所有者不明の土地が急増?! 土地の所有権が持つ、意外と面倒な一面とは(おとなライフ・アカデミーWEB)

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今を楽しく生きるおとな世代のための情報番組「大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ」。
残間里江子さん(フリープロデューサー)と、大垣尚司さん(青山学院大学教授、移住・住みかえ支援機構代表理事)が、お金や住まいの話を中心に、暮らしにまつわる様々な事柄を語り合います。

この連載では、人気コーナー「おとなライフ・アカデミー2021」で話した内容をもとに大垣さんが執筆した、ここだけのエッセイを掲載中。
ラジオと合わせてもっと楽しい、読んで得する「家とお金」の豆知識です。

2021年5月15日の放送は、土地の所有権に関するリスナーメールが届きました。所有者不明の土地が増えてきているニュースを見た「飛鳥は銭か」さん。そんなに多いなら、希望者に抽選で配ってくれれば・・・と考えていますが、大垣さんは「土地持ちへの憧れって、幻想かも」と一刀両断?!

所有者のいない土地、たくさんあるなら分けてほしい・・・

今週の放送では、埼玉県戸田市の「飛鳥は銭か」さん、55歳の男性からお便りをいただきました。

土地の相続登記義務づけというのが盛んにニュースになっていますね。
所有者不明土地の面積が九州より広くなったというのも驚きです。
そんなに余ってるなら希望者に抽選で配ればいいと思うんですけど、そういうわけにもいかないんでしょうか

放送中は、「抽選で配ればいい」と言ったときに残間さんが思わず笑っていらしたのですが(笑)。確かに、配ればいいのに、と思う読者の方もいらっしゃるかもしれません。

相続登記をしない人がいるのはなぜ?

まずは、相続登記とは何で、どういう事情があって義務化されたのかについてから整理していきましょう。

相続登記とは、土地を相続した人が、不動産の名義を自分に変更することです。

義務になっていようと、いまいと、名義変更をしたほうがいいのは当然なんですが、以前はしない人がわりに多かったんですよね。「土地の名義が3代前のままになっている」なんて家もあったようで・・・。

変更手続きをしない理由はいろいろあります。たとえば、
・手続きが面倒で、お金もかかる
・相続人のうち誰が土地を相続するか決められない
・手続きを忘れてしまう
・名義を変更したタイミングで相続税がかかるので、税金の支払いを避ける

などですね。

今後も使うことのない土地なんかを相続された方は、「名義を変更するのは面倒だし、お金もかかるし、名義を変更してもしなくても生活に大きな変化が出ない」ということで、放置されることが多かったのでしょうね。

国にとっては、所有者不明の土地が多くあると、地域の管理もしづらくなったりしますし、費用もかかることから、今回、相続登記が義務となりました。

所有権って、そもそも必要?

さて、「飛鳥は銭か」さんはメールで「そんなに余っているなら希望者に配ればいい」と書いておられました。

それを見て気になったのですが、土地の所有権って、つまり「土地を、子や孫、それ以降の代までも、永遠に所有し続けられる権利」のことですよね。

ただ、その権利って、本当にそんなに素晴らしいものなのでしょうか。

自分はずっと所有をできて良かったとしても、子や孫は、案外その土地をありがたがらないかもしれないですよね。現に、義務付けをしなければいけないほど、相続登記をしない人が多いわけですし。

土地が欲しい人たちって、「永遠に所有する権利」が欲しいというよりはむしろ、「住む場所のために毎月毎月お金を払う必要のない状態」が欲しいのではないかな、と思うんです。

たとえば、20〜30年だけ土地を所有できる権利、なんてものがあったとしたら、むしろそっちのほうがいいな、と思う人も結構いらっしゃるのではないでしょうか。

日本で所有権の概念が生まれたのは、たった150年前

そもそも土地の所有権って、日本人にとっては、明治維新以降に生まれたかなり新しい概念です。江戸時代、土地は全て将軍のものでしたからね。

要するに、「モノが未来永劫自分のものになる」と思っている日本人は、150年前には存在しなかったんです。

そういう意味でも、所有権への憧れって、絶対的なものではないと思うんです。もっと的確に、日本人のニーズを満たすような土地の「所有方法」が生まれれば、相続登記の問題もわりに解決するのかな、と思ったりします。

というわけで今回は、相続登記の義務付けについて考えてみました。
「飛鳥は銭か」さん、メールありがとうございました。

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