『大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ』 中国不動産の連鎖倒産。リーマンショックの再来はありうる?(おとなライフ・アカデミーWEB)

『大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ』 中国不動産の連鎖倒産。リーマンショックの再来はありうる?(おとなライフ・アカデミーWEB)

Share

今を楽しく生きるオトナ世代のための情報番組「大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ」。
残間里江子さん(フリープロデューサー)と、大垣尚司さん(青山学院大学教授、移住・住みかえ支援機構代表理事)が、お金や住まいの話を中心に、暮らしにまつわる様々な事柄を語り合います。

この連載では、人気コーナー「おとなライフ・アカデミー2021」で話した内容をもとに大垣さんが執筆した、ここだけのエッセイを掲載中。
ラジオと合わせてもっと楽しい、読んで得する「家とお金」の豆知識です。

2021年10月9日の放送は、中国不動産の倒産について。リーマンショックの再来はありうる? というリスナーからの質問に、大垣さんは「可能性は低い」と答えます。

中国の大手不動産業者が破綻。どうしてもリーマンショックを思い出してしまいます

今回は、最近ニュースでも話題になっている、中国の不動産大手が破綻する一件について、メールをいただきました。

先日、中国の不動産業者の経営危機が伝えられました。すぐ頭に浮かんだのが、サブプライム、リーマンショックといった、二度と聞きたくない言葉です。今回の一件が世界に波及して、とんでもない事態になる可能性はあるんでしょうか

(ホースくん・60歳・和光市)

結論から言うと、私は、これが第二のリーマンショックになる可能性は非常に低いと思っています。

中国の経営破綻とリーマンショック、性質の違いは?

大垣 そもそも、今回の経営破綻とリーマンショックは性質が全然違います。

リーマンショックは、競馬でいう「場外競馬場」のようなものだと考えると分かりやすいです。

競馬って、普通に考えれば、競馬場の中にいる人しか競馬に参加できませんよね。
ところが、場外競馬場があるので、競馬場の外にいる人でも競馬に参加できてしまう。
その結果、参加する人間の増幅が起こるわけです。

リーマンショックでも、家を買った人と売った人以外の人間が大量に関わってしまったがために、とんでもない数の人に、とんでもない額の損害が出てしまいました。

なおかつ、リーマンショック時に使われた金融技術はあまり伝統的なものではなかったので、政府が実態を把握できず、対策がとても立てづらかった。
そういった悪条件も重なり、あれほどの事態になってしまったのです。

「競馬場の中」で起きた倒産は、影響が出づらい

今回の中国不動産会社の倒産は、競馬場の中だけ、つまり関係者だけが被害を被ったパターンです。

この会社の株が世界的に買われていたというわけでもありませんし、今のところ、業界以外には大きな影響も出ていません。

もちろん、かなり大手の会社が、一社で巨額の借金をなさっているわけですから、中国国内では大きな影響があるのは間違いないと思いますが・・・。

今回の倒産、イメージとしては日本のバブルが近い

今回の倒産というのは、イメージとしては日本のバブルと似ているんですよね。

成長率の高い国には、多かれ少なかれこういう問題が起きるものなんです。

事業がある程度成熟して、儲かるようになってくると、お金がどんどん貯まっていきますよね。
その結果、そのお金を使って投資をしたいという強い圧力が出てくる。この受け皿になるのが、典型的には不動産だったり、最近ではITといった業界なんです。

リーマンショックはアメリカに端を発していましたから、この点も異なりますね。

一方、日本のバブルと今回の中国不動産倒産が異なるのは、中国は政府がそれなりに経済をコントロールする国だということ。
今は徐々に国がブレーキを踏み出しているところですから、静観していればやがて落ち着くのではないかと思います。

そんなわけで、リーマンショックのような事態にはならないのではないかと私は考えています。
今回は、中国の不動産会社の倒産について考えてみました。「ホースくん」さん、お便りありがとうございました。

※この記事で掲載されている情報は全て、執筆時における情報を元にご紹介しています。金融商品などの利用や法制度については、必ず取扱金融機関のサイト等で最新の情報をご確認ください。

お知らせ

パーソナリティの一人である大垣尚司さんが代表理事を務める「移住・住みかえ支援機構」(JTI)では、賃貸制度「マイホーム借上げ制度」を運用しています。

住まなくなった皆さまの家をJTIが借り上げて、賃貸として運用。
入居者がいない空室時でも、毎月賃料を受け取ることができます。
また、皆さまの大切な我が家をケアするパートナーとして、入居者トラブルにも責任を持って対応しています。

JTIは非営利の公的機関であり、運営には国の基金が設定されています。

カウンセリングやご相談は無料。資格を持ったスタッフが、皆さまの家についてしっかりとお話をうかがいます。

制度についての詳しい情報は、移住・住みかえ支援機構のサイトをご覧ください。

Share

関連記事

この記事の番組情報


大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ

大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ

土 6:25~6:50

楽しいセカンドライフを送るためのご提案などがたっぷり! 金融・住宅のプロフェッショナル大垣尚司と、フリープロデューサー残間里江子が 大人の目線でお届けします。…

NOW ON AIR
ページTOPへ