第100回箱根駅伝 みどころ

第100回箱根駅伝 みどころ

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駒澤大学の2年連続三冠か、はたまた「駒澤一強」に待ったをかけるチームが出てくるのか…
第100回記念大会となる2024年の箱根駅伝。みどころを紹介します。

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目次

  1. 駒澤大学、史上初の2年連続三冠達成なるか!?
  2. “STOP駒澤”に名乗りを上げるのは?
  3. シード権争い
  4. エース
  5. 大きな節目—第100回大会

みどころ1 駒澤大学、史上初の2年連続三冠達成なるか!?

今シーズンも駒澤大学の勢いが止まりません。昨年度三冠の勢いそのままに、今シーズンもここまで出雲駅伝、全日本大学駅伝と圧倒的な強さで勝利をおさめ三大駅伝5連勝。この箱根で、史上初の2年連続三冠&史上最長の三大駅伝6連勝を目指します。さらに駒澤は、前回の箱根4区から出雲、全日本と21区間連続先頭で襷リレーをしています。圧勝を続けていることを示すこの記録がどこまで続くかも注目です。

駒澤大学は昨年度、エース田澤廉を擁し、悲願の学生駅伝三冠を達成しました。直後に大八木弘明監督の総監督就任、藤田敦史ヘッドコーチの監督就任が発表され今シーズンは新たな船出となりましたが、藤田監督新体制になっても強さは衰えるどころか、ますます確実なものになっています。

チームの中心は卒業した田澤廉らと練習をするSチームのメンバー、キャプテン・鈴木芽吹(4年)、篠原倖太朗(3年)、佐藤圭汰(2年)の3人。11月25日に行われた八王子ロングディスタンスでは、3人がそろって27分台40秒を切る歴史的なレースを見せました。佐藤圭汰は初の10000mで27分28秒50と、田澤廉が持つ日本人学生記録まで約5秒と迫る快走。さらに、従来の記録を30秒以上更新してU20日本記録&アジア記録を樹立。1500m、3000m、5000mとあわせて、U20日本記録を4つ持つことになりました。鈴木芽吹は27分30秒69で自己ベストを更新し、日本人学生歴代3位をマーク。ハーフマラソン日本人学生記録を持つ篠原倖太朗は27分38秒66で日本人学生歴代5位の記録ながら、レース後には「トータルで弱かったです」と悔しさを見せました。

この篠原の表情が表すように、3人が見据えるのはもはや学生界ではありません。鈴木芽吹は「篠原と圭汰と僕は学生の中でどうこうではなく、どれだけ世界と戦える力をつけるかをテーマにやっている」と、箱根の先を見据えて話します。絶対的な強さを持つ3人が箱根路でどのような姿を見せるのか、期待せずにはいられません。

日本学生個人選手権5000mで優勝し、ワールドユニバーシティゲームズでも銀メダルを手にした安原太陽(4年)は全日本6区で区間賞を獲得するなど駅伝でも安定感を見せています。前回箱根で山上り5区を担った山川拓馬(2年)は、出雲はエース区間3区を日本人トップの区間3位、全日本はアンカー8区で区間賞を獲得しています。ほかにも、前回箱根6区で区間賞を獲得している伊藤蒼唯(2年)、関東インカレ2部ハーフ優勝の赤星雄斗(4年)、全日本1区区間賞の赤津勇進(4年)、12月2日の日体大長距離競技会で5000m13分37秒54のタイムをたたき出した帰山侑大(2年)、さらには27分台の記録を持つ唐澤拓海(4年)、故障が続いていた“駅伝男”花尾恭輔(4年)も11月の上尾ハーフで復帰を果たしました。選手層でも他を圧倒しています。

「最強だった去年の駒澤を超える」。2年連続三冠の大記録を前にしても浮足立つことなく、目の前の一戦を全力で勝ちに行く姿勢は変わりません。藤色の襷が箱根路でどのような強さを見せるのか、楽しみです。

 

みどころ2 “STOP駒澤”に名乗りを上げるのは?

駅伝シーズン開幕前、優勝候補との呼び声が高かったのは中央大学です。箱根1区区間記録保持者の吉居大和(4年)、今シーズン5000mで日本人学生トップの記録13分22秒01を持つ吉居駿恭(2年)の吉居兄弟に加え、同2位の13分24分11秒を持つ中野翔太(4年)、スピードに加えスタミナ強化もしてきた溜池一太(2年)、マラソンも2度経験し長い距離にも強いキャプテンの湯浅仁(4年)、上りも平地も走れる阿部陽樹(3年)ら、選手は揃っています。駒澤・藤田監督も中央大学を一番の脅威と見ていました。
しかし、「初優勝」を目標に掲げ挑んだ出雲駅伝はまさかの7位。続く全日本でも4位で表彰台を逃しており、力を発揮しきれたとは言えない駅伝が続いています。
ただ、史上最多97度目の出場&史上最多14度の優勝を誇る中央にとっては、箱根こそがもっとも譲れない場所。「三冠」を掲げて挑んだシーズン、その三冠には手が届きませんでしたがその分箱根にかける意地はどこよりも強いはずです。誰よりも箱根路を知る真紅の襷が第100回大会の優勝を狙います。

全日本大学駅伝で2位に入り存在感を示した青山学院大学も箱根での勝ち方を知るチームです。今シーズンは絶対的なエースはいませんが、その分チーム力で戦う準備を進めてきました。
中心になるべき存在、“駅伝男”佐藤一世(4年)は11月のMARCH対抗戦で28分11秒00の自己ベストを更新し存在感を示しています。太田蒼生(3年)も同レースで自己ベストを更新すると、三大駅伝未出走の倉本玄太(4年)が28分19秒31の好タイムで、出走メンバー入りに近づきました。選考レースの1つ、世田谷246ハーフでは表彰台を独占。優勝した鳥井健太(1年)は、出雲駅伝での悔しさを糧に練習を積み、さらに強くなった姿を見せました。
上の世代が強く箱根経験者は4人と多くないため新戦力の台頭がカギとなりますが、中でも注目は黒田朝日(2年)でしょう。本職の3000m障害ではU20世界選手権やU20アジア選手権で日の丸を背負った経験もありますが、三大駅伝デビュー戦となった出雲駅伝では佐藤圭汰(駒澤大2)と同タイムで区間賞を獲得、全日本大学駅伝では従来の区間記録を上回る区間2位と、ロードでの適正も開花させました。法政大学時代に箱根路を3度走った父・将由さん譲りのポテンシャルを箱根路で見せます。
今回、キャプテンの志貴勇斗(4年)は調子が上がらず、直前の強化合宿に参加できませんでした。小原響(4年)はその志貴キャプテンに対して「自分が走れていなくてもチームのことを考えてくれている。箱根駅伝で優勝して、キャプテンがやってきたことは間違いじゃないんだよと最後に言ってあげたい」と決意を口にします。誰かのために頑張れる人はきっと強い。仲間への想いがフレッシュグリーンをひときわ輝かせるはずです。

ここ2シーズン、三大駅伝すべてで4位以内と安定した成績を残している國學院大學も、虎視眈々と優勝を狙います。チームスローガンに『てっぺん』を掲げ挑んだ駅伝シーズンは出雲4位、全日本3位と素直に喜べない結果に終わりました。もう表彰台で満足するチームではありません。
チームの中心は伊地知賢造(4年)、平林清澄(3年)、山本歩夢(3年)の3人。前回5区を担ったキャプテンの伊地知はここまで三大駅伝皆勤賞、今シーズンも安定した成績を残し続けています。平林は7月に10000m27分55秒15の國學院大記録を樹立すると、全日本でもエース区間7区で三大駅伝初の区間賞を獲得。練習への姿勢や言動でもチームを引っ張ります。山本歩夢は故障が響き、出雲、全日本には調子が戻り切らないままの出走となりましたが、箱根に向けては順調な様子。ハーフ1時間00分43秒の力は揺らぎません。
ほかにも、前回箱根アンカー10区で順位を3つ押し上げた佐藤快成(3年)、さらにU20日本選手権5000m優勝の青木瑠郁(2年)、沖縄県高校初の13分台ランナー・上原琉翔(2年)、全日本で三大駅伝デビューを果たした嘉数純平(2年)、今シーズン成長株の高山豪起(2年)、さらにルーキーの後村光星野中恒亨吉田蔵之介ら、チームとしては過去最高の層の厚さと言っても過言ではないでしょう。
2019年、國學院大學が三大駅伝初優勝を果たした出雲では、6区アンカー区間で駒澤大学を逆転で勝負を決めました。あの時は師匠・大八木監督を教え子の前田監督が破るという構図でしたが、今回の相手は大学でも実業団でも憧れた先輩・藤田敦史さんです。師匠・先輩を超える挑戦——古代紫の襷が「てっぺん」に挑みます。

ほかにも、出雲駅伝2位で力を示した赤と青のストライプ・創価大学や、出雲3位で三大駅伝初の表彰台に上った黄色の襷・城西大学も、流れに乗れば上位争いに絡んでくる可能性が十分にあります。

217.1キロのフィニッシュ・大手町に最初に飛び込むのはどのチームになるのか。100回大会の今回も最後まで分からないレースになりそうです。

 

みどころ3 シード権争い

箱根駅伝は上位10校に翌年のシード権が与えられえます。シードを落としたチームは予選会からの再出発となりますが、その予選会が過酷なレースになることは言うまでもありません。今年の予選会では13校の狭き枠を、全国から出場した史上最多57のチームで争いました。東京農業大学が10年ぶりに箱根路復帰を果たしたほか、日本大学、神奈川大学、中央学院大学、駿河台大学が本戦復帰。一方、前回の箱根11位、10位東洋大学とは1分32秒の差でシードを逃した東京国際大学がわずか3秒の差に泣いて予選落ち。箱根本戦出場は6年連続で途切れる結果となりました。

また、箱根駅伝のシード校がそのまま出雲駅伝の出場権を得ることになります。シード権を獲るか否かは、翌年度のチームの明暗を握ると言っても過言ではありません。

前回大会は東京国際大学のほか、シード常連校の帝京大学も13位でシードを逃す結果となりました。有力校であっても(時に優勝候補に名前が上がりながらも)、1つのミスでシード権争いとなるのが箱根駅伝の怖いところです。

今回、予選会からの出場校では大東文化大学、帝京大学、立教大学、東海大学などがシード権争いに絡んでくることが考えられます。命運を分ける10位と11位の差、シード権争いにも注目です。

 

みどころ4 エース

エースの走りは、単にタイムを稼ぐだけではなく、チームに勢い、勇気をもたらします。そのエースをどこに配置するかは戦略上のキーポイントになるので、この点もみどころの一つです。
エースが多く投入されるのは「花の2区」。1区が出遅れた場合に挽回する必要がある区間であり、また距離が23.1kmと9区に並んで長く、さらに終盤には権太坂や「戸塚の壁」と言われる上り坂が待っています。走力、精神力ともにタフな選手でなければ攻略できないのが2区なのです。

その2区で前回区間賞を獲得したのが吉居大和(中央大4年)。田澤廉や近藤幸太郎、留学生ランナーらを抑えての区間賞獲得となりました。ここでチーム順位をトップまで押し上げたことが、総合2位という結果につながったことは言うまでもありません。今シーズンは8月にコロナに感染した影響もあって、出雲は回避、全日本は3区11位という結果にとどまっていますが、11月の八王子ロングディスタンスでは28分01秒02をマークして笑顔でフィニッシュ。箱根に向けては順調な復調ぶりをアピールしました。「今の自分にとっては一番大切にしている時間」という箱根駅伝の舞台で、どんな姿を見せるでしょうか。

優勝候補筆頭の駒澤にはエースと言える存在が3人います。中でも精神的な支柱になっているのはやはり、キャプテンの鈴木芽吹でしょう。鈴木は箱根駅伝を通して酸いも甘いも経験してきました。涙を飲んだのは2年生のときです。8区を走って区間18位でチームの順位を下げました。レース後には左大腿骨の疲労骨折が判明、10月の出雲駅伝までレース復帰すらできない大きな故障でした。その故障を乗り越えて迎えた昨シーズンは「恩返し」をテーマに挑み、箱根でも4区3位。チームをトップに押し上げ、往路優勝と総合優勝に貢献しています。
今シーズンはキャプテンとして、故障をしない、練習を離脱しないためにあえて練習をセーブすることも覚えました。キャプテンという役割が競技者としての鈴木芽吹を一段押し上げた印象です。2区を走るのはエースの証——藤色のエースが誰よりも強い気持ちで最後の箱根路に挑みます。

城西大学は11月の日体大記録会で27分59秒68のタイムをたたき出しチーム史上初の日本人27分台ランナーになった斎藤将也(2年)と5区区間記録保持者“山の妖精”山本唯翔(4年)、ヴィクター・キムタイ(2年)を軸に戦います。箱根予選会日本人トップで世代を引っ張る東京農業大・前田和摩(1年)は高槻芳照(4年)、並木寧音(4年)、原田洋輔(2年)らとともにチームを引っ張ります。中央学院大・吉田礼志(3年)は1年時のリベンジを果たすべく2区に挑みます。また、東海大学からの編入で赤と青のストライプをまとうことになった創価大・吉田響(3年)は感謝の想いを原動力に5区山上りに挑みます。早稲田大学は石塚陽士(3年)、伊藤大志(3年)、山口智規(2年)の3本柱で上位進出を狙います。法政大・松永伶(4年)は再び箱根でしぶとさを見せるでしょうか。
3000m障害日本記録保持者の順天堂大・三浦龍司(4年)は学生最後の駅伝でどのような走りを見せるのか、東海大・石原翔太郎(4年)や東洋大・松山和希(4年)の復活はあるのか——チームの命運を背負うエースの走りに注目です。

 

みどころ5 大きな節目—第100回大会

箱根駅伝は2024年で第100回の大きな節目を迎えます。
今やお正月の風物詩として定着した箱根駅伝ですが、第1回が行われたのは1920年2月14日。早稲田大学、慶應義塾大学、明治大学、東京高等師範学校(現筑波大学)の4校で行われた「四大校駅伝競走」でした。それが、104年の時とともにさまざまな変遷を経て、第100回を迎えます。
第1回のスタートは午後1時。往路優勝の明治大学がフィニッシュしたのは午後8時30分。最下位の慶應義塾大学がフィニッシュしたのは午後9時53分で、地元青年団が松明を灯して迷わないように誘導していたそうです。第2回は7校、第3回には10校と出場校が増えますが、黎明期には人力車夫が替え玉として走ったり(いわゆる「人力車夫事件」)、他競技(ラグビーやスキー)選手が登場したりと、現在では信じられないようなことが史実として残っています。その後、第二次世界大戦の激化や戦後の混乱で5度の中止がありました。
再開されたのは1947年(第23回)、この大会から予選会が始まりました。1953年(第29回)にはNHKラジオが全国放送を始め、その2年後、1955年(第31回)からは現在と同じく1月2日、3日の開催になりました。さらに、1987年(第63回)から続く日本テレビによる生中継で箱根駅伝の知名度や注目度が向上し、現在に至ります。

文化放送では1994年(第70回大会)に中継を開始し、今回が31回目の放送です。これまで同様今大会に向けても、文化放送では、出場チームすべての監督、エントリー選手に取材を続けています。第100回は大きな節目になりますが、選手やチームにとっては今大会が「1」であることに変わりはありません。文化放送も、選手の想いを乗せて目の前のレースをお伝えすることを芯に挑んでいきます。
文化放送の緻密なレース実況と、それを支える膨大な選手情報で、来たる第100回大会をお楽しみください。

 

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