カムチャツカ半島付近の大規模地震で、国内22都道府県で津波を観測。猛暑の中での避難、課題も様々。

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先月7月30日(水)午前8時25分ごろ、ロシアのカムチャツカ半島付近で、マグニチュード8.7の大規模地震が発生し、日本の太平洋沿岸にも津波が押し寄せました。
津波は、岩手県久慈港で1.3m、仙台港で90㎝、北海道根室市や茨城県神栖市、東京都八丈島などで80㎝に達するなど、北海道から沖縄県にかけて22の都道府県で観測されました。


気象庁は、北海道から和歌山県にかけての太平洋沿岸部に「津波警報」を発表、各自治体はあわせて200万人以上に「避難指示」を出しました。
( ↓ 気象庁記者会見 地震火山部・清本地震津波対策企画官)

避難は猛暑の中、長時間に及び、エアコンのない場所での避難、高台へ向かう車の渋滞、交通機関の乱れなど多くの課題も明らかになりました。
原則徒歩での避難とされていても、高齢者など要支援者の避難については「車での避難」を認める自治体もあります。現実的には車でないと避難が難しい方も少なくありません。
津波警報が全て注意報に切り替えになったのは30日の20時45分ごろ、津波注意報が全て解除されたのは翌31日の16時30分ごろ、長く警戒が続きました。

尚、カムチャツカ半島付近の震源と北海道・根室市はおよそ1500キロも離れていて、揺れを感じたのは、北海道で震度2など一部に限られ、多くの人は揺れを感じない中での避難となりました。
遠方の地で発生した地震による津波「遠地津波」は、波の周期が長く、長時間にわたり何度も押し寄せてくるという特徴があります。また第1波より、後から押し寄せる波の方が、海底の地形で屈折したり、海岸でぶつかって反射するなどして高くなります。

気象庁によりますと、岩手県久慈港で最大波1.3メートルが観測されたのは、地震発生から5時間以上たった13時52分。
また、宮崎県宮崎港で第1波が観測されたのは12時54分、最大波が観測されたのはさらにそれから16時間以上たった翌日31日の5時40分でした。

改めて「津波」とは…大規模な地震によって震源に近い海底が盛り上がったり、沈み込むことによって起きる大きな波です。風によって起きる波と違って、大量の海水が巨大な塊となって押し寄せるので、沿岸でもその力は衰えません。周囲の物を破壊しながら陸上の奥深くへと進みます。さらに、津波は引く時にも強い力を保っているので、破壊した物を一気に海中へ引きずり込みます。
津波の高さが地面から1メートルを超えると木造家屋に被害が出始め、50㎝の津波でも、車が流されるほどの力を持っています。海岸付近で揺れを感じたり、津波警報が発表されたら、直ちに高い場所に避難を始めることが大切です。
また、津波は海が深いほど速く伝わり、水深が浅くなるにつれて速度は遅くなります。
津波のスピードは水深5000メートルのところでは時速800キロもあり、ジェット機並みです。これが沿岸部に近づき、水深が浅くなるにつれて、スピードはどんどん遅くなります。
しかし、海岸近くでも時速36キロと短距離選手並の速さで迫ってくるので、走って逃げ切ることは難しく、津波がやってくるのを見てから避難を始めたのでは間に合いません。
さらに、津波が陸地に近づき速度が遅くなると、後ろの波が前の波に追いつき、より高い津波となり、何回も押し寄せることがあります。
また、先月のカムチャツカ半島付近での地震による「遠地津波」もそうでしたが、津波は、第1波が一番高いとは限りません。

最期に、皆さんは「津波フラッグ」をご存じですか?
津波フラッグは、長方形を四分割した、赤と白の格子模様のデザインの旗です。
(以下 気象庁HPより)


海水浴場や海岸付近で、波や風で音が聞き取りにくい遊泳中の人などに、大津波警報や津波警報、津波注意報が発表されたことを知らせるサインとなる旗です。
先月、津波警報が発表された時も全国各地の海水浴場で活用されましたが、「津波フラッグ」を知らなかったという人も多くいたようです。
津波フラッグは海水浴場のある全国の市区町村の72%で導入されています。
海水浴場などで、もし「津波フラッグ」をみかけたら、直ちに高い場所「津波避難ビル」などに避難してください。

気象予報士 防災士 都庁・気象庁担当記者 伊藤佳子


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