そうならないためにも、認知症に対する理解、周りのサポート、さらには科学の力に頼ることがとても大切になってくるでしょう。介護する側もされる側も関係なく、人々を幸せにするケアテックに期待したいです。

 

様々な社会課題や未来予想に対してイノベーションをキーワードに経営学者・入山章栄さんが様々なジャンルのトップランナーたちとディスカッションする番組・文化放送「浜松町Innovation Culture Cafe」5月6日の放送では、Panasonic Game Changer Catapult代表の深田昌則さんと、株式会社aba代表取締役CEOの宇井吉美さんにご参加いただき「未来のケアテック」から「介護施設から訪問介護まで」について熱いトークが繰り広げられました。

未来のケアテック

深田 高齢者が「介護される側」としてポジションが固定されてしまっていることは違うと思っています。介護される側も申し訳ないという発想ではなく、社会貢献や新しいことへの挑戦ができるようにしたいです。食、健康、美容など様々な分野で今までになかった新しいサービスが生まれてくるのではないでしょうか。特に家庭での役割が増えているので、新しい家電の在り方であるケア家電が新たなカテゴリーとして確立するでしょう。

 

宇井 認知症の理解促進のために生まれた少し変わった料理店「注文をまちがえる料理店」の様に小さな仕掛けで、目線を変えて「ま、いっか」と周りの態度を変える仕組みが作れるのではないでしょうか。テクノロジーとは仕掛けであり、ITだけがテクノジーではありません。もちろん今後もハイテクのものを開発していきますが、そこにローテクをかけ算することでより現場が豊かになると思います。シンプルな仕組みは最強です。介護現場にも小さな工夫で変化が作れると思います。

介護施設から訪問介護まで

宇井 介護施設と訪問介護では、それぞれ状況も必要なものも全く異なります。チーム戦であり物が整っているためテクノロジーを取り込みやすい介護施設に対し、単独プレーであり状況が千差万別の訪問介護にはテクノロジーが入り込む余地はありますが、まだまだだと思います。ただ、これから家庭の通信環境を気にしなくなってくると状況は変わると思います。ドラえもんのひみつ道具「お医者さんカバン」の介護版を作るのが夢ですね。

 

深田 日本企業の得意な小型化事業の様なワクワクするモバイル機器が出てくると訪問介護も良くなりますね。訪問歯科向けのサービスを考えたことはあります。どの事業もそうですが家庭と施設とモバイルはセットです。このセットが介護やヘルスケアでもあると良いですね。

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この記事の番組情報


浜松町Innovation Culture Cafe

浜松町Innovation Culture Cafe

月 19:00~19:30

浜松町の路地裏にひっそりと佇むカフェ「浜松町Innovation Culture Cafe」 経営学に詳しいマスターが営むこのお店には、様々なジャンルのクリエ…

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